【感想・ネタバレ】資本主義の宿命 経済学は格差とどう向き合ってきたかのレビュー

あらすじ

日本の相対的貧困率15%、資産5億円以上9万世帯。アダム・スミスからピケティまで格差と経済学の歴史を辿り、日本の道を考える。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

格差をどうやって測るか。高所得者と低所得者の差、貧困率、高所得高資産の割合、など。
結果の格差か機会の格差か。
トップ何名かの高所得者の所得が総所得に占める割合、ジニ係数、アトキンソン指標、タイル指標、対数分散、などがある。
最も単純で頻繁にも値いられるのはジニ係数(再分配後)。日本は一気に拡大した。先進国の方が格差が大きい。
相対的貧困率=中位所得の50%に満たない所得の割合。国際比較が容易。
生活保護基準、絶対的貧困率、相対的貧困率は、2006年で14%、どれも大差はない。
若者と高齢者に貧困者が多い=若年層の採用控え、高齢者の仕事がない、など。
生活保護の補足率が20%程度、西欧では50%を超えている。

平等主義は経済を弱くする(ヒューム、ケネー)
トリクルダウン(サン・シモン)しかし、中国では失敗。
ワルラスの一般均衡分析はミクロ経済学の完成型。パレードによって完結した。
厚生経済学(ピグー)ヒックス、サミュエルソンなどが再分配政策を定義した。

プロシアのビスマルクが社会保険制度を成立させた。労働者が一生懸命働くために、健康保険、災害保険、老齢年金の三部作を作った。アメとムチによる政策。
イギリスはドイツから学び、ウェッブ夫妻のナショナルミニマム論をを元にゆりかごから墓場まで、の社会保障制度を確立した。
p90

20250110再読
日本はジニ係数は高い。先進国の中でもたかいほうになる。
日本の貧困率は、絶対的、相対的、生活保護基準などで14%程度。先進国のなかでトップ。貧困大国。最低賃金が抑制されてきた。生活保護の補足率は20%程度。
トリクルダウンの失敗例は中国。鄧小平の先富論。

生産物市場、生産要素市場、消費市場を俯瞰する一般均衡市場のメカニズムを解明したのがワルラス。
ピグーは厚生経済学で社会的厚生関数を最大化するための経済政策を考えた。ベンサム型経済とロールズ型経済。
ビスマルクの社会保険制度確立。スェーデンより早い。
イギリスはサッチャー政権で市場原理主義に向かったが、ブレア首相は第三の道を探ったため、旧来の福祉国家には戻らなかった。
北欧型の福祉国家は、労働者だけでなく農民を初めとした自営業者も対象にしたため全国家的な福祉政策になった。貧困者に出生率が低いことに着目して、補助を行った。デンマークも農業協同組合を通じて福祉国家化した。税収を財源とする。
先進国の中で税方式なのはオーストラリアとニュージーランド。ドイツは保険料方式。
アメリカでは公的医療保険制度はないに等しい。
累進課税の緩和が近年の先進国の特色。
第一次世界大戦後は平等性が進行した。第二次世界大戦後に不平等概進行した。
日本は貧困率が高いので、超高所得者と貧困者の双方の視点から格差社会にいる。

誰が金持ちなのか。
創業経営者、医師、昇進型企業経営者、芸能人やスポーツ選手など。超富裕層は9万世帯。
ニューディール政策では所得税は最高91%。それをレーガンが下げた。28%まで。この時代に租税回避行動が盛んになった。そのため、なかなか上げられない。パナマ文書による暴露。富裕層の平均税率は28%、近年は租税回避で下がっている。大富豪は実効税率が低くなっていて逆進性がある。

格差が好ましくない理由
低所得者の絶対数が多くなる、高額所得者の贅沢な消費は資源の枯渇に結びつく、格差社会は犯罪が多い、教育医療介護の費用支出の差が大きい、地域の分断を促進する、
経済成長は、資源の消費、環境問題にネガティブ。

平等と経済成長はトレードオフか。
高所得者の所得が資本蓄積に繋がるため平等ばかりだと成長の原資がない。グズネッツの逆U字カーブは本当か。高所得者のほうが労働生産性が高いので、経済成長に資する。

トリクルダウンはなななか成立しない。波及効果が予期しない原因で停止すると、中小企業や地方が潤う前にしぼんでしまう。大企業と中小企業の力関係。一人勝ちの理論でトリクルダウンは成り立たない。中国でも成功しなかった。

戦後の日本は最高税率80%を超えていた。今は45%。
労働意欲に反する。資本蓄積を阻害する。有能なヒトに高課税は適切ではない。思想的に正しくない。リバタリアンの主張から。
1970~1980年代の最高税率70%最低税率10.5%が適切ではないか。

日本は格差に関心が低い。経済効率とトレードオフと思っている。貧困者救済は、自分たちの負担が増えるだけ。自己責任論が多数。

北欧型(スェーデン、ノルウェー、デンマーク)は福祉国家。
日本、アメリカは非福祉国家。

同一労働同一賃金、最低賃金額のアップ、消費税の軽減税率の強化、所得税の累進税化。

日本は福祉国家になれるか。
国家の仕事の効率性と信頼。貯蓄不足による低資本には外資の導入で補う。

0
2024年08月01日

「ビジネス・経済」ランキング