あらすじ
トランスジェンダーの人たちは生活上の困難を抱え、様々な不合理や社会からの排除に直面しています。また、SNSを中心にトランス差別・ヘイトが急速に拡大して、トランスジェンダーの人たちの生存を脅かしています。
様々な「議論」をする前に、トランスジェンダーの人たちの「生きる現実」を知ることがなにより必要です。
「なぜ性別が社会で重視されるのか?」「トランスジェンダーとは?」「性別を変えるために何が必要?」「トランスジェンダーの人たちが直面している困難は?」「トランス差別・ヘイトがなぜ跋扈しているのか?」――。
本書は、性別を重視するいまの社会のありようを押さえたうえで、トランスジェンダーをめぐる大きなクエスチョンを21個、そこから派生するクエスチョンを64個設けています。それらの基礎的な質問から性別分けスペースにまつわる疑問、「トランス差別はいけないけれど気になる」疑問まで、語りかける文体でわかりやすく答えています。
いまの社会がどうなっていて、そこでトランスジェンダーの人たちがどんな困りごとを経験していて、それを解決するには何が必要なのか――Q&A形式でそれらを具体的に知ることができる一冊です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
トランスジェンダーに関する基本的な知識。労働者が特に排除されがちで、17.3%のトランスジェンダーの人は労働じたいができていない(だから、手術も受けられない)といった内容にも触れられている。また、トイレについては、その性で生きている人はその性で生きているので、困っていないという人もいる、ということも書かれている。
Posted by ブクログ
人は生まれた瞬間から男性か女性かを決められ、戸籍に登録され、それ相応の「らしさ」を身に着けさせるべく育てられる。
服装や髪型、言葉遣いや態度、挙げていったらきりがないほどあらゆる場面で男性らしさや女性らしさが求められる。
学校でも教科書や制服から性別の違いを意識させられ、別の生き物なのだという認識が脳にうめ込まれる。
その当たり前の中で違和感を覚えるトランスジェンダーの苦悩を痛感した。
シスジェンダーが考える性別の基準がいかに極端で残酷であるか。
生まれ持った性別に違和感を感じないでいられる特権が、いかにトランスジェンダーを傷つけているか。
無自覚な固定概念や偏見に気づかせてくれる一冊だった。
できるだけ多くの人におすすめしたい。