あらすじ
第1章 変化する世界、日本の立ち位置
第2章 変化する国際環境における日本と日本企業のあり姿
第3章 超高齢化社会の望ましい未来
第4章 人間社会に溶け込むテクノロジーとのつきあい方
第5章 サイバー空間の安全をいかに確保するか
第6章 ビジネスで実現するネイチャーポジティブ
第7章 問い直されるウェルビーイングの在り方
第8章 対談
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Posted by ブクログ
「統合知」を超えて――自然共生時代の新たな羅針盤
■本書の核心
5分野(経済/環境/地政学/サイバー/技術)を横断し「複雑な課題を可視化」する手法を提案。EVシフトやDX投資の事例で実践的なフレームワークを提示。
■鋭い論点
- サステナビリティを「CO2削減+炭素税」で処理する限界
- AI監視社会の倫理的リスク軽視
- 日本的「滅私奉公」と欧米型ワークライフバランスの衝突未解決
■根本的課題
1. 「統合」の名の下での表面的寄せ集め
2. 自然の「商品化」が加速する人類中心主義
3. 技術決定論がもたらす認知支配の危険性
■真の統合知に必要な視点
1. 【原理転換】成長→「生態系再生速度内適応」へ再定義
2. 【矛盾活用】トレードオフをイノベーションの触媒に変革
3. 【生命圏接続】地域通貨と自然再生を連動する新制度設計
■具体的提言
- 河川や森林に「法的代理人」制度を導入
- コンサル報酬の50%を再生事業に連動
- 7世代先を評価する教育カリキュラム構築
■読後の問い
1. あなたが「統合知」に求めるものは?
A. 現実的経営ツール
B. 文明のパラダイム転換
C. その他
2. 自然を「資本」とみなすことに賛否?
A. 賛成(持続可能性のため)
B. 反対(内在的価値毀損)
C. 中立
Posted by ブクログ
4大ファームの一角をなすPwCによる「世界を把握し、日本の勝ち筋を知るために必要なインテリジェンス」という1冊。
2023年にPwCがグローバルで発表した5つのメガトレンド(気候変動、人口動態の変化、社会の不安定化、テクノロジーによるディスラプション、世界の分断)を下敷きにしつつ、日本向けに課題を引き直して解説したもの、と理解しました。
個人的に印象に残ったのは「国際比較を行ってみると、高齢化が低成長につながったとは言えない」という言説で、日本の高齢化をネガティブにとらえすぎない(本著では「ポジ出し」と言っていますが)というのは良い発想なのかなと思いました。
まぁ本著については出版して世に問うておしまいという話ではなく、これをPwCの営業さんに持たせて様々なエグゼクティブにばら撒いて…というツールという側面が大きいのかなと。
そうした際のばら撒き先としては、日本企業が多いのかなと思っていたのですが、結構本著は「国家に求められること」の分量もあるように感じました。営業さんたちは国の機関にたくさん訪問されてるのかしら…と思いつつも、今までの「まぁ経済は民間で…」という感じのトーンでは今後はなくなって、政府が企業の活動にガッツリ介入してくる時代になっていくのかもしれません。(トランプさんも来週ご就任ですね…)
個人的には、本著で初見の情報というのがあまり無かったのが意外でした。あと、ネイチャーポジティブってどうなるんでしょうね…日本企業だけが先走ってるような感覚も少しあったのですが。。