【感想・ネタバレ】ゴールドマン・サックスに洗脳された私~金と差別のウォール街~のレビュー

あらすじ

世界トップクラスの地位と報酬が約束されたゴールドマン・サックス。だがその実態は、金と女性に対するおそるべき強欲、嫉妬にまみれた職場だった――。同社の元マネージング・ディレクターが1998~2016年の在職期間に目撃した、ミソジニー(女性嫌悪)と人種差別にあふれる、堕ちた企業風土を明らかにする衝撃の暴露本。著者は巨額の退職金を捨てて、秘密保持契約書(NDA)へのサインを拒否。同社の内幕を告発する道を選んだ。

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Posted by ブクログ

イタリア系移民の3世に当たる著者が、ソーシャルワーカーになる夢をあきらめゴールドマンサックスに就職するプロセスは、重度の脊椎側弯症だった過去(1人前と見られない事への反発)と貧しい生活から這い上がってきた両親のハングリーさに所以している過程がよくわかり、入社後の会社に順応し評価される結果ととなりつつも本来の著者のキャラとの乖離が大きくなっていたことの限界点が退社へとつながったことを予見させる。
時代的には1998年の入社から2016年の退社まで。
前半は著者のサクセスストーリー(GSに入社した当初の豪華な世界と想定以上の高額な報酬、結婚)にGSにおける女性蔑視や白人男性優先の社風に戸惑いながら、まじめで順応していく姿が姿が描かれる。
中盤から社内の出世のために、自らの倫理を押し殺していく過程と、911やリーマンショックといった大きな事象の中でのGSの社員としての体験談も興味深い。
更に男性同僚の嫉妬やセクハラといった著者を襲う理不尽な試練も赤裸々に語られ、GSの現場の一端と会社組織の建前との乖離に唖然とする。
後半から仕事と育児の両立の困難さからの浮気で夫婦間の危機も驚くほど正直に語られる。
賢明にも著者がその原因が組織から疎外されがちな社風からの現実逃避であることを自覚して夫婦生活=子ども3人との家族を守ったことは安堵する。
しかし更なる妊娠とマタハラから壮絶な流産のエピソードは痛すぎる。
それでも4人目の子を授かり、退社に向けてのプロセスは不可避かつ次善の選択と理解できる。
本書で女性がアメリカ=資本主義社会の最前線でキャリアを積むことの困難さがよく理解できる反面、高額な報酬の異常さ(倫理観をマヒさせる)の恐ろしさを痛烈に感じることが出来る。
わが国ではここまでではないが、反面教師として学ぶ点も多いのではないかと考えさせられた。

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2025年01月18日

Posted by ブクログ

普通におもしろい内容。なかなか生々しい話で良く出したなと思うぐらい。会社に違和感を覚えながら、やめられない状況で悪い風土に染まるといった状況はある話かと。

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2024年12月10日

Posted by ブクログ

世界最強の投資銀行「ゴールドマンサックス」の内情を描いた暴露本。未だに女性蔑視や人種差別が蔓延るWASP系マッチョマンたちのなかで、18年間勤めてMDまで上り詰めた著者。
本書は「シスター・ジェイミーの告発」という形式をとっているが、P144やP162、P212、ピートとの最後のやり取りを読むと著者だけ純真でまともな感覚とは言い難く、毎年億円単位の稼ぎが足りないのに人生計画に足りない理由は不明瞭なので、「自己正当化」や「懺悔」として捉えたほうがよさそうだ。
いずれにせよ等身大の女性の生き様と感情の吐露、それに対する剥き身の欲望が渦巻く虚像の巨大な組織との対比は、GSの異常性を浮き彫りにする。映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のような大金と欲望が飛び交う狂った世界の話として興味深く面白い。

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2024年11月17日

Posted by ブクログ

家族の期待を背負って、稼げる仕事につき、組織に従順に、ただひたすら仕事を頑張ったそんな彼女の物語が書かれている。ゴールドマンサックスのパワハラやセクハラはひどいものだが、長いものに巻かれないと生き残っていけない、出世できないと言う点では、どこの会社も多かれ少なかれ同じ部分があるのではないかと思う。
ある程度フィクションにしてあるとは言え、自らの過去を赤裸々に語ってまで、世間に一石を投じた、その勇気を素晴らしいと思った。

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2024年08月04日

Posted by ブクログ

天下のゴールドマン・サックス内で繰り広げられている、パワハラセクハラ差別の惨状。
そこで働いていた女性からの告発。

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2024年07月14日

Posted by ブクログ

ゴールドマンサックス、酷すぎる会社だ。高給にはそれに見合った悪い環境が伴うのは理解しているつもりだが、ハラスメントの嵐で想像以上に酷い。金の魔力は本当に凄まじく、人生の優先順位を間違えるととんでもなく不幸になること、この本を読んで改めて認識した。自分の健康>家族との生活>仕事の優先順位は崩すべきでは無く、家族との生活費に困らない程度の収入が得られれば充分だと改めて感じました。

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2024年06月15日

Posted by ブクログ

彼女の働いていた時代、金融機関で女性というのは数少なかっただろう。アメリカはまだマシで日本はもっと少なかったはず。とにかく彼女は成功者だ。

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2024年06月08日

Posted by ブクログ

リアルな描写ですぐに読み切れる。
人生の極論としての投資銀行における人生をトレースできる点は、非常に参考になった。

あとがきにもあるメッセージ通り、告発的にゴールドマンの差別的文化が強調されてはいるが、その点が強調され過ぎていて20年の間にあったであろうビジネス面での成長描写が少ないのが残念。
た、最後の後書きで告発状のような書式での記述には醒めた。

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2024年06月04日

Posted by ブクログ

ゴールドマンの仕事のキツさは有名であるが、お金のために家庭や人格が崩壊する様子が緊迫感あり、止まらずに読み終えた。お金がよくても、人生そればかりではないと思います。

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2024年05月10日

Posted by ブクログ

 吐き気がするような本だ。女性蔑視とかそういうものだけではない、流産、ひどい言葉、それでも這いつくばって従って、お金をもらい続ける。それがゴールドマンだとすれば、やっぱりGSをやめた人たちが、懺悔のような本を書いてばかりいるのもわかる気がするし、皆面白がってそれを読む。
 ボーイズクラブで、どんどん関係性を作っていく中で、そこからはみ出したら、出世に響く。こういう思考は、全くない、、、とは言えないのだろうか。経営者が、そこを気にしているのではなく、パフォーマンスを見て、人となりを知らないとMDに上げていくことはできないということなんだろうと思う。それがない、足りないと思っている人にとって、憎いのがボーイズクラブだ。ただ、そんなものを気にしたこともないし、ゴルフしなくても出世はする。そういうバイアスを逆にかけてしまったことによって、世の中が全てそういうふうに見えるということなのか、世の中は終わっているのか。自分自身が働いていて、女性だから、男性だから、LGBTだから、というふうにパフォーマンスを見たことはない。頑張ってからといって成果が出せるわけでもなく、一方で頑張らないで成果を出しているといってくる人も信用していない。ただ、それだけだ。会社は、成長するドライバーを作る必要があって、そこに男女は関係ない、むしろ女性をもっと評価して、経営に入れていく社会的な義務があるというふうに言ってくる。男性社会だから、女性が入れないので、女性ばかりの会社にしたらいいじゃないかという人もいる。おかしいよね、お金をもらって、ただただ我慢して、やめたらいいじゃないか、とは思いたくない。お金をもらう対価は、社会に役に立ったからであって、人をどれだけ蹴落としたとか、リストの中で数%のトップ級にいるか、じゃないんだ。根本的に間違っている考え方に気づかせてくれる、普遍的な意味でいい本だと思う。

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2024年05月04日

Posted by ブクログ

読む前は、興味深くてきっとあっという間に読み終わっちゃうだろうな、と期待していたが、著者のストーリーテリングがあんまりうまくないからか、あるいはご本人の魅力がやや薄なせいか、けっこう時間がかかってしまった。

と言いつつ、けっこう驚いたなぁ。
アメリカの金融業界がここまでマッチョだとは・・・
職場の男どものふるまいは、完全にアメリカの学園ものドラマで見るいじめっこ達そのもの。

でも、もっと驚いたのは、GSにはオフィスに「搾乳室」なるものがあること。授乳じゃなくて搾乳。そして、そんな驚きのお部屋がせっかくあるというのに、それを使わせてもらえないこと!
もう訳わからん。

私も転勤族なおかげで無駄に日本のいろんなオフィスで働いてきたけど、さすがに搾乳室は見たことないなぁ~。保育所みたいなものがある会社はあったけれど。

・・・とここまで書いてふと、私が過去に働いたどの企業にも本当に搾乳室はなかったのか?私が知らなかっただけだったりして?などと疑問に思って検索窓に搾乳室って入れたら、検索結果の一番上に厚労省の「職場に搾乳室を作りましょう!」というサイトがヒットして、ちょっと驚いた。
言うだけなら誰でも言えるよね・・・。
全くこの国のおっさんたちはもう。

しかし、この本によると、GSでは搾乳室に行こうとすると遊んでいるかのように言われたとあるが、まったく理解に苦しむ。
搾乳の所要時間なんて喫煙者のタバコ休憩と変わらんやろ~。
なんで許せないんだ。心狭すぎて意味不明。

ただ、なんでもかんでも「ゴールドマン・サックスに洗脳されたせい」なのはどうなのかなぁ、とちょっともやもやした。
この著者は結局のところ、同じように不当な圧力で苦境に立たされた同僚や部下たちを切り捨ててきている。たぶん、そういう力に加担する形で。
上に行くためにはそうするしかなかったかのように書いているけど、その人たちに話を聞くと、まったく別の事実が浮かびあがってきそうな気はした。

あと、やっぱり受け取るサラリーは目玉が飛び出るほどだった。
特に何かを生み出したりするわけじゃない業界なのに、その利益はいったいどこから湧いてくるの? いったいどういうカラクリ?と空恐ろしくなります。
その金額を稼ごうとすると、子育てと両立なんかできない、そんな甘い考えの奴はいらん、という風に彼ら自身が思っても仕方ないかもしれないとは少し思った。

ちなみに、私はミソジニーじゃないけど、女性の方が全般的に仕事に対して無責任かつ何も考えてない人が多いな、と思うのは事実。これまでの男社会がそういう女性たちのマインドセットを作っているのかもしれないから、鶏と卵の関係なのかもしれないけれど。

昨今は、一昔前と違って、アメリカ人の労働時間は日本より長いと言われているけど、私も実感として、アメリカ人にメールすると向こう夜中なのにすぐ返信きたりして、確かによく働くなぁ、と思う人が多い。(たぶん会社によるし、人によるとは思うけど)
やっぱり世界ナンバーワンになろうと思うと長時間労働は必然的についてくるんだろうか。

長時間労働が普通の職場、常時人手が足りない職場では、いくら搾乳室があろうと保育所が充実してようと、多かれ少なかれGS的圧力みたいなものはなくならないと思う。どんなに頑張って戦っても。
AIとかを駆使して、誰もが今ほど働かなくても高い利益を上げられる世の中にならないかな~。いけると思うんだけどな~。甘いかな~。
昔は考えられなかった父親の育休(母の世代なんて絶対にぜえったいにありえなかった)も最近はわりと普通に聞くし(いろいろ軋轢はあるけど)、少しずつ良くなっていると思うのですけどね。

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2025年07月27日

Posted by ブクログ

告発本ということで読んでみたが、仕事以外のプライベートなことまでかなり赤裸々に語られている。これほど巨額な報酬を得ていなくとも社会に出れば理不尽なことにもあうし、日本でも男女差別はいまだにある。程度の差こそあれ、著者が受けた様々なハラスメントは自分たちのまわりにも起こり得ることだと思った。

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2025年06月30日

Posted by ブクログ

自分は著者と仲良くなれなさそう。文句ばっか言ってるが、その人達と自分も変わらないんじゃないの?と何度も思って途中で脱落しかけた

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2025年06月29日

Posted by ブクログ

登場人物がみんな嫌なやつで、勧善懲悪的カタルシスがあるわけでもない(あればいいというわけでもないが)ので、読むのはしんどい。
自由のためのスプレッドシートがうんぬん、と言っているが、おそらく多くの人は「そこまで多額のお金を稼がなくてもやっていけるのでは?なぜそこまで辛い想いをし続けているのだろうか?」と思うのではなかろうか。
まあおそらく、著者も、ゴールドマンの風土を改善すべきだという啓発のために書いているのであって、本当に全人格的にゴールドマンサックスというか自分の働いていた場所、組織を否定するつもりではないのだろうと思う。
そこらへんのニュアンスは、普通に「ひどい職場で嫌な目にあってきた人の告発本」というのとは違ってくるのではないか。
きっとそこには、「自分もその風土作りに結果として加担してしまっていた」という意識があるのだろう。その辺りが著者の動きをより理解するヒントになるのかも。
クビになっても良いから内部から組織をよくしようとしなかった、という視点もあるとは思う。その難易度がとてつもないこと、気持ちとして折れずにやれるかとかはあるから単純ではないけど。
まあでも自分が同じ立場だとしても、キリよくやめるかな、という気はする。

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2024年07月25日

Posted by ブクログ

タイトルもさることながら、名前は知ってても実態はほぼ知らないゴールドマンサックスの名前で興味持ち、読んでみた。

端的に、凄まじい本だった。 これだけ読んでるとこの会社は、アメリカの悪いところが濃縮された会社と感じてしまう。著者がマネージングディレクターまで上り詰めたからこそ、上にも下にも酷い奴らがいるし、そしてそんな奴らとつるむような顧客がいて需要と供給の関係が成り立つのかなと。

一方、周りやシステムの悪さに不快感を感じつつ、なかなか会社を辞める決心がつかず、不倫に走りそうになったり家庭が崩壊しかけていく様も赤裸々に綴られている。この点も本書のリアリティを高めていると感じる。

今回はゴールドマンサックスだったが、最後に著者が語るようにブランド力のありそうな大企業は、多かれ少なかれこのような姿勢があるかと思う。そういうところに勤めるのが果たして幸せなのかと、この本を読んであらためて考えてしまった。

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2024年06月13日

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