あらすじ
選挙に弱い政治家は、
誰かの言いなりになるしかない。
だからーー。
強くなりたい。
国会のマドンナ“お嬢”が遺書を残し自殺した。
敵対する野党第一党の“憤慨おばさん”は死の真相を探りはじめる。
議員・秘書・記者の覚悟に心震える、政治✕大逆転ミステリ!
野党第一党の高月馨は窮地に追い込まれた。
敵対関係にありつつも、ある法案については共闘関係にあった与党議員・朝沼侑子が自殺したのだ。
「自分の派閥のトップも説得できていなかったの? 法案を通すつもり、本当にあったの?」
死の前日の朝沼への叱責が彼女を追い詰めたのではないかと批判が集まり、謝罪と国対副委員長の辞任を迫られてしまう。
だが、長年ライバル関係を築いてきた高月には朝沼の死がどうも解せない。
朝沼の婚約者で政界のプリンス・三好顕太郎に直談判し、共に死の真相を調べることに
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Posted by ブクログ
暫定今年1番の本。
女であるがために、それぞれの立場で色んな思いをしている。性的マイノリティーはもっと?
女性が政治の場にとにかく出ていくこと、数を増やして男性というマジョリティーを崩すことの難しさと意義を感じると共に、必ずしも女性政治家=女性の味方でもないとも思った。改めて知ろうと思うと少し億劫に感じる(ダメだけど)国会、市議会、選挙…小説を通してイメージが湧いたから、これからどう政治が動いているかもっと自分事にしていきたい。
Posted by ブクログ
高市総理が誕生したこのタイミングで手に取った。めっちゃ面白いな〜政界のしがらみのリアルとミステリーを掛け合わせた秀逸な作品。いつも読書ペースは、60~70p/1hだから、400ページの本は3〜4日に分けて読むんだけど、面白すぎて最後まで一気読みでした。爽快感もやるせない感も存分に味わえた一冊。
僕は女性政治家が少ないのは、それはそれで意見さえ吸い取れていれば良いんじゃないかと言う立場だったし、そもそも少ないのはなりたい人が少ないからだと思っていたけれど、色々な複雑な事情があるんだな。選挙以前の党内の公認の段階で。それゆえ機会平等が達成できていないのね。クオータ制などの結果平等には反対だけど、書かれているところがリアルなら機会平等を達成するために色々と見直しがあればいいね。
あらすじ。
物語は、野党・民政党の女性政治家(高月)の秘書・沢村、政治記者・和田山、市議会議員・間橋、高月と四人の三人称の視点から綴られる。
国会のマドンナの世襲与党議員・お嬢(浅沼)が、ある法案の廃案が決まった翌日、死体で発見される。服毒による自殺のようだ。前日に彼女を叱責していた高月は謝罪と国対委員長の辞任を迫られてしまうが、叱責くらいでお嬢が自殺するとは思えない。その謎に迫れば迫るほど、永田町を覆う闇に飲み込まれていく。死の真相は、お嬢の地元の地方議会まで巻き込んで政界を波乱へ導いていく。
細かいしがらみが多く、登場人物それぞれの思惑が交錯してくのが面白い。
S国は笑ったわ。嫌いじゃないけどね。
あとラストはちょっと映画「教皇選挙」を思い出した。
まあ、仕事ができるなら性別は関係ない。どうでもいいってのが本音なので、その状態になるように近づいてほしい。高市総理応援!
Posted by ブクログ
「女性の言うことは全く通らない」そうは思わないものの、男性優位は今も色濃く存在するのではないかと思う。(その濃淡の違いはあれど)
女性初の総理になられた高市総理の姿が、高月に重なった。
政治家各々が持つ信念・野望を形にするためにどれだけの苦労があっただろうか。
田神さんが、「高月を政界に誘った時の田神さん」とは変わったんだなあという描写(自身の保身・出世を優先する)で、人はその苦労の中で、染まってしまうのだと思った。環境や時の流れと共に、変化していくのは当然ではあるものの、その変わり方の舵を自分で握れる人でありたいと思った。
そして、最後、高月が顕太郎に最大限の協力をすると、以前言われた言葉になぞらえていくところがよかった。
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他人の悪意が恐ろしかった。
政治家になってからずっと感じつつも、直視しないようにしていたことだ。
世の中には理由もなく悪意をぶつけてくる人がいる。その人だって悩みやストレスを抱えているのだろう。だからこそ、やつあたりのように、決して口答えができない立場の人間に対して悪意を投げつける。人間には誰しもいいところと悪いところがあるとして、その悪いところばかりをまざまざと見せつけられているようだった。
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Posted by ブクログ
話題の本。面白かったし日々の葛藤や嫌だなと思うことを掬い取ってくれるような気がした。登場人物一人一人がみんな魅力的で、自分自身と重ねる人も多いんじゃないかと思う。心に残る一冊。
【ここからネタバレ】
性的マイノリティの登場人物が出てくるんだけど、彼がした決断が悲しくもあり、それでも作品の中でマイノリティが死なずに逞しく生き抜いて爪痕を残そうとしてくれることが嬉しくて、読めて良かったと思った。
Posted by ブクログ
新川帆立さんの著作じゃなかったら、敬遠しそうな題名と艶やかな表紙(;_;)/~~~。日本で初めての自民党女性総裁が誕生したタイミングでしたし、物語には、議員秘書・政治記者・市議会議員と愛すべき憤慨おばさん…政治社会界隈で働く女性たちの頑張りがバトンリレーされていて読んだらとても面白かった。本棚に飾ったら、こっちも気が強くなりそうです。
『衆議院の片隅でこっそりと泳ぐ鯉たち。そこに自分を重ね、袖を通しているのではないか。今はこうして愛想笑いを浮かべ、媚を売っている。だが自分は政治家なのだ、政治家であり続けるのだという決意表明である。決意をかたちにしておかないと、心が折れてしまう瞬間があるのかもしれない。-第1章 国会-』
ラストで明らかになった真相すら、ギブアンドテイクの交渉材料になっていて、「これが政界というものなのか…」とちょっと苦く思った。
2025.10
Posted by ブクログ
国会に係る女性たちに焦点を当てたストーリー。
議員秘書、衆議院議員、政治記者、そして地方議員(本編で衆議院議員へ立候補する)ミステリー仕立てになっているのもおもしろかった。
政治の場では男性社会なので、女性はお手伝いかお客様でしかない。いつも1番損な役回りを押し付けられる。
そんな世界でも女性が入っていかないと何も変えられない、変わらない。
どうしてこんな世界へ来てしまったんだろうと苦悩しながらも、がんばっている姿に惹かれた。
個人的には、本筋から離れるから書かれてなかったけど、選挙で間橋が当確した後の加賀美の落ちぶれる様子も書いて欲しかった。高月さんの血尿出しながらがんばる様子がリアル。しかもそんなに報われてなさそう。ほんとにしんどい世界だなと思った。
時期的にタイムリーで女性がもっと活躍できるようになればいいのにと思う。
Posted by ブクログ
よかった。
お嬢こと朝沼が性同一性障害とミスリードさせて、実は顕太郎がそうだった、というのは予想外で面白かった。そしてそれを決定づけるのは鯉。
衆議院の池の鯉はカラフルで、参議院の鯉は黒だという一般には知られていない事実。ネットの情報では確認できなかった。行って確認してみたい。
朝沼が性同一性障害であるというミスリードにかかり、まんまとその前提で読みすめてしまったが、そうでないという視点で読んでも矛盾はないだろうか。
加賀美が盗聴やストーカーめいたことをしていることは取引材料に使われなかった。悔しがるところを見たかった。
国会議員、秘書、記者、地方議員、とそれぞれ女性が苦しいことがよくわかる。女性総理大臣が誕生した今、その苦労は計り知れないことだろう。
顕太郎にも総理大臣になってほしいと思った。そして高月にも。