【感想・ネタバレ】学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話のレビュー

あらすじ

展覧会はどうやって作っているの?
学芸員って何をしているの?
アートは役に立たない?
おすすめの鑑賞方法は?

現役学芸員が語る、美術館の舞台裏と美術鑑賞の楽しみ方。

noteの人気連載、待望の書籍化!
著者おすすめの美術館も掲載。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

終始「そうなんだ!」「なるほど〜」の連続で、興味深く一気に読み終えた。美術館の舞台裏や学芸員の仕事について、普段知ることのない情報が盛りだくさんで、驚きと納得の連続だった。特に印象に残ったことをいくつか挙げてみる。

・美術館同士の作品の貸し借りには基本的にはお金は発生しない(一部の私立美術館や寺社は例外。また、輸送用のトラックや作品にかける保険の費用は必要)。
・「美術品梱包輸送技能取得士認定試験」というものがある。
・作品を借りる側の学芸員は、作品の輸送は業者に任せておしまいではなく、必ず現地に向かう(なんならトラックに同乗することもある)。
・照明について。日本画の掛け軸は巻いてあることが基本なので、横方向に折れ目がついてしまうことが多い。このようなものに対して上方向から照明を当ててしまうと折れ目が目立ち、痛々しく見えてしまう。
・博物館法的には、動物園も水族館も美術館も博物館。
・美術館は温湿度管理が命。特に湿度は高すぎても低すぎても良くない。どうしても湿度が低くなる冬場は、乾燥に強い陶磁器や金工品の展示を行う。湿度に弱い日本画の展示は、気候が穏やかな春に行う。
・この本の筆者は鑑賞者にできる限り「作品の所有者のように見てもらう」ように工夫している。
優れた作品ならばいつでも何度でも感動を与えてくれる、というのは幻想。実際は、人によってその作品と出会うべきタイミングがある。
・展示デザインという仕事がある。
美術館に行くことが、もっと豊かで奥行きのある体験になる。そんな知識と視点が詰まった一冊だった。

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2025年08月01日

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