【感想・ネタバレ】ダーウィンの進化論はどこまで正しいのか?~進化の仕組みを基礎から学ぶ~のレビュー

あらすじ

ダーウィンの『種の起源』刊行から150年以上、進化論のエッセンスは日常に浸透している。変化できるものだけが生き残る。こんな言葉を一度は耳にしたことがあるだろう。しかし、生物の進化はそんなにシンプルなのか。すべての進化は生存に役立つ。否、偶然による役立たない進化もある。生存競争に敗れれば絶滅。否、生存競争から逃れることもある。複雑だけども面白い生物の進化。本書ではその仕組みを最新研究も交えて解説する。

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Posted by ブクログ

非常に勉強になったが、少々専門的で、まったく基礎知識がない人だと到底歯が立たないのではないか。膨大な参考文献、具体的な多数の事例が載っており、ガチの学者の書いた本。いわゆる「初学者向け」であり、「素人向け」ではまったくない。

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2024年09月07日

Posted by ブクログ

ダーウィンの進化論は、進化を説明する理論の基盤としては正しいものの、補足すべき点が多くあるとして、遺伝子と進化の関係を細かく説明した本である。以下、特に興味深かった論点の感想を記載する。

◾️利己的な遺伝子:
ドーキンスが提唱した「利己的な遺伝子」の考え方は、本書で否定されている。
ドーキンスは「自然選択の結果、自己複製しやすい遺伝子が増えるので、生物個体の性質も遺伝子の増殖に寄与する形に進化する」としている。
ドーキンスの主張は、遺伝子中心に生物を見ようというものなので、これは別に誤っていないと思う。本書が否定しているのは、ドーキンスの主張から派生した「遺伝子が主体的に自己複製を行なっている」というイメージだと考えるので、ここはドーキンスの主張の本質とイメージを分けて議論を展開して欲しかった。

◾️多様性の意義:
多様性については、生物全体が生き残る上で有利に働いていると個人的には思っているが、必ずしもそうとは言えないと本書は主張している。
遺伝的多様性が高いことで適応進化が阻害される場合も少なくないと記載されており、生存率を上げるアレル(染色体上の同じ位置における塩基配列のバリエーション)を持つ個体の増加が、生存率に中立、またはネガティブに働くアレルを持つ個体によって阻害されるということが、多様性が必ずしも生物全体の存続に有利に働くとは言えない理由としてあげられている。
個人的にこれは疑問である。そもそも、環境変化が発生した際に、種の生存率を上げるアレルを持った個体が集団内にいる確率は、遺伝的な多様性と比例して高くなると思う。その後の多様性がある故の生存に適したアレルの拡大阻害要因は理解するが、そもそも多様性がなければ、環境に適応できるアレルを持った個体もいないので、長期的な視点では、多様性は生物全体の存続には有利に働くと言い切って良い気がする。

◾️生物の目的:
個人的に凄く賢いと思っている人達からも「(人間としては別かもしれないが、)生物としてのミッションは次世代に遺伝子を繋ぐこと」という論を聞くことがある。その度、「それは違うだろう」と思っていたが、本書でそのことにより自信を持てた。
もちろん、生物の本能は、自己の遺伝子を次世代に残しやすいように出来ている。でもそれは、生物のミッションが遺伝子を残すためだからではなく、自然選択の結果、そういう本能を生物個体に付与する遺伝子が生き残りやすかっただけのことである。期初に会社にコミットするパフォーマンス目標のように、生物個体が種にコミットすべき目標など、当然ながらない。
自虐的に言う場合も含めて、子供を持っていないことを「生物としての役割を果たしていない」と言うとか、子供をつくれる年齢を超えたことを「生物としての役割を終えた」などと表現するのは、道義的だけでなく、事実としても完全に誤りだということは、広く認識されるべきである。

* * *

進化論は様々な主張の謎の理由付けとして使われがちなので、正確に理解することは大切だと改めて思った。

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2025年01月14日

Posted by ブクログ

とても詳しく書かれているけど、詳しすぎて専門知識のない人からするとかなり読むのが大変。
タイトルがとてもキャッチーな分、ライトなものを想像していたので面食らってしまった。

特に、本題に入る前の前提のところや専門用語の説明のところで必要以上に丁寧に(悪く言えば長く複雑に)説明していて、毎回本題に入るまでに疲れきってしまう感じがあった。

正確な情報を書く、というのは当然守られるべきことだけど、そこで終わってしまってはだめで、正確さを守りつつ、どの情報をどれくらい詳しく述べるかの取捨選択をするのが筆者や編集者の腕の見せ所ではないか。
この本で伝えたいことは何なのか?それに照らしたときにここの情報はこんなに詳しく説明する必要があるのか?というのを意識しながら執筆・編集したらもっと良い本になっていたと思う。

もしくは、最初から専門知識がある人向けに書いてしまって、タイトルももっと硬派なものにすべきだった。
今はタイトルがライト層向けなのに中身がライトじゃないから、本来この本を届けるべき相手に届きにくい形になっているような気がする。
そう思うと著者自身というよりは編集部や営業の問題かな。

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2024年07月14日

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