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Posted by ブクログ
人間は、他の人のことを心に懸けずにはいられない。“経済学の父”が、『国富論』に先立って構想した、「共感」原理に基づく道徳哲学を読み解く書籍。
私たちは、他人が悲しんでいると自分も悲しくなる。
それは想像力の働きによって、自分の身を他人の身に置き換えて考えるからだ。想像こそが、他人を思いやる気持ちの源である。
私たちは、友人に喜びよりも悲しみをわかってもらいたいと願う。
不幸な人は、共感が得られたら悲嘆を引き受けてもらったと感じる。この時、相手は悲しみを分かち合ったと言える。
私たちは自分の富を誇示し、貧しさを隠そうとする。それは、人間が悲しみよりも喜びに共感する傾向があるからだ。
栄達を求めず、何者にも頼らず、ひたすら自由に生きる。
そのための方法は、野心を抱かないこと、そして人々の注目を独占する支配者と自分を比べるような愚を犯さないことだ。
人々の尊敬と賛美に値するようになるための道は、2つある。
「富と権力を手に入れる道」と「知恵を究め、徳を実践する道」だ。そして、大多数の人間は、前者に惹きつけられる。
生活の程度が中流~下流の人の場合、堅実な職業的能力を備え、注意深く、不正を犯さず、慎み深く振る舞えば、失敗しない。「正直は最善の処世術である」という諺の通りである。
幸福は、心の平穏と楽しみの中にある。心が穏やかであれば、たいていのことは楽しめる。不幸に陥る大きな原因は、他者と自分の境遇を比べ、その差を過大視することにある。
個人にとって有用な資質は「理性と理解力」「自制心」だ。この2つの資質が「思慮」という最も有用な徳を形成する。