あらすじ
寄席に行かずに落語を知る画期的な方法として明治期に生まれた「口演速記」。三遊亭圓朝ら当時の人気落語家の速記本は好評を博し多くの読者を獲得しました。一方、二葉亭四迷らの言文一致運動にも多大な影響を与え、日本近代文学史上においても重要な役割を果たしています。演芸速記の誕生秘話や発展の歴史、そして坪内逍遥、夏目漱石ら作家たちとの関わりなどを解説しながら、明治期の落語を現在に残す第一級の資料である口述速記について考察。文学ファンのみならず、ディープな落語ファンの要求にも応えます。
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Posted by ブクログ
二葉亭四迷が言文一致体の文章で悩んでいたと時に、圓朝の落語速記を参考にあみだした、というエピソードは割と有名ですが、本書は、その「演芸速記」側の受容・発展の変遷と、それが文学側にどのように波及していったか、という落語(+講談)側からみた流れの考察で、とっても面白かった。
落語の速記本の黎明期から、その当時、江戸時代の草双紙などで慣れ親しんだ文語体の文体から如何に口語筆記が受け入れられていったのか、という点や、世の中、大半の人はこういう速記本を読んで高座の様子を楽しんでいたということなど、録音や録画のない時代の記録メディアとしてはそうなるよな!という納得感。(今で言う、円盤のかわりですよね)
文字で如何に高座を記録するのかの試行錯誤の様子や、最終的に、最初から高座にかけるのではなく「書いて雑誌に掲載する講談作品」の登場 → 大衆文学、探偵小説への流れ まで触れられていて、所謂、「文学史」とは違う、市井の人々の間での文字媒体エンタメの変遷みたいなのがざざっと理解できて、私の知りたい範囲だったのでとても参考になりました。(そして、読んでみたい本が増えました!)