【感想・ネタバレ】温泉文学論のレビュー

あらすじ

幸田露伴が問い、川端康成が追究した「温泉文学」とは何か? 夏目漱石、宮澤賢治、志賀直哉……名作には、なぜか温泉地が欠かせない。立ちのぼる湯煙の中に、情愛と別離、偏執と宿意、土俗と自然、生命と無常がにじむ。本をたずさえ、汽車を乗り継ぎ、名湯に首までつかりながら、文豪たちの創作の源泉をさぐる異色の紀行評論。

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Posted by ブクログ

温泉でゆかりの文学作品に思いを馳せる。異色の温泉文学。

多くの名作の舞台となる温泉。作品を読み返し温泉を訪問し著した作品。

尾崎紅葉「金色夜叉」の熱海
川端康成「雪国」の越後湯沢
松本清張「天城越え」、川端康成「伊豆の踊子」の湯ヶ島、湯ケ野
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」の花巻
夏目漱石「満漢ところどころ」の熊岳城、湯崗子
志賀直哉「城の崎にて」の城崎
藤原審爾「秋津温泉」の奥津
中里介山「大菩薩峠」の龍神、白骨
坂口安吾「黒谷村」の松之山
つげ義春「ゲンセンカン主人」の湯宿

章末の書籍の出版状況と温泉の現在に関する付記が良い。

ちょっと独特の文体で小難しい。

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2021年04月17日

Posted by ブクログ

近代日本文学における温泉というトポスに焦点を絞った論。こういった本はこれまでありそうで実は意外となかったものだけに、着眼点を評価したい。
日常に対するハレの場・中心に対する周縁、二項対立の劣位に置かれた「異界」としての温泉という場を文学の立ち上る場として描き出そうとする試みは、まことに興味深い。総花的で話題が散漫になるきらいはあるが、鉄道など交通手段の発達と温泉の関係など面白いテーマは本書の各所に出ているだけに、著者にはぜひこの主題を掘り下げた次回作を書いてほしいところ。

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2009年10月07日

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