【感想・ネタバレ】単純な脳、複雑な「私」のレビュー

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Posted by ブクログ

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心や自由意志について脳科学の観点か見つめ直すことができる。ページをめくるたび新たな発見がありおもしろかった。

特に印象に残ったのは無意識のほうが意識より正確、(意識的な)記憶は歪められる、意識が無意識にあとから理由をつける、好き嫌いの理由は案外単純な理由かも、など。

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2020年09月16日

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基底核は手続き=方法記憶の座。その特徴は、無意識・自動的・正確、そして繰り返し訓練によって身につく。
「ひらめき」の訓練を繰り返すことで「直感」は力が養われる。

体は変更できないけど心は変更できる。感情を操作して行動に合わせる。

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2015年06月24日

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以下気になったことのまとめ

1章

自分の行動や思考の多くは無意識的な振る舞い

なので自分が想像してるほど自分のことはわからない

理系は人差しが短い。

これは、単に男の人のほうが人差し指が短く、男の人のほうが理解に進みやすいということ。

人差し指が短い理由は、お腹の中にいるときな、男性ホルモンにさらされると男性になるが、男性ホルモンにさ細胞を殺す作用があり、人差し指が短くなる

と言われている

天然パーマはIQが低いのも同じような理屈。

アフリカには天然パーマの方が多く、アフリカの一部地域では教育が届いておらず、そういう統計になっているだけ

こうしたデータは因果関係ではなく相関関係があるといえる。

因果関係があることは証明できない。統計的に相関の強さを見て、因果関係があるとしているだけ。

解熱剤を飲まなくても熱は下がるかもしれない、など。

脳の活動こそが事実、つまり感覚世界の全てであって、実際の世界である「真実」については脳は知り得ない

人の顔は、左側だけでほとんど判断している

言語は左脳で判断して、イメージは右脳が司る。左側の視野で見たのもは、右脳が判断するので、左側

この歌はなんで好き?という理由でメロディーや歌声ではなく、実は楽しい時に聞いた曲を聴くといい曲と錯覚してしまう

視線を動かして見た場合と、視線をそのままにして新しいものを見た場合だと、視線を動かしたときの方が魅力的に錯覚しやすい

脳が視線を動かしてみる必要があるもの、と錯覚するから

恋愛は麻薬のように快楽作用がある。

快楽は盲目にさせる。ネズミが快楽のボタンを押すと、そればかり押して食事もしなくなり気付いたら餓死してしまうなど。

子孫を残す際は、よりよいパートナーを選ぶ脳がある。しかし全世界の人からベストは探せない。そのとき、恋愛で盲目になって、目の前の人がベストパートナーと錯覚できるよように、恋愛がある

ひらめきは思いついた後に理由を説明できるが、直感は理由を説明できない

大脳基底核が直感を扱う。大脳基底核は、自転車の乗り方や箸の持ち方など体を動かすことに関連したプログラムを保存している。

そしてこれは、非常に正確。箸の持ち方を間違えたなどがらないように、正確。

大脳基底核は、1回やっただけでは記憶しない。繰り返しによって記憶される

女性はノンヴァーバルコミュニケーションに長けていて、ちょっとした仕草や態度や表情に敏感。男性はこれが苦手なので、言葉を重視する

例えば女性はプレゼントの際にも、どんなシール貼ろうかやリボンなど細部に気を配る。それが女性には伝わるから

人の痛みを見ると、自分も痛いと脳が感じてしまう。それは仲間外れにされた、など社会的な心の痛みも、脳は「痛み」と感じてしまう。

進化の過程で動物は他者の存在を意識できるようになった。次に他者を観察することで、その行動の理由を推測できるようにらなった。

他者を観察して得たことを自分にも適用すれば、自分の観察にもなる。

そういった手順で自分に心があると理解する

3章

脳は常に頭蓋骨の中にあるので、外界の情報を知るには手や足や目など身体を使わないと情報を得れない

味覚は塩味、甘味、旨味、酸味、苦味の5種類

皮膚の感覚も温覚、冷覚、圧覚、痛覚など数種類

嗅覚は、400種類くらい嗅ぎ分ける。ネズミなら1000種類。嗅覚だけ異常に多い。

それは、食べ物を探すため。睡眠中でも嗅覚は活動している。嗅覚以外も感じ取れていたら、睡眠が妨げられる

身体を動かそうと思ったとき、その直前には脳はすでに身体を動かす準備を始めて完了している。その後、身体を動かそうと思い、動かすという流れ。

子供は体は動く準備できたらすぐに行動しちゃう。大人になるとそれを拒否できるようになる

よって、ぼくらは自由意志ではなく、体が思ったことを「やらない」という選択肢、つまり自由否定ができるだけの存在

4章

アリの行列。アリはフェロモンを出しながら歩き、フェロモンを辿って帰る。

そのフェロモンは揮発性で時間が経てば消える

時間が経てば消えることで、今残ってるフェロモンに時間という概念が加わる。昔のフェロモンが消えることで、帰り道がわかるようになる

でもたまにフェロモンを辿っていかないアリがある。それはノイズだが、そういうアリが最短ルートを見つかるかもしれないし、もっと大きな餌を取るかもしれない。だから必要

アリのフェロモンは揮発性なので、濃いフェロモンを辿っていけばノイズには騙されない仕組みにもなっている

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2022年05月01日

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本書の終わりに、著者は、アウトリーチ活動について述べていた。アウトリーチ活動とは、研究者が、専門家ではない一般の人たちとの対話の場を持ったり、一般書を著したり、易しい講演を行ったりと、その労力をいわゆる社会活動についやすことである。

本書は、著者の出身高校の現役学生に対し、全校講演を行った内容と、その内容に特に興味を示した9名に対し、その後行われた3日間に渡る特別講義の内容を収めたものである。すなわち、後輩学生たちへのアウトリーチ活動の記録である。

アウトリーチ活動については、賛否あり、「一般向けにかみ砕く行為は真実の歪曲」などという否定意見もあるそうだが、本書を読む限り、科学的なテーマについて、実際に検証を行いながら真実を確認するやり方で行う講演であり歪曲に値するとは感じなかったし、さらに未来の科学者に対し、科学的課題究明のプロセスを体験してもらえるという教育的側面でもとても有効な取り組みであると感じた。

「ロウソクの科学」でファラデー氏が、子どもたち相手に実験を交えながら講演した光景とダブルものがあった。

本講義は、脳科学に関する講演であると思う。第一章では、「脳は本当はバカなのだ」というような話が、実例とともにたくさん紹介されていた。「ゲシュタルト群化原理」という脳の早とちりの話、能動的に視線を動かせば好きでないものも好きになるという「錯誤帰属」の話、長く接することで好きになってしまうという「単純接触現象」の話、というように専門的な内容を卑近な事例で紹介してくれる。

本書の中では、脳の不思議を体験できるような実験がふんだんに盛り込まれている。サブリミナル効果が無意識に働きかけているという事実が、データから証明される。まるで手品でも見ているかのように不思議でかつ、興味深い。

手首を動かす実験では、「手首を動かそう」と意識する前に、すでに脳が準備しているということが分かった。脳が「動かせ」という指令を発する前に、すでに実際に「動いている」という実験データであった。意識する前から脳が準備しているとはどういうことか?脳が指令を出す前にすでにアクションが起きているということはどういうことか?意識は、何者かに支配されているのか?

この実験結果は、受講した高校生にも非常に印象が強かった。自分としては、意識の前に無意識が脳をスタンバイさせたり、意識の司令前に無意識の指令があったのではと考えてみたくなった。

そのほか、講義の内容は多岐にわたり、初めて知ったことが満載である。例えば次のようなこと。

・「遺伝多型」というものが個性を生み出している事実(血液型の違いや、赤色を感じる受容体の違い、うまみを感じる受容体の違い、嗅覚の違いなど)

・生物進化の過程には、機能の「使い回し」があるという事実(今まで別の機能として役立っていたものを、全く異なる方向に転用し、新しい使い方を発見して、能力を開発していくこと)

・脳の働きには「ゆらぎ」があること。ゴルフクラブを握る握力は、脳のゆらぎによって異なり、それによってショットの成否が決まる。この「ゆらぎ」の仕組みの把握により、コントロールできる可能性があるということ。

・脳の可塑性について。これがあるから、遺伝子で決定されたデフォルトの状態から、さらに変化できる。学習や訓練によって能力を固めていけるのは、脳にこの可塑性というものがあるからだそうだ。

・脳のゆらぎ(ノイズともいわれる)には、3つの役割(①最適解への接近、②確率共振、③創発のためのエネルギー源)があるということ

・その③創発とは、数少ない単純なルールに従って、同じプロセスを何度も繰り返すことで、本来は想定していなかったような新しい性質を獲得すること。

本書のタイトル通り、脳はシナプスとニューロンの単純な働きによって機能している。ニューロンがやっていることは、シナプスを経由の入力を足し算し、その結果を次のニューロンへ出力するという単純なものだそうである。しかし、そのシナプス入力に「ゆらぎ」が発生し、創発が起こる。

最後にリカージョン(入れ子構造)ということについての講義があった。これが我々が心の不思議を感じる要素のようである。「複雑な私」とは、ここから来ているようだ。

脳の構造や働きについて、高校生と共に学んだが、まだまだなんとなく消化不良感がある。高校生たちの事後の感想にもまだ完全に理解しきれていない様子は感じられたものの、彼らの視点は鋭く、著者にドキッとさせる質問が飛び交い、科学の世界へののめり込みかたは、将来への頼もしさが感じられた。。

それと同時に、自らが脳の保有者であり、使い手でありながら、その機能について知らないこと(知らなかったこと)が多いということ、またその機能の不思議さに対する驚きがあったということも事実である。

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2020年10月04日

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