【感想・ネタバレ】羅刹国通信のレビュー

あらすじ

叔父を殺したことは固く秘しておくべきだった。自殺するなんてと母が泣き続けるものだから、本当はわたしが崖から突き落としたのだとわかれば、すこしは気が楽になるかと思ったのだ。震災で妻を失いPTSDに苦しむ叔父との同居に疲弊する家族のために、小学六年生の左右田理恵(そうだりえ)は叔父を殺した。その四年後、理恵は奇妙な夢を見るようになる。荒れ果てた灼熱の地で岩蔭と食糧を求める「鬼」の集団。かれらは二つの勢力に分かたれ争い殺し合う――その法則を理恵に教えたのは、同じ夢を共有する一人の少年だった。鬼才の幻視文学の頂点となる幻の傑作、初単行本化。/【目次】羅刹国通信/続羅刹国報/続々羅刹国――雨の章――/続々羅刹国――夜の章――/解説=春日武彦/津原国通信=北原尚彦

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Posted by ブクログ

ネタバレ

彼女には異常であるという正常性バイアスがある
殺したのか殺していないのか
詳らかににすることで得られる正当性
不確定すぎると得られない心の平穏
どちらか一方への依存

妄想なのか現実なのか
薄いブルーグレーの世界
この物語の素晴らしさは筆舌に尽くしがたく、反面、読んでしまったことへの後悔は計り知れな

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2024年05月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公達が羅刹国と呼んでいる夢の中での出来事と、現実での出来事が交互に語られていく形式で進んでいく物語。
物語の解釈について、単行本の解説内で解説者さんが幾つか提示されていたり、著者さんの思惑も記されていたりしたけれど、私は羅刹という設定の裏側に隠されている意味は深く考えず書かれているそのままを楽しみました。

羅刹国での共食いの様子とか、Gをどっかから出しちゃうとことか、結構グロテスクな場面があるんだけど、オノマトペで表現されてないからか割と淡々と状況が語られていて、それが良かったです。
気味の悪いオノマトペが散りばめられているお話も悪くはないと思うけど、オノマトペに頼らない表現方法で進んでいくお話の方が想像の幅が広がるように思える。

あと、ちょっとだけ違和感というか気になったというか。
主人公が固定電話使ってたり(2000年にスマホはまだ無い)、バスの運賃を現金で払っていたり(交通系ICカードっぽいのもまだ無かったはず)、昔よく耳にしたメントール系の細いタバコの銘柄が出てきたり。
25年ほど前に文芸誌で発表された物語だから、これはしょうがないよね。。

昨年読んだ「改元」に近い読み応えだったけど、設定はこちらの方が好みなので、羅刹国の新たな場所にたどり着いた所で終わってしまったこのお話の続きは永遠に望めないということが非常に残念です。
(と思う一方、むしろこの終わり方がより幻想的な感じを深めていて良いのかも…と思ったりもするけど)


表紙の、このグレーの淡い感じも内容に合ってる気がしてます。読む前は単に幻想的な感じを出してるのかなって思ってたんだけど、読み終えてからは、羅刹国の荒涼とした地に佇んでる理恵を横から見た場面(黒髪が風になびいていて、鼻元がちらっと映ってるような)にも見えたりして。
あと、カバーめくったら、ハードカバーの上下に若干の黒ずみがあって。表表紙は左上に裏表紙は右下にあるから、これは多分意図的ですよね… 羅刹国通信って、羅刹国から戻って来た あるいは羅刹国にいる間に理恵が書いたのかな、それともこの本を汚れた手で持って読んだのかな、そんな風に勝手に解釈して楽しんでます。

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2026年01月31日

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