【感想・ネタバレ】はじめてのノモンハン事件のレビュー

あらすじ

太平洋戦争が勃発する直前の1939年に起きた、満州国とモンゴルの国境紛争であるノモンハン事件――。戦闘の規模から言えば、事実上の“日ソ戦争”にもかかわらず、1万9千人もの戦死傷者を出した大苦戦の内実は国民に知らされることなく、あくまで“事件”として内密に処理され、闇に葬られた。なぜ日ソは満蒙の地で激突したのか? なぜ関東軍と参謀本部は決裂したのか? なぜ現場指揮官に苛酷な責任追及がされたのか?本書は、「最初の『日ソ大衝突』となった張鼓峰事件」「『国境線は自ら決めよ』――満州国とモンゴルの紛争」「モンゴル領内での死闘――ハルハ河を左岸へ渡河」「『劇的に勝つ』――ソ連軍、八月大攻勢への入念な準備」「玉砕か撤退か――ノモンハン戦の運命が決まる」「停戦とその後――世界は第二次大戦に突入した」など、今なお戦史のベールに包まれた“草原の死闘”の真相に迫る。この戦争を知らずして、昭和史は語れない。

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Posted by ブクログ

失敗の本質で触れられたノモンハン事件を詳しく知るために購入。図の多用などあり非常に読みやすい。日本の実質は果たして当時から変化したのか...?

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2012年08月13日

Posted by ブクログ

 本書は1939年(昭和14年)に起きた「ノモンハン事件」というソ連との「大戦争」を詳細に紹介した本であるが、当時の日本の国家的誤りの記録として高く評価できる内容であると感じた。
 当時の「満州国」と「ソ連」との人も住んでいないような、あいまいな国境線についての争いが、「日本軍は、戦死・行方不明・戦傷・戦病19668人。ソ連軍は、戦死・行方不明・戦傷・戦病23926人」という「大戦争」になったことについては「現在ではまさに想像を絶するとしかいいようがない」と感じたが、本書の詳細な内容を読んで、当時の日本の「国家的誤り」を痛感する思いがした。
 「朝鮮軍・関東軍・参謀本部それぞれの思惑」が交錯する当時の日本において、軍部が大きな政治的発言力を持ち国家戦略をリードしていた実態を読んで、「なんと愚かなことか」との感想を持った。
 1939年当時、日本軍は中国の本土の約半分を占領しており、この日中戦争のめどがまったくつかない状況の中で、さらにソ連との大戦争を始める余力などあるわけがない。その中で、当時の関東軍は、ソ連との戦争に傾斜していく。全体を指揮する参謀本部が、必死にブレーキをかける中で、アクセルを踏み続ける関東軍の愚かさ。本書を読んで、当時の日本の国家体制の異様さがわかった思いがした。
 本書は、政治が機能せず、軍部が権力を持つことの弊害がよくわかる歴史書である。

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2012年05月16日

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