あらすじ
大宮署の刑事・未希は17年前に息子を亡くした。廃工場の冷蔵庫に閉じこめられて死んだのだ。犯人は捕まっていない。ある日、大宮駅前で車の爆破事件が発生。被害者は息子の葬儀を執り行なった男だった。さらに数日後、その同僚だった男もまた、大宮駅前で刺殺される。17年前の事件が、時を超えて動き出した――未希は捜査にのめり込むが、思いがけない出来事が彼女を襲う。第27回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作!
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Posted by ブクログ
新人さんとは思えないんですが。スッキリ柱の通ったプロットに破綻は一切ないストーリー。最後の数ページで全部ひっくり返るのは、ページ数の多くなる(だろう)次作で改善してもらうとして、これはシリーズ化して欲しいなあ。ハルくんを主人公に。期待してます。読んでない方、ぜひ!
Posted by ブクログ
読み易いとは言えない文章表現。自分の読解力のなさかもしれない。頭の中で映像がイメージできにくかった。
主人公はアラフィフの女性刑事。離婚はしてないが別居中の夫がいる。彼も警察官。女性刑事のバディは夫と警察学校の同期だった刑事、何かと好意をアピールして来る。この3人の関係性を中心にストーリーが展開していく。女性刑事はかつて自分の小学生の息子を事件で亡くしていた。その犯人は未だに見つかっていなかった。
ある日、駅前で車ごと男が爆死させられた。その男は自分の息子の葬儀を取り扱った葬儀会社の人間だった。未解決事件と現在の事件がリンクして一気に捜査の糸は絡まっていく。
貧困のシングルマザーに近づき、美味い汁を吸う卑劣な奴ら、虐待の連鎖で暴力を振るうDV夫、いくつも伏線が張られている。捜査にあたる女性刑事も自分の子に対する闇を抱えていた。誰もが怪しいと思わせる行動ですべてが疑心暗鬼になる。悪いやつは誰だ!すべてが明らかになった時、人間不信のどん底に落とされることになる。
Posted by ブクログ
大宮署の刑事・蝶野未希の息子遥希は、17年前、廃工場の冷蔵庫に閉じこめられて死んだ。一緒に遊んでいた二人の友達のうち、一人は行方不明。一人は親の都合で外国に行った。犯人は捕まっていない。その後刑事から交通課に異動した夫・隼人と入れ替わりに刑事になり、事件を忘れるように言う夫と別居する。
ある日、未希は、同期で県警刑事の宇月と大宮駅前で発生したドライアイスを使った車の爆破事件に遭遇。被害者は、遥希の葬儀を執り行った葬儀社の社員で独立して葬儀社を営む三上だった。因縁を感じた未希は、息子の事件との関係を探り始める。
女性の生きづらさを背景にしつつ、真犯人の歪んだ愛情と復讐心を描く。さまざまな親子関係をちりばめて。
未希の葛藤をわがことのように感じる女性は多いんじゃないかな。それにしても真犯人…… だよねと思いつつ、闇が深い。
Posted by ブクログ
被害者の特定において、名刺だけで検死の報告等が描かれない冒頭に違和感。主人公ここまで動けるのか、警察内部で?の疑問に、ここまで人間関係を絡ませる必要が?
Posted by ブクログ
題材
・警察
テーマ
・どれだけ困難が襲いかかろうとも、走り続ける
最も伝えたかったこと
・息子の死を抱えながらも、警察官として生きる主人公の姿
何が新しいのか
・熟女&女性警察官
キャッチコピーは何か
・「大切なのものは永遠に戻らない。刑事にしがみつくしかなかった」
その他(心に残ったことなど)
・著者と同年代の主人公(故に世代特有の部分が台詞や行動に反映されている)
・最後の章で途端に冷めた。無理にすべてを繋げなくても……と思った。
Posted by ブクログ
ドライアイスを使った殺人事件が起き、蝶野未希と宇月刑事が捜査する。
蝶野は17年前に息子を冷蔵庫に閉じ込められ亡くしていた。
その後に次々とドライアイスを使った爆弾や窒息死の事件が続き、ドライアイスから葬儀社の男に疑惑を向けるのだが。
捜査を進める過程が面白い。なかなか核心に迫れない中で、事件周辺に関わる人物たちの切ない事情や悪徳業者の裏の顔が明らかにされる。
ただ事件解決の過程は面白いのだが、犯人が判明した後の犯罪過程を犯人が説明するのは興醒めの感があった。
警察刑事と夫婦、警察官であり女性であり母親である苦悩が、女性犯罪者と共鳴する感情は女性作家ならではの観点として好ましかった。