あらすじ
1964年、夫妻で[The North Face]という小さなアウトドア用品店を構え、その後ファッションブランド [Esprit]とともにアパレル業界で大成功をおさめたトンプキンス。
1年の半分はチベット、アルプス山脈、コスタリカなど世界中を飛び回り、カヤックやスキー、登山をしながら、ときどきオフィスに電話をかけて経営に携わる”不在経営”(Management by Absence)という手法をとっていた。
ブランドの大成功で資本主義社会の頂点を極めた後、自分が“間違った山に登頂してしまった”と感じる。
一大決心して会社を売却し、サンフランシスコからはるか6400マイル南のパタゴニアの地に飛び、小さな山小屋で 美しい自然のなかで暮らし始める。
そこでの暮らしが契機となり、前代未聞の大規模環境保護キャンペーンを展開することになる。
パタゴニアから南米最南端のティエラ・デル・フエゴまで、2500万エーカーという広大な土地を国立公園化し、南米大陸の生態系を破壊から守ろうとする、極めて大胆な取り組みだった。
企業活動と社会課題の解決を重ね合わせなければならない現代において、その先駆者となった登山家・起業家・環境活動家の生き様は、数多くのインスピレーションと勇気をもたらしてくれるだろう。
■目次
Part 1---------------------
第1章 リュックサック革命
第2章 無償の征服者
第3章 雪洞
第4章 プレイン・ジェーン社のメインストリーム進出
第5章 エスプリ・デ・コープ
Part 2---------------------
第6章 北はどっちだ? 南に飛ぶ
第7章 アースファースト!
第8章 開拓村
第9章 シベリアでトラを追う
第10章 異鳥2羽、場違いな土地に渡る
第11章 サーモン戦争
Part 3---------------------
第12章 輝ける水の土地
第13章 プマリン公園
第14章 パタゴニアの中心で
第15章 川殺し
第16章 ムサシ作戦
第17章 川守り
Part 4---------------------
第18章 オウムに見せる人形劇
第19章 公園街道
第20章 パタゴニアで被災
第21章 ダグ後元年--1AD
第22章 嵐に首をすくめる小島
■著者について
著 ジョナサン・フランクリン
作家・調査報道記者。チリのサンティアゴと米国のニューヨークを中心に活動しており、過去28年間、ワシントンポスト紙、ニューヨークタイムズ紙、ガーディアン紙、デルシュピーゲル誌に記事を書いてきた。
既刊本のうち2冊が映画化されている。
また、『438日間(438 Days)』はアマゾンランキングで世界2位のベストセラーになっている。
何百本もの記事を書く、ドキュメンタリーを制作する、60ミニッツ、CNN、ボイス・オブ・アメリカに出演するなど、20年以上にわたり中南米をカバーしてきた。
金密輸について著者が調べた内容は、2020年1月からアマゾンで配信されたシリーズ、『汚れた真実』でも描かれている。
翻訳 井口 耕二(いのくち・こうじ)
1959年生まれ。東京大学工学部卒、米国オハイオ州立大学大学院修士課程修了。
大手石油会社勤務を経て、1998年に技術・実務翻訳者として独立。
夏山縦走をするなど山好きで、子どもにも山にちなんだ名前を付けているし、いまも年の半分近くを山麓で過ごしている。
主な訳書に『イーロン・マスク 上・下』(文藝春秋社)、『スティーブ・ジョブズ I・II』(講談社)、『レスポンシブル・カンパニー』、『新版 社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア経営のすべて』(ダイヤモンド社)など、共著書に『できる翻訳者になるために プロフェッショナル4人が本気で教える 翻訳のレッスン』(講談社)がある。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
TNFの創業者ダグ・トンプキンスの破天荒な冒険に溢れた生涯を描いたノンフィクションルポ。
ノースフェイスとパタゴニアの創業者にこんな深いかかわりがあったのは知らなかったし、エスプリというブランドも知らなかったし、とんでもない利益を生んでいることも知らなかった。まだまだ知らないことだらけだなぁ。
核心はそういう経済活動ではなくて、チリやアルゼンチンなど南米での自然保護活動のパート。環境活動家というのは感情も行動も極端に走りがちなので、共感が湧きにくいことも多いし、この本でもそういう部分がある。
それでもやっぱり、財産と生涯かけて保護すべき土地を買い、環境を整備復旧し、言葉と景観を使って人々を啓蒙して、最終的には整備した土地を国立公園として国に返すという事業を成し遂げていく描写には感動を覚える。理屈じゃなくて行動なんよね。考えた通りにはならんけど動いた通りにはなる。
一つ気に食わんのは、反捕鯨活動のパート。個人的には捕鯨賛成派だが反捕鯨を主張する意見があることが理解する。ダグがそれを主張したいなら、南米での行動のようにきちんと運動すべきだろう。仕事のストレスの気晴らしに捕鯨船に攻撃を仕掛けるという態度は、環境活動に反対されて嫌がらせを受けた自分と同じじゃないか。
自分は正しいからいいのだ、という意固地さが彼ら環境活動家のイヤな部分なんだ
Posted by ブクログ
ノースフェイス創業者のダグトンプキンスの環境保護活動について
ノースフェイス自体はすぐ売却しているので話にはほとんど出てこない。
友人のイヴォン・シュイナードはパタゴニアの経営を続けているので少し話に出てくる。
捕鯨保護活動は疑問あり