あらすじ
三十代も半ばを過ぎた頃から、「新しいことがだんだん覚えられなくなってきた」とか、「人の名前が出てこない」「会話に、あれ、とか、これ、とかいうのが増えてきた」と感じる方が増えてくると思います。そして、記憶力を「取り戻す」いい方法があるのなら知りたいと。
そこで記憶術の本を探してみれば、多くは、「ダジャレで覚える」「シナリオにして覚える」「頭文字で覚える」など、「入力系」の本が多く、そのゴールは究極的には、たとえば、円周率を何桁まで覚えられるか、といったことだったりします。けれども、大半の方は、別に、そういうことができるようになりたくて、記憶力を取り戻したい、あるいは、高めたいわけでないはずです。
そうではなくて、日常の仕事の場で、固有名詞や数字やエピソードが、その場に応じてすらすら出てきて、議論や交渉、説得、営業、プレゼンなどが、スムースに生産的に行えるようになりたい。そして、すごい切れ者だ、優秀な人だ、と思わせたい。あるいは、英語や中国語、大学院や各種資格の試験など、いくつになっても、新しいことに挑戦したい、そのために、記憶力をもう一度磨きたい。と、そういうことだと思います。
そして、その記憶力を使って、これまで以上に生産的な仕事をしたい、創造性を発揮したい、つまり、価値あるアウトプットを出し続けたい、ということだと思います。
本書は、そういう方のためのものです。
そして、結論から最初に申し上げると、それは十分に可能です。というよりも、むしろ、四十歳を超えたぐらいから、ますます高まります。ただし、そのために、知っておくべきこと、するべきことはあります。それがないと、やはり、十代の子どもに負けてしまうかもしれません。本書では、その「知っておくべきこと」「するべきこと」をお伝えしていきます。
むずかしいことではありません。なんだ、というような当たり前のことと言ってもいいでしょう。でも、世の中で、いくつになっても活躍し、尊敬されている人、頭がいいとされている人に、みな共通することです。
最初に、記憶の脳科学と心理学、つぎに、四十歳からの記憶術として、想起力を高めることを中心に、二十のヒントをご紹介します。そして、想起力と頭のよさ、さらには、人生の豊かさとの関係についても。
コンパクトななかに、精神医学と大学受験指導を専門とする著者のノウハウがあますことなく盛り込まれた貴重な一冊となるでしょう。
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Posted by ブクログ
円周率を何桁覚えられるかより、ビジネスパーソンに必要なのは、アウトプットからの記憶術。記銘(インプット)、保持、想起(アウトプット)―記憶の3ステップ。(Amzon.co.jp)
最近、勉強術とか記憶術の類の書籍をよく読んでいます。お恥ずかしい話なのですが、昔から勉強はこれっぽっちもデキるタイプではなかったので、ある意味しわ寄せを喰らっているのかもしれません。(笑) 本著は「40歳からの記憶術」なので今の私にピッタリのタイトル♪
著者の和田秀樹さんは精神科医としてとても有名な方。その立場から記憶のメカニズムを分かりやすく説明してくれて、その記憶をいかに有効活用していくべきか教えてくれます。いつものように目次はこんな感じです。
第1章 記憶のメカニズム 記銘力より想起力
第2章 想起力を高める方法
第3章 想起力が二十一世紀の頭のよさを決定する
エピローグ 想起力で人生を豊かにする
ポイントは「想起力」。想起力を簡単に説明すると、記憶している事柄を用いて、生産的なアウトプットをしたり、創造的なアウトプットをする力のこと。(その対極にあるのが、高校入試や大学入試で丸暗記した「記銘力」。)社会人にとってみれば、資格試験でもしない限り、記銘力のみで仕事するというのはほとんど無い。やはり大切なのは、記憶したモノを価値あるモノに変換する能力なんですよね。その能力である想起力が、デキる社会人かどうかの分水嶺になるようです。本著ではこの想起力を養う20のヒントも提示してくれます。以下、個人的に大切だと思った部分を備忘メモ。
・エピソード記憶にする
・リハーサルを重ねる
・周辺情報をくっつけて、キューをちりばめておく
・出力がスムーズに続く、つながり(経路)をつくる
・入力の割合を下げ、出力の割合を上げる
・効果的なアウトプットから逆算してインプットする
これだけだと理解に苦しむかもしれませんが、事例や体験談を交えて分かりやすく解説してくれます。アウトプットの重要性は分かっているつもりだったのですが、常に意識してアンテナを張っておかないと磨かれないし、これらのヒントを参考にすることで密度の高い記憶が蓄積できそうです。私の場合でいうと、お客さまへの情報提供やプレゼン・店舗セラピストさんたちへの情報共有やメッセージ・店舗運営に関わる情報分析やマーケティングなどが当たるのですが、いざやろうと思ってもなかなか満足いくカタチにできないコトがあります。これは、アウトプットを意識してインプットしていないため。その意味でも最後のヒント「効果的なアウトプットから逆算してインプットする」大切さは身にしみるほど理解できました。
このブログもひとつのアウトプットとして更新しているのですが、単純に思ったことをつらつら書く程度。ブログなのでそういう記事も必要だと思うのですが、これではアウトプット力は上がらない。(笑) これからはブログも精度を上げるように意識しないとダメだなーと痛感です。創起力、これからがんばって養成していこうと思います。
Posted by ブクログ
頭の中にどれだけ知識があるかで賢いか賢くないかが決まるのではなく、その知識を上手にアウトプットし、加工し、そこから利潤を得ることができる人が賢いとみなされるようになってきている 単なる物知りだけではやっていけなくなった、ということであって、ものを知らない人がやっていける時代になった、というわけではないのです