あらすじ
コシノ三姉妹「お母ちゃん」の自叙伝――国際的なファッションデザイナーとして活躍を続けるコシノ三姉妹、ヒロコ、ジュンコ、ミチコを、女手ひとつで育て上げた母親は、自身も強烈な個性を持つデザイナーだった。戦前の洋服黎明期に洋裁と商いの修業をし、結婚後はときに子を顧みず仕事に没頭し、夫との死別後は道ならぬ愛を貫き、コシノ洋装店を繁盛させた。父親から受け継いだ自由な生きざまを、娘たちに背中で見せることで昇華させた、小篠家ゴッド・マザーの物語。
●女学校を中退して、パッチ屋で奉公
●父の差し金で修業先を転々
●独立して、百貨店や病院の制服を受注
●婿養子をもらうも、死別後は妻子もちと恋に
●三姉妹の養育は自由奔放に、ときには援助を
※本作品は2001年10月、小社より刊行された『やんちゃくれ――コシノのお母ちゃんと三姉妹の奮闘記』を、文庫収録にあたり改題、再編集したものです。
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Posted by ブクログ
NHK朝ドラ『カーネーション』のモデルになった小篠綾子さんの半世紀。ドラマではああいうふうに描かれていたけれど実際はこうだったのか、と興味深かった。戦争が終わるくらいまでは事実をわりと忠実に再現していたけれど、戦後は、綾子さんのえぐいところを上手に“いいひと、いい母親”につくりかえていたようだ。まぁ朝ドラだからね。綾子さんにしろ糸子さんにしろ、こういうひとは母親にも娘にも欲しくない。友だちにもいらない、振り回されて面倒だから。でもこのひとの人生は目が離せないので、近所のおばちゃんぐらいの立ち位置が丁度いい。履物屋のおばちゃんとして、彼女の人生に関わったら面白かっただろうな。(2018-04-21L)(2018-05-12L)
Posted by ブクログ
カーネーションにはまって、読んでみた。
カーネーションの印象がものすごくあるところから読んだので、あ、ここはドラマと違うんだなとか、そういう見方になってしまって本単品の評価はできないけど、ドラマを先に見ていたからこそお父ちゃんとのやりとりの部分とかはその映像が思い浮かんで、ついのめりこんで読んでしまった。
ドラマを見ていても思うことだけど、本を読んで改めて感じたのは、自分の人生に対する自分の責任っていうものがあって、それは子供とか大人とかは関係なくて多分人としてみんながそれを負っているんだなということ。
だから「やりたいことを決めるのは親じゃなくて自分自身」とか、「決めたんやったらやりきり」とか、そういうところがすごく響いた。で、始終そういう考えで一貫されているところが気持ちよく感じた。
ドラマの中で一番響いてるのは、優子が進路に悩んでるときに糸子が「自分で考え」って突き放すところ。ドラマはドラマ、この本はこの本で状況とかは若干違ってたけど、本の中にもやっぱりこの考えが根本にある感じがして、よかった。
またドラマを改めて一から見たくなりました。
ちなみにドラマはフィクションになってたからまだ見やすくなっていたけど、実際は結構ドロドロな感じなこともあったんですね…。
Posted by ブクログ
ご存知、コシノ三姉妹のお母さん、綾子さんの自叙伝。朝ドラ『カーネーション』の他、今年公開された大地真央さん主演の映画も見たから、あれこれ思い出しながら読んだ。やっぱり、キャスティングは朝ドラが優勢になってしまったけど。
朝ドラは再放送も何度も見た。映画見て「これも実話だったの?」と驚くことも多かったけど、本当にまさかというエピソードが、ほとんど実話によるものだった。ドラマではそれを組み合わせて上手くストーリーの流れを作ってあったので、未だに名作を言われるだけのことはある。とは言え、ドラマにはオリジナルの登場人物も多かったから、あれはあれでちゃんと区別はしてるつもり。
映画ではある程度詳しく描かれてたけど、不倫相手との話にやっぱり驚く。結局、結婚することなく、20年も続いたと言うのだから。
(ふと思い出したのが、こないだ読んだ『汝、星の如く』。あの作品の中の、瞳子さんではないか⁈)
もしかして、朝ドラにするに当たって、一番ハードルになったのが、この話だったんじゃないだろうか?そこをロマンチックな山場にして一度区切りをつけ、その後については娘たちの話をメインにしたんだろうな?ついでに言うと、実際のこの男性の役割を、ドラマの中では北村のおっちゃんにも分散させてたんじゃないかな、最初の寄り合いの場面と結びつけて…。ちなみにホントにその時までお酒を飲んだことがなく、記憶をなくして家に戻られてたと言うのも、実話だったという…。
自叙伝(の文庫化)なので、娘たちが成功したあたりまで。にしても、本当に波瀾万丈の逞しい女性の一代記。ドラマ(もしくは)映画を見た人も見てない人も、楽しく読める一冊だと思う。