あらすじ
島田荘司氏絶賛! 第16回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作!
市役所の市民相談室に勤務する六原あずさは、ある日、相談者の妻が密室から墜落死する現場を目撃してしまう。
被害者が死の間際に残した「ナツミ」という人物を追って、刑事である夫の具樹は操作を開始するが、その行方は杳として知れなかった。
一方で、あずさの元には不可思議な相談が次々と舞い込む。
施錠された納骨堂でひとつ増えた骨壷。高齢男性ばかりをつけ狙う怪しげなストーカー。
重なる謎の裏には、驚きの真相があったーー。
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Posted by ブクログ
千年のフーダニットが非常に面白かったのでこちらもと思ったが、フーダニットに比べてこちらは非常に現実的。
ものすごく面白いわけではないが、かと言って退屈なわけでもなく、ともすれば自分の家庭にも起こるかもしれない事件が起きていてそういう意味では先が気になってどんどん読めてしまう。
トリックは冒頭で予想した通りで、やっぱりなという感じだったが、それでガッカリというわけでもなくむしろ明日は我が身と感じたことに対して慄いた。
タイトルの意味はラストでわかり、日常を平凡に生きていくのにも歩み続ける努力が必要というのも確かにその通りだが少々こじつけのような気もする。装丁が素晴らしいだけに勿体無いというか、装丁負けしているような。
千年のフーダニットを先に読んでしまったため、すこし期待しすぎた。
Posted by ブクログ
松本市役所の市民相談室に勤務する六原あずさと刑事である夫の具樹の視点で語られる。
多重解決もので、次々と辻褄が合いそうな推理が出てくる。伏線が張り巡らされ、ミスリードに使用するものも含めて回収されている労作の印象。
ただ、残念ながら、主役の二人に思い入れがもてなかった。悪いわけではないので、好みの問題かな。上司もセクハラ探偵ものになるかと思えるほどのキャラではなかったし。
それから、初めの事件は真相に辿り着かないようにがんばって引っ張り回した感は拭えなかった。「密室殺人」じゃないよね、というのはすぐ思いつくことなのにあまり触れられていなかったから。
ドローンのミスリードも丁寧すぎる伏線のおかげもあり、わかりやすい。(あの相談はいらないかも…)
老人たちをつけ回した不審な男のくだりは、想像すると笑える。
Posted by ブクログ
「赤の女王」とは、犯人のことであり、具樹やあずさのことであり、私のことである。(遠い目)
※ ※ ※
この物語の面白いところに「しばらく探偵役がはっきりしない」というところがあったと思う。だから、キャラとしてたっているセクハラ公務員が推理を始めたときには、まさか、と思うのだけど、やはりそこは、現場感覚がないためか、見事に外してしまう。さらに、市役所に勤めているからこそ気付けるポイントも、刑事に持って行かれているのは、セクハラ発言のバチが当たったのではないかという気さえする。
一見無関係な事件が繋がってくるところはスッキリして、最後まで疑問を残さないスタイルは非常に好みだった。(ただ「悪臭問題」は本筋と関係なかった?」
松本・安曇野(豊科)を舞台にしたということで、近所に住む私には情景浮かびまくりで、聖地を通るたびに「あそこであの人が……」とか思えて、一段と楽しめた。
具樹とあずさの夫婦の行く末、新たな命、そして、新たな事件……次回作があれば、また同じ登場人物で読みたいと思った。(レベルアップした西條も見たい)
PS. 次は千曲市のバスケチームが登場することを期待しております。