【感想・ネタバレ】データモデリングでドメインを駆動する──分散/疎結合な基幹系システムに向けてのレビュー

あらすじ

【欠けているピースは「データモデリング」だった。】
本書のテーマは「データモデリング」と「基幹系システム」です。
Web上で台頭しつつある新たなビジネスは、新たな基幹系システムを必要としています。一方、既成ビジネスでは、モノリシックで硬直的な基幹系システムをしなやかな姿に変えていく必要があります。
基幹系システムの中核には「構造化されたビジネス記録」=「帳簿」があります。そのデザイン、つまりデータモデリングがいずれの取り組みにおいてもカギですが、データモデリングが真価を発揮するには、その知識体系を現代的に仕立て直す必要があります。
本書では、「活動のシステム」と「経営管理のシステム」という線引きを導入し、2つの領域で異なる帳簿特性を踏まえて、分散/非同期/疎結合な基幹系システムのための実践的データモデルを詳説します。さらには、データモデル理論の基礎にも新たな光をあてて、論理削除、テーブル分割、履歴管理といった共通論点に解決の糸口を提供し、支持を得ているドメイン駆動設計との関係性を探究します。


■こんな方におすすめ
・業務システム・基幹系システムのエンジニア、プログラマー
・業務寄りの専門知識はなくとも2~3年程度の実務経験をもち、より幅広いシステム開発に関わりたいと考えている方
・ドメイン駆動設計やマイクロサービスなどに取り組んでいるが、既存の情報だけでは不十分と感じている方


■目次
●第1部 基幹系システムとデータモデルの現在的意義
第1章 基幹系システムとデータモデリング──新たなビジネス、新たな帳簿デザイン
第2章 基幹系システムの構造──活動のシステムと経営管理のシステム
第3章 基幹系システム設計のアプローチ──帳簿のデザインとデータモデリング
●第2部 データモデリングの実践
第4章 活動のシステム(SoA)──残概念に基づく業務・帳簿の分割
第5章 経営管理のシステム(SoM)──多次元、バージョン、ビジネス・ルール
第6章 会計から生まれ、会計に回帰する──SoAとSoMの分離、帳簿の純化と進化
第7章 ソフトウェア設計とデータモデル──用途から道具への転換
●第3部 分散/非同期/疎結合の基幹系システムへ
第8章 帳簿の分割と結果整合性──分散/疎結合な基幹系システム
第9章 マスターの共有──エンティティとロール方式
第10章 SoMとSoAの疎結合化──変わるものと、変わらぬもの
●第4部 モデリングのファウンデーション
第11章 データモデリングの基礎理論──図的記法とメタモデル
第12章 偶有的複雑性に対処する──論理削除、テーブル分割、時系列データほか
第13章 概念/論理/物理データモデル──ただひとつのデータモデル
第14章 データモデルとドメインモデル──ドメイン駆動設計への共感と批判
終章 ドメインを駆動する設計
付録 主キー値集合を用いたリレーショナルモデル



■著者プロフィール
杉本啓:株式会社フュージョンズ代表取締役 CEO。プログラマー。コンサルティング会社アーサー・アンダーセン(現アクセンチュア/PwC)にて、生産管理、会計およびそれらの周辺領域で、システム開発/業務改革プロジェクト多数を推進。連結会計パッケージソフトウェアの開発責任者を務める。独立して経営管理クラウドfusion_placeを開発。事業展開のためフュージョンズを創業。フュージョンズ:https://fusions.co.jp/ X(旧Twitter):@sugimoto_kei

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Posted by ブクログ

帳簿や残管理という概念に基づく業務のモデリングに基づいた設計について詳しく書かれている。

一般的に言われる SoE(System of Engagement)と SoR(System of Record)の文脈で、SoR の下位区分として SoA(System of Actibities)と SoM(System of Management)を提唱して基幹系システムの構造を整理していて、参考になる。

X で物理削除が話題になり、本書が参照されていたことをきっかけに本書を読んだ。本書では、物理削除の難しさの原因を、適切な整合性チェックを伴う物理削除機能の提供がされていない DBMS の貧弱さに帰着させている。

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2025年09月05日

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