あらすじ
家電や半導体における韓国企業の世界的躍進を支えたもの、それは「すばやい意思決定」である。詳細なリサーチや顧客ニーズの把握により、新興市場を素早く制圧することを可能にしてきた韓国流の意思決定術を解説!
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Posted by ブクログ
サムスンの業績が伸びている理由を、元サムスンの取締役である筆者が、日本企業との違いを紹介しながら説明している本。その理由を簡単にまとめると下記の通り。
①トップダウン方式ではなく、ダウントップ方式を採用している(トップはざくっとした方向性を示すだけ。あとは下の人間が物事を決定し、トップに報告だけする)
②とりあえずやってみる精神(日本は「石橋を叩いて渡る」精神)
③グローバル化したものづくり(各地域ごとのニーズに合わせて商品を開発する。その為にサムスンは、携帯電話だけでも年間何万機種と生産している!)
④③を可能にする為に、全て自前でつくるのではなく、ある程度アウトソーシングしている。
以上、よく言われていることだが、本書では色々な例が挙げられていて、納得感があった。今後、サムスンについて書かれた他の本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
元サムスン常務の吉川良三氏の本。
元経営幹部の話なので具体的でまた非常にわかりやすい。
韓国企業はもはや二流でないことを頭でわかっていても、多くの日本人は素直に受け入れられないと思うが、この本を読めば同社(および韓国企業)がどれだけ大きな経営変革を行い今の立場に至ったかがわかると思うし、日本企業はいまや韓国をグローバル企業の成功者として彼らから学ぶ立場にあるのだと理解すべきだと思う。
スピード、多品種少量生産、徹底的な現地化と国際マーケティング…。いくら高品質であっても「品質とは顧客が決めること」であり以上、自己満足の高品質は買う者次第で無用の長物になってしまう。
「ものづくり」とは「もの(設計情報=付加価値)を顧客にとって価値ある「ものにつくり込む」ことであり、それはサービス業にも当てはまるというのは記憶に残った。
本書は決して韓国企業礼賛本ではない。かつての日本企業の話、アメリカ経済の話、新興国経済の話、そして今後の日本のとるべき道など、世界経済と日本について書かれているといえる。
Posted by ブクログ
職場の先輩が、おすすめの本として紹介していたもののうちの1つ。以前からサムスンの凄さは時々聞いていたけど、あまり具体的/纏まって知る機会がなかったので読んでみたかった。サムスンが昔から強かったわけではなく、きっかけと決意を持って意識して改革した結果、今のように強い企業になったこと、単に真似ばっかしているわけではなく、その裏にあるポリシー?信念?も分かって面白かった。
[読書録]====================================================
■序章:「意思決定の速さ」がなければ生き残れない時代
とにかくまず頭に入れて置かなければならないのは、日本が未だに生産拠点としてしか見ていない新興国を「巨大市場」として考えなければならないということ。そして、その市場では既に、底を狙う世界中の企業によって「トーナメント戦」が繰り広げられているということ
頑丈な石橋であれば、渡ろうとはしません。それを渡っとしても、後から二番手、三番手が追随してくるからです。石橋ではなく、木材が腐っているような橋ならわたります。それを最初にわたり、振り返ったときにも未だ橋が崩れ落ちてなければ、叩き壊して、誰かが追随してくることもできないようにします。
一つの失敗が繰り返されるとするならば、それは同じ環境、同じ条件のもとでのことだと韓国人は考えます。そして、同じ環境、同じ条件になることは二度と無いという信念もあるために「同じ失敗をすることはない」という考えを絶対的なものにしています。今日と明日とでは、何もかもが違う、根源にあるのは、そうした発送。
新興国をただの生産拠点として考えるのではなく、市場として重要視していくことが「市場のグローバル化」の発想。そして世界規模で見た最適な人の採用と資材調達を選択するのが「人材のグローバル化」「調達のグローバル化」
■第一章:決定のスピードと情報管理でビジネスを制する
1980年代、日本の製品がナンバーワンと見られるように鳴った時、アメリカはある種の決断をしています。この時期にアメリカは、ものづくりのハードの部分で日本と競いあうのはやめました。そしてソフトの部分で勝負をしていくように発想を転換していった。
垂直統合型は大量生産に向いている。しかし少しでも使用変更があれば後戻りしなければならなくなる場合がほとんど。そういう時でも後戻りを剃る必要もないほど業務を分担しておき、仕様変更などに応じてすぐに組み合わせを変えていくやり方ができているかどうかが鍵を握る。
3PI運動:パーソナルイノベーション(意識革新)、プロセスイノベーション(プロセスの革新)、プロダクトイノベーション(革新的製品の創造)
「見える化」と「見せるか」を分けて考えることが大切。「見せる化」は、その情報が、相手にとってより有益なものになるように加工すること。
■第二章:サムスンはこうして世界を制した
サムスンでは「品質は顧客が決めるものであり、メーカーが勝手に決めるものではない」「顧客は購入価格によって品質を追求するものだ」という考え方が徹底されています。
体感不良率:クレーム件数÷一年間に販売した台数
サムスンでは、市場ごとに消費者の経済力などを調査していき、売れるために適当と考えられる価格を始めに設定する。そして、その価格にするために削減を許されるコストを算出して製品開発を進めていく「引き算方式」いなっている。
日本の企業は今でも「良いものを作ればどこでも売れる」と考えている部分が大きい。しかし「相手の文化を知らずにものは売れない」というサムスンの考え方の方が、グローバル化が進んだ時代においては、はるかに現実的。
ライバル企業が欲しいと思っているのは、技術情報よりも戦略に関する情報になっている。
■第三章:機器におけるリーダーと組織の役割
指示待ち人間はダメだという言い方をされますが、そういう人達だけを攻めることはできません。そんな言い方をしている人たちが、細かい指示を出しすぎていることに問題がある。それよりも、下の人間が「自分で考える」事が習慣化されて、その能力を伸ばしていくことができるようにすることが大切。
その会社がどれだけ超一流メーカーであろうとも、五年後に存在している保証があるのかということを私は問いたい。
■第四章:グローバル時代の「ものづくり」
従来の狭いものづくり感では「製造業の生産現場」にしか目が向けられていませんでいsた。しかしこれからの「開かれたものづくり」観では、「製造業の生産現場」に加えて、「製造業の開発、購買、販売現場」にまで視野を広げて、考えなければならない。
開かれたものづくりとは、従来の生産現場が層だったように、ただ「物」をつkるのではなく、顧客にとって価値のある設計情報w「物」に作り込む」ことです。
「物」を考えるということは、「消費の本質」を考えることであり、それがそれぞれの企業の今後の鍵を握っているとも言える。
■第五章:これから日本はどこへ向かうべきか
今の日本人には3つのおごりが見られます。「経営者の傲慢」「技術者の傲慢」「消費者の傲慢」
大切なのは、現実的なニーzに如何に着目するかということ。
戦略産業分野を強化するということは、「高機能・単品売り型産業」から、「システム売り」「課題解決型」「文化付加価値型産業」への移行を目指すもの。こうした動きの中では、独創的な新技術の開発が求められているわけではなく、既存のじぎゅ津を進化させていくことが重要になる。そこで、これまで日本が蓄えてきた裏の競争力が発揮されるということです。