あらすじ
家電や半導体における韓国企業の世界的躍進を支えたもの、それは「すばやい意思決定」である。詳細なリサーチや顧客ニーズの把握により、新興市場を素早く制圧することを可能にしてきた韓国流の意思決定術を解説!
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Posted by ブクログ
最近著者の吉川さんの講演を聞く機会があり、この本を読んでみた。なぜサムソンの製品が世界で受け入れられるのか、なぜ日本の製品はダメなのか、それを理解するヒントがこの本にあると思う。
グローバル化とは、徹底的に世界のボリュームゾーンに使用を合わせること、そしてその土地にあったニーズを見出して安くカスタマイズすること。サムソンは社員を教育し直して、世界中に散らばった社員たちが判断するボトムアップの組織を作り上げたのだから強いのだ。
日本の製品のガラパゴス化は、経営者、技術者、消費者の傲慢の上にできている。誰に向けた製品なのか、もう一度見直さないと富裕層以外からは相手にされなくなってしまう。製造業にたずさわる人には一読の価値があると思います。オススメです。
Posted by ブクログ
吉川良三著「サムスンの決定はなぜ世界一早いのか」角川ONEテーマ21(2012)
*まず頭に入れておかなければならないのは、日本がいまだに生産拠点としてしかみていない新興国を「巨大市場」としてかんがえなければならないということ。そしてその市場はすでにそこを狙う世界中の企業によってリーグ戦ではなくトーナメント戦が繰り広げられているという事。
*現地、現材、現人のグローバル企業を目指しているのが韓国企業である。地域と人に密着したものづくりは非常に重要だが、日本企業の多くはまだその重要さには気がついていない。サムスンではR&Dも本社ではなく現地行うのが当然と考えられている。
*マクドナルドでは社長もマネージャーも含めてすべて現地の人に任せている国がほとんどという中で日本人にも好まれるてりやきバーガーや月見バーガー、韓国人にはキムチバーガーなどが出来上がって行った。サムスンにしても、最初に海外進出したときには日本と変わらないやり方をしていたが、完全な現地主義への移行を始めたのは2000年。この頃からLGにしても韓国企業は現地の人を社長にしてスタッフもそのようにするような方針になっていった。
*サムソンの李会長の参謀は何かの判断をする際にその度に会長に相談をしたりはしません。会長であればこうするだろうというふうに、95%以上のレベルで同じ考えを持てると自負しています。そういう参謀が集まり、サムスングループ全体を動かす司令塔として機能しているのが秘書室です。これは韓国財閥の独特の組織であり、法人組織にはなっておらず形式的な所属はグループ内の各企業ということになっていました。この秘書室に財閥系のエリートが約200人、技術系のエリートが約200人、併せて400人います。
*日本ではトップの人間が戦略をたてたのであれば、その人自身がその戦略のオペレーションまでを行おうとしがちですが、そういうやり方は本来間違っています。サムスンでは李会長が戦略をたてれば、その後のことはオペレーションにたけた人間に任せられます。
*李会長の場合、何かヒントを出した後に、「何かいい考えがあったら教えてくれ」と言っておく事もよくありました。そこで、「こういうことを考えました」と提案さてたときには「なるほど、それはよくわかる。ただそれはあまりにも常識的な考えだ。もっと常識にとらわれないアイデアはないか。」というふうに聞き出しながら判断して行くようにしていってます。
*「もの」の世界をおろそかにして「つくり」の世界だけで考えた場合、いかに人件費をおさえるか、いかに生産リードタイムを短縮するかといったコストダウン競争に終始してしまいます。「もの」で勝負ができなければ今後の展開はひらけません。ルイヴィトンはもので勝負しています。材料が2000円の商品であっても、ものによって20万円で売れるようにする。コストダウンなど考えた事がない。もの、の世界の部分こそがこれからのビジネスの鍵をにぎります。
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元サムスン電子の吉川常務が執筆。日本企業の駄目な点をズバッと指摘。それだけに留まらず「日本人」の3つのオゴリ「経営者の傲慢+技術者の傲慢+消費者の傲慢」を挙げ、日本の向かうべき道を指南している。この内容で724円は安すぎ。
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一番びっくりしたのは、サムスンがとんでもなく多くの機種を開発しているということ。多品種を開発することは開発・製造ともにおおきなコストがかかるため避けるべきと考えていたが、サムスンは各地域で必要とされている機能を適切に提供することでグローバルでシェアを伸ばし、またその機能をモジュール化することで開発費・製造費をうまく抑えている。
Posted by ブクログ
サムスンのフランクフルト宣言以降の成功のポイントを書いた本.筆者はサムスンに籍を置き,CADシステムの構築を行ったそう.
的外れかなと思える箇所もあるが,個人的に参考になったのは以下のポイント.
■PDMの導入による開発スピードの向上
PDMの導入によりあらゆる職能で開発の進捗が共有でき,並行作業によるスピード化および手戻りロス削減に繋がるとのこと.自分の専門はSCMなので,あまり開発軸のITには詳しくないが,PDMは開発に閉じた狭いITというイメージがあったため,認識を改めるきっかけになった.
■お客様基点のマーケティングメソッド
お客様が望む価格,デザイン,機能,品質から積み上げて商品企画を行っているという印象を受けた.日本が出遅れた原因は,現状の製品から引き算で諸外国向けの製品を企画しているとのこと.
「日本のメーカーはグローバル化に出遅れた」と一言で切って捨てる記事が横行しているけども,もう一歩出遅れた原因を深堀りできるかもしれない.
Posted by ブクログ
つい先日も業績好調だというニュースがあった韓国のサムスン電子の強さの秘訣にせまった一冊。サムスンの強みについてはもう知っている情報がほとんどで、あんまり新鮮味はなかったけど、サムスンと比較した場合の日本企業の弱さについては色々と考えさせられた。
いちばん強烈だったのは「『慎重』といえば日本人の美徳として捉えられますが、言葉を換えればそれは、『意思決定が遅い』ということにほかなりません」(P153)という著者の言葉。すごいスピードで動いているグローバル経済の中では、日本人の美徳は大きな弱みになってしまうのかも知れない。
しかし、調和を重んじる日本人が慎重でなくなることはあり得るんだろうか。思い切ってトップが決断しようとしたら、どこかの重工業の会社みたいに、そのトップが追放されちゃうことだってあるのにね。
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ビジネスのスピードを劇的にアップさせなければいけないことは日本企業のどこもわかってはいるが、できずに足踏みを続けている。その処方箋のひとつとしてサムスン式経営は参考になる部分もあると思う。
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うちの会社も意思決定が遅く、題名に気になり購入。
意思決定スピードを上げる仕組みはもちろん、韓国人の性格「始めたら半分終わったも同じ」も影響。作者は韓国には徴兵制度があるからとか常に危ない国に近接してるから」と言ってますが実際どうなんでしょ
Posted by ブクログ
何かと話題のSamsung本を読み終わった。
よく仕事をする、market drivenな合理的思考に基づいてアプローチする姿勢は、素直だと思う。
日本の製造業は、どうしても哲学的、ウェットなメンタル的な要素を、無理矢理にでも作ろうとしたり、あるいは全てを相対的なものととらえての、絶対的安全条件を求めたりするが、そういったやり方では、勝負にならない。勝負を避けている形になってしまう。
リスクはリスクとしてとらえることは、ポイントによっては絶対に必要であり、そこを如何に努力でminimizeしていくのかがポイントであろう。
本書と直接関係ないが、著者は日本人の方がSamsungに移ったのは54のとき。そこから韓国のフィールドで暮らしたりと、パワーがある。こういうパワーを持ち続けていけるよう、コンディショニングしていきたいものである。
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韓国は金と度胸といいとこ取り、中国は金と脅しといいとこ取り
日本は金あっても度胸なし
短期スパンのことならトップダウンはやめて、ボトムアップ方式なほうがやはりいい。
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サムスンのグローバル戦略の軌跡。
「始めたら半分終わったも同じ」、「まずはやってみて、うまくいかなければ途中で方向転換すればいい」という韓国文化。
トップダウン方式を重んじてきた日系メーカが現在の負のスパイラルに陥った最大のヒントを与えてくれる。
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韓国企業の躍進が目を見張るものなので、興味を持ち購入。確かにサムスンの戦略は危機意識を感じたからこそ産み出すことの出来た戦略だと思ったが、外資が入りすぎていたこともまた知らなかったため、犠牲も多い改革だったのだろう。しかしながら、サムスンに学ばなければいけないことも多く、日本は今や過去の遺産で食っていってるも同様なので日本人皆で危機意識を持ちら経済に取り組むことが大切ではないのだろうか。
Posted by ブクログ
サムスンの業績が伸びている理由を、元サムスンの取締役である筆者が、日本企業との違いを紹介しながら説明している本。その理由を簡単にまとめると下記の通り。
①トップダウン方式ではなく、ダウントップ方式を採用している(トップはざくっとした方向性を示すだけ。あとは下の人間が物事を決定し、トップに報告だけする)
②とりあえずやってみる精神(日本は「石橋を叩いて渡る」精神)
③グローバル化したものづくり(各地域ごとのニーズに合わせて商品を開発する。その為にサムスンは、携帯電話だけでも年間何万機種と生産している!)
④③を可能にする為に、全て自前でつくるのではなく、ある程度アウトソーシングしている。
以上、よく言われていることだが、本書では色々な例が挙げられていて、納得感があった。今後、サムスンについて書かれた他の本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
元サムスン常務の吉川良三氏の本。
元経営幹部の話なので具体的でまた非常にわかりやすい。
韓国企業はもはや二流でないことを頭でわかっていても、多くの日本人は素直に受け入れられないと思うが、この本を読めば同社(および韓国企業)がどれだけ大きな経営変革を行い今の立場に至ったかがわかると思うし、日本企業はいまや韓国をグローバル企業の成功者として彼らから学ぶ立場にあるのだと理解すべきだと思う。
スピード、多品種少量生産、徹底的な現地化と国際マーケティング…。いくら高品質であっても「品質とは顧客が決めること」であり以上、自己満足の高品質は買う者次第で無用の長物になってしまう。
「ものづくり」とは「もの(設計情報=付加価値)を顧客にとって価値ある「ものにつくり込む」ことであり、それはサービス業にも当てはまるというのは記憶に残った。
本書は決して韓国企業礼賛本ではない。かつての日本企業の話、アメリカ経済の話、新興国経済の話、そして今後の日本のとるべき道など、世界経済と日本について書かれているといえる。
Posted by ブクログ
職場の先輩が、おすすめの本として紹介していたもののうちの1つ。以前からサムスンの凄さは時々聞いていたけど、あまり具体的/纏まって知る機会がなかったので読んでみたかった。サムスンが昔から強かったわけではなく、きっかけと決意を持って意識して改革した結果、今のように強い企業になったこと、単に真似ばっかしているわけではなく、その裏にあるポリシー?信念?も分かって面白かった。
[読書録]====================================================
■序章:「意思決定の速さ」がなければ生き残れない時代
とにかくまず頭に入れて置かなければならないのは、日本が未だに生産拠点としてしか見ていない新興国を「巨大市場」として考えなければならないということ。そして、その市場では既に、底を狙う世界中の企業によって「トーナメント戦」が繰り広げられているということ
頑丈な石橋であれば、渡ろうとはしません。それを渡っとしても、後から二番手、三番手が追随してくるからです。石橋ではなく、木材が腐っているような橋ならわたります。それを最初にわたり、振り返ったときにも未だ橋が崩れ落ちてなければ、叩き壊して、誰かが追随してくることもできないようにします。
一つの失敗が繰り返されるとするならば、それは同じ環境、同じ条件のもとでのことだと韓国人は考えます。そして、同じ環境、同じ条件になることは二度と無いという信念もあるために「同じ失敗をすることはない」という考えを絶対的なものにしています。今日と明日とでは、何もかもが違う、根源にあるのは、そうした発送。
新興国をただの生産拠点として考えるのではなく、市場として重要視していくことが「市場のグローバル化」の発想。そして世界規模で見た最適な人の採用と資材調達を選択するのが「人材のグローバル化」「調達のグローバル化」
■第一章:決定のスピードと情報管理でビジネスを制する
1980年代、日本の製品がナンバーワンと見られるように鳴った時、アメリカはある種の決断をしています。この時期にアメリカは、ものづくりのハードの部分で日本と競いあうのはやめました。そしてソフトの部分で勝負をしていくように発想を転換していった。
垂直統合型は大量生産に向いている。しかし少しでも使用変更があれば後戻りしなければならなくなる場合がほとんど。そういう時でも後戻りを剃る必要もないほど業務を分担しておき、仕様変更などに応じてすぐに組み合わせを変えていくやり方ができているかどうかが鍵を握る。
3PI運動:パーソナルイノベーション(意識革新)、プロセスイノベーション(プロセスの革新)、プロダクトイノベーション(革新的製品の創造)
「見える化」と「見せるか」を分けて考えることが大切。「見せる化」は、その情報が、相手にとってより有益なものになるように加工すること。
■第二章:サムスンはこうして世界を制した
サムスンでは「品質は顧客が決めるものであり、メーカーが勝手に決めるものではない」「顧客は購入価格によって品質を追求するものだ」という考え方が徹底されています。
体感不良率:クレーム件数÷一年間に販売した台数
サムスンでは、市場ごとに消費者の経済力などを調査していき、売れるために適当と考えられる価格を始めに設定する。そして、その価格にするために削減を許されるコストを算出して製品開発を進めていく「引き算方式」いなっている。
日本の企業は今でも「良いものを作ればどこでも売れる」と考えている部分が大きい。しかし「相手の文化を知らずにものは売れない」というサムスンの考え方の方が、グローバル化が進んだ時代においては、はるかに現実的。
ライバル企業が欲しいと思っているのは、技術情報よりも戦略に関する情報になっている。
■第三章:機器におけるリーダーと組織の役割
指示待ち人間はダメだという言い方をされますが、そういう人達だけを攻めることはできません。そんな言い方をしている人たちが、細かい指示を出しすぎていることに問題がある。それよりも、下の人間が「自分で考える」事が習慣化されて、その能力を伸ばしていくことができるようにすることが大切。
その会社がどれだけ超一流メーカーであろうとも、五年後に存在している保証があるのかということを私は問いたい。
■第四章:グローバル時代の「ものづくり」
従来の狭いものづくり感では「製造業の生産現場」にしか目が向けられていませんでいsた。しかしこれからの「開かれたものづくり」観では、「製造業の生産現場」に加えて、「製造業の開発、購買、販売現場」にまで視野を広げて、考えなければならない。
開かれたものづくりとは、従来の生産現場が層だったように、ただ「物」をつkるのではなく、顧客にとって価値のある設計情報w「物」に作り込む」ことです。
「物」を考えるということは、「消費の本質」を考えることであり、それがそれぞれの企業の今後の鍵を握っているとも言える。
■第五章:これから日本はどこへ向かうべきか
今の日本人には3つのおごりが見られます。「経営者の傲慢」「技術者の傲慢」「消費者の傲慢」
大切なのは、現実的なニーzに如何に着目するかということ。
戦略産業分野を強化するということは、「高機能・単品売り型産業」から、「システム売り」「課題解決型」「文化付加価値型産業」への移行を目指すもの。こうした動きの中では、独創的な新技術の開発が求められているわけではなく、既存のじぎゅ津を進化させていくことが重要になる。そこで、これまで日本が蓄えてきた裏の競争力が発揮されるということです。
Posted by ブクログ
ここ数年、仕事で中国や東南アジアへ行く機会が多くなりました。
現地にて、ホテルの部屋や家電販売店で目に付くのが、「SAMSUNG」のロゴの入ったTV等の家電です。
「ガラパゴス化」していると言われる日本ではあまり見かけませんが、アジアの広い地域で、サムスンの製品が売れているなというのを肌で感じていました。
この本の著者は、日立や日本鋼管でCAD/CAM普及に貢献していたところを、サムスン会長から直接、招聘の電話を受けたという技術者。
10年近くサムスンで常務として働いたという著者が、サムスンの躍進の理由を社内のエピソードを交えて説明しています。
本格的なグローバル化を迎えた製造業について「これまでのリーグ戦ではなく、トーナメント戦だ」とし、「危機感ではなく危機意識を持って対処しなければならない」と説いています。
そして「世界一速い」といわれるサムスンの意思決定について、開発~生産のシステム、経営者の役割、マーケット戦略等、様々な角度から紹介しています。
特に印象に残ったのは、売り込み先の国と地域に派遣される駐在員の教育についての部分と、当時4百人のエリートが集められていたという秘書室(構造調整本部)などの、組織構造の部分でした。
そして、トップダウンではなくボトムアップ色が強いこと、そして社員を大事にするという、”かつての”日本の会社の美点が、サムスンの中にあるというのも驚きでした。
「崩れかけた橋を渡って壊す」という韓国人の気質もあるのかもしれませんが、会長を中心に、「経営戦略」というものをしっかりと練り上げたうえで、スピードを持って大胆に行動する、そんなサムスンの姿を、イメージすることが出来ました。
この本を読んでしまうと、「日本の製造業は大丈夫かな?」と思ってしまいますね。
製造業だけでなく、企業に勤める人には、参考になる部分の多い一冊だと思います。
Posted by ブクログ
【きっかけ】
以前、「危機の経営」サムスンを世界一の企業に変えた3つのイノベーション
畑村洋太郎 吉川良三(元サムスン電子常務)
を読んだ、その復習のつもりで・・。
【ポイント】
24/「国際化」とは:
海外に工場を作り、製品は現地の要求に関係なく日本で立案、設計。
「グローバル化」:
市場として期待される地域に、その国の文化にあった地域密着型のも
のづくり
27/新興国をただの拠点として考えるのではなく市場として重要視していく
ことが「市場のグローバル化」
39/走り出す前に立ち止まって考え込んでいるのではなく、
「走りながら考える」・・
44/「始めたら半分終わったもおなじ」:
緻密な計画を立てるのに時間を割かずに、とにかくやるかやらないか
を決定する。何事もスピーディに決定して走り出す。
62/見える化と見せる化
見える化:必要な情報をいつでも見れるようにしておくこと
見せる化:その情報が相手にとって、より有益なものになるように加工すること
65/必要なのは「ツール」ではなく、「システム」。
「見せる化」によって、グローバル競争を勝ち抜く、スピードを獲得できる。
74/「過剰品質」消費者のためにならない、メーカ側の自己満足のための品質。
76/品質は顧客が決めるものであり、メーカーがきめるものではない。
顧客は購入価格によって品質を追及するもの。 →「体感不良率」
79/サムスンは、市場での消費者の経済力を調べ、売るための価格を設定する。
その価格にするために削減できるコストを算出し、製品開発する。 →「引き算式」
84/サムスンの「デザイン革命」。
「顧客は最初にデザインで心を動かされる」(会長)
91/ライバル企業がほしいと思うのは、技術情報よりも「戦略に関する情報」
←自分たちこそトップだという驕りが、薀蓄を語って、敵に塩を送って
しまう。
96/グローバル時代には、「現地、現材、現人」の三現が必要
98/「デカップリング・ポイント」
←「切り離しポイント」(予め作っておくところとカスタマイズするところ)
99/「ベンチマーク方式」:先進メーカをお手本に近づく。
過去の「モノマネ」
「リバース&フォワード・エンジニアリング」:
分解して製造方法、動作原理を調べ、先行メーカの『開発者の意図』ま
で、汲み取って機能の足し引きをして再構成する。
107/「危機感」と「危機意識」:不安を抱き、いつまで我慢すればよいのか
と考えるレベル
自分が生き残れるかどうか」と身の危険を感じるレベル。
←対策を講じないとはじまらない。
115/危機における経営の3鉄則:
?社会の変化、それに伴って今後どうなって行くかに着目
?そこから生じる支配側にいち早く近づく
?社会の変化と要求に素直に対応すること
120/戦略とオペレーション
リーダーが、必要な時に明確な「危機意識」を持つために、正しい情報
を伝えてくれる優秀な「参謀」が必要。
信頼できる参謀がいないばかりに経営者が孤独な「裸の王様」になって
しまう。
124/戦略を戦略と感じさせずに兵や部下を動かす。
これが競争に勝ち抜く極意。
125/サムスンのトップダウンは、下の人間に提案させて「それはいい」「考
え直せ」と判断する。トップは『多くを語らず自分たちで考えさせる』
127/トップダウンでやらねばならないのは、『全体の戦略』を示すこと。
136/「もの」と「つくり」
「もの」は頭で考える世界(設計思想)、「もの」は人工物をさすので
はなく、考え方。
「つくり」は手足を動かす世界、
137/日本のメーカは、ユーザーが何を希望しているかを考えずに、「この製
品は素晴らしいでしょう」という。
138/「もの」をおろそかにして、「つくり」だけで、生産効率、人件費、リ
ードタイムと言ってコストダウン競争に終始している。
139/アップルは、自分たちで「もの」を考え、「つくり」の部分は海外に任
せている。「もの」の部分で世界の人をワクワクさせられる商品を提供
しているのが強み。
141/「開かれたものづくり」とは、顧客とって価値のある設計情報を『も
の』に作りこむこと。
工場の生産現場に閉じてしまったプロセスではなく、企画・開発・購
買・生産・販売・協力会社・顧客まで、巻き込んだ「開かれたプロセ
ス」をかんがえねばならない。
142/「もの(設計思想)」をマテリアルに埋め込んでいくのが製造業で、
「もの(設計思想)」をひとに埋め込んでいくのがサービス業。
144/競争力とは、その製品がお客さんに選ばれる力。
「ここに特色がある、こういうものを食べたい」という消費者の要求に しっかり対応して、そこで『選ばれる力』をつけていかねばならない。
「品質」も、設計段階でこの品質でよいと決めたのなら、その基準に合
わせた★「適合品質」でよい。
145/技術には、「開発設計(科学技術)」と「量産設計(産業技術)」がある。
149/消費の本質:
新機能の開発ばかりを考えるのではなく、
『足元から見直して、消費の本質を考えるこ』が重要。
150/「品質」とはメーカー側が判断するものではなく、顧客が決めること
159/「表の競争力」(デザインや価格、消費者がわかり易く欲しいと思わせる力、
「裏の競争力」:会社が作る商品の品質やそれを支える生産方式、企業体質。
160/日本の企業は、ものづくりの上で、「裏の競争力」を伸ばすことら傾注
してきた。
171/「次の十年のために苦しむ 創造経営」
韓国は「金と度胸といいとこ取り」、中国は「金と脅しといいとこ取
り」、日本は金があっても、度胸なし。
174/今の日本に求められるのは、待つことではなく、「危機に向かいあう決
死の行動」こそが現状打開になる。
175/「グローバル化へのシフト」と「危機意識の徹底」がキーワード
←全く新しいしくみで考えるべき
?グローバル市場に適応可能な組織能力の構築
?グローバル人材の育成
?現地、現材、現人の体制
?グローバル競争に適応したITの活用と全体の最適化
182/ものづくりの本質とは、
★顧客にとって価値のある設計情報「ものにつくり込む」こと。
顧客に始まり顧客に終わる「設計情報」の流れを管理、改善、進化させ
る企業活動全体が「ものづくり」に他ならない。
◆目次◆
序章 「意思決定の速さ」がなければ生き残れない時代
第一章 決定のスピードと情報管理でビジネスを制する!
第二章 サムスンはこうして世界を制した
第三章 危機におけるリーダーと組織の役割
第四章 グローバル時代の「ものづくり」
第五章 これから日本はどこへ向かうべきか
Posted by ブクログ
現状のサムスンの成功についての整理が目的。
・プロセスイノベーション、見える化、見せる化によるコスト低減
・各市場別に適切な価格設定。そこに合わせた原価目標設定
・現地のニーズに合わせた多品種少量生産を可能とする
・各地に散る「地域専門家」の育成
組織、リーダー
・会長の危機意識。
・IMF危機によってもたらされた社員にも強い危機意識
・トップダウンではなくボトムアップ
・トップは全体の戦略を指し示す。明確化する。一定の裁量権を下の人間に与える。
Posted by ブクログ
自分の会社も含めて、意思決定が遅いことに不満を抱いていたので、ついついタイトルに惹かれて買ってしまった。
本題に行く前に、サムスン電子の営業利益が、日本の大手電機メーカー8社合わせても及ばないという事実に衝撃を受けた。
日本の文化が、「石橋を叩いて渡る」なら、韓国は「始めたら半分終わったも同じ」であるという。とにかくリスクを取ってやってみようではないか、というのが意思決定の速さの肝であると認識した。
また、過剰品質も問題だ。ブルーオーシャン戦略でも強調されたことだが、何を残すか、伸ばすかと同時に何を捨てるのかということも極めて重要だと改めて認識させられた。
Posted by ブクログ
なぜ決定が速いのか、のポイントは、権限委譲と品質はユーザーが決めるという考えだろうか。サムソンではボトムアップ方式とのことで、トップはおおまかは方向性だけを示して現場に決定権を与えているとのこと。確かにこれは重要だろう。自分の経験でも、トップが強すぎる組織は統制はとれているが、決断が遅く動きが遅くなりがちだというのは非常に感じる。また品質はユーザーが決める、というのは日本は過剰品質になりがちなのでグローバルで勝てない、ということ。もっともだとは思うが、Galaxy発火事故が世間をにぎわした今日ではいまいち説得力がない。
Posted by ブクログ
なぜ意思決定が早いか?
→本来は無用な過去の実績を重視した資料作成などが必要なため、トップダウンよりボトムアップにすべき
リーダーは将来的な方向性だけを示して、そのためにどうすべきかは下に任せる
求められる情報を速くわかりやすく供給する見せる化をしていく
品質は顧客が決めるものであり、メーカーが勝手に決めるものではない
危機における経営の鉄則とは、
1.社会の変化、それに伴って今後どうなっていくかを着目すること
2.そこから生じる支配則にいち早く気づくこと
3.社会の変化とその要求に素直に対応すること
Posted by ブクログ
「始めたら半分おわったも同じ」「品質にも松竹梅がある」「製品の価格設定は引き算方式」「戦略とオペレーションは分けて考えるべき」「卵の殻は自分で破らなければ意味がない」…なるほど!
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ものづくりの意味を再定義する必要がある。
それがないために日本の競争力が低下している。
品質は消費者が決めるもの。
危機意識を持ち前に進むことの重要性を認識した。
Posted by ブクログ
かつては日本の後塵を拝する韓国の1メーカーにすぎなかった、サムスン電子が現在の地位に至るまでの過程、原因を内部の視点から描いた作品。
この作品で作者が指摘しているサムスン躍進の理由、及び日本のメーカー(主に家電メーカー)衰退の理由は、様々な場面で唱えられていることであり新鮮味はない。しかし、サムスンと日本のメーカーを具体例を交えアガラ比較することで、今まで漠然と理解していたその理由が、より明確になることの助けにはなったかと思う。
最終章で作者は、日本のメーカーは今後「表の競争力」をつけるべきだと主張するが、それはもっともなことである。日本に蓄積されている「裏の競争力」は確かなものであるが、今はそれが正しい方向に向けて生かされていないがために、悲惨な状況になってしまっている。
あらゆる点でサムスンを学ぶべきだとは思わないが、市場ありきの姿勢、市場を起点にした発想は日本の各社が持つべきものであると感じた。その姿勢をしっかりと根付かせることができた時初めて、日本の「裏の競争力」が威力を発揮してくるだろう。
Posted by ブクログ
グローバルな戦い 始めたら半分終わったも同じ LGメッカホン 今日と明日とでは何もかも違う SAMSUNGの入社試験に落ちた人間が官僚になる 経済産業省 慎重=意思決定が遅い 情報の収集 インフラ事業 IMF危機 意思決定のスピードを上げる 改善 卵の殻 茹でガエル状態 グローバル化とデジタル化 東北関東大震災 日本の技術力に対する評価