あらすじ
小都市ローマは、どのように帝国となったのか。共和政の誕生、ハンニバルとの戦争、皇帝の出現。グローバル化と人々の有り様を描く。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
この本はすごく面白かった!共和制ローマの誕生から衰退、皇帝の誕生までを追っていく内容。歴史的な経緯のみならず、それに付随して国のかじ取りをする権力の推移、国の内情の変化を丁寧に追っていて、属州の獲得からあっという間に変容していく共和制ローマという国の内実がよくわかるようになっている。属州や周辺での反乱・侵入へ対処していくうえでやむなく少しだけ権力の増長を許し、やむなくローマ社会自体も変化し、……というなかで権力を巡る人間の争いは止めようもなく進んでいき、共和制の仕組みは壊れてしまう。
「ローマ皇帝の出現がローマ帝国を成立させたのではない。ローマ帝国がローマ皇帝をもたらしたということである」と筆者は書いているが、まさにこの本を凝縮したような言葉である。
ローマ人にとっての自由は平等ではないという話、プロウィンキアという言葉から見る属州の扱い方が変化していく過程や、ポンペイウスとカエサルの違い、カエサルとアウグストゥスの違いなど随所になるほどと思うところがあって唸らされた。
著者が研究しているヒスパニアの属州の話が多いのだが、シリアやユダヤの属州の話ももっと読みたかったし、皇帝が誕生した後のローマの話も引き続き読みたい、と思う分かりやすさだった。