あらすじ
源氏物語はなぜ「世界文学」になったのか?千年前に紫式部が書き、百年前にアーサー・ウェイリーが英訳した「源氏物語」を現代日本語に再翻訳した著者が、時空を超えた物語の秘密と魅力を解きあかす。
高橋源一郎氏、推薦!
文学史に残る偉業、らせん訳「源氏物語」には、翻訳者姉妹による、もう一つの輝く「らせん」が埋めこまれていたのだ。
レディ・ムラサキとは、一体だれなのか?1925年、アーサー・ウェイリーによる初の英語版が刊行されて以来、世界各国に翻訳された「源氏物語」は、時代を超え国境を越え、中国古典からギリシャ・ローマ神話、聖書、シェイクスピア、プルーストやウルフらモダニズム文学、そして現代まで――。数多の異言語・異文化の波を潜り、「世界文学」として新たに生まれ変わった。千年前の古典原文、百年前の英語、現代日本語を往還しながら、『源氏物語』の〈らせん訳〉=トランスクリエーションを成し遂げた著者による、発見の喜びにみちた評論エッセイ!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
NHKカルチャーラジオ 日曜カルチャー
『源氏物語』英訳本を再和訳してわかったこと
毬矢まりえ
●2024年は大河ドラマもあって関連番組多い中で
個人的にピピっときたのが100年前の英文戻し訳です
↑
訳者は時空を往還するイメージから
らせん訳としています
英訳者ウェイリーの天才ぶりに驚く
シャイニングプリンセス→ゼウス説
登場人物名の英訳工夫
役職トウノチュウジョウに統一
天皇の血筋ならばプリンセス
そうでなければレディ
末摘花→サフラン姫
眠りの森の姫に例える
英訳を戻すことによって地味な印象の源氏物語が華やかな世界観に変わる
あはれの訳が様々な言葉になっている
シェイクスピアのエッセンスが散りばめてある事
どれも初めて日本文学に出会う英国人に向けて親しみが湧くように考えて訳されている
しかも原典に忠実に
ウェイリーの考えは訳する事で見えてきたらしい
戻し訳時のエピソード
集中 対話 出版社を探す
ルビで理解できる日本語
美しい英訳をカタカナで残す
ミラーケーキ フットボール ゴッドレスマンス ウエイティングヒル
見えなかった風景が見えてくる
嵐が丘を読み込むー荒れ野に変換
●講演番組が面白かったので著書も取り寄せました!
物語本編でなくてティーパーティの方です
この表紙もクリムトでワクワクします!
あはれー同じ次元にいる
悲しー断たれているものに対して
鈴虫や雲隠の二次創作やスピンオフ作品が沢山あって興味深い
さすが歴史ある世界文学ですね
聖書に関連付けしていると考えるのも再和訳者ならではの視点真理は共通という事なのかも!
他にもたくさんの論文がありそうです
●Eテレ[100分で名著]でも取り上げられて
ますます面白くなってきました今後に期待です!
Posted by ブクログ
螺旋訳、考えたな!
昔、源氏物語の英訳を読もうとして諦めたな…。
螺旋訳、読んでみます。
それと。
末摘花が外国人の血が流れているかもという説好きです。
Posted by ブクログ
約百年前に源氏物語を初めて英訳した英国人A・ウェイリー。日本になじみのない読者のため工夫をこらした「ヴィクトリアン源氏」を、俳人と詩人の姉妹が日本語に再翻訳。そこに立ち現れるのは典雅で豊饒な世界文学だった。
「シャイニング・プリンス」ゲンジがシターンを爪弾き、ブルー・ウェイブス(青海波)を舞う、エキゾチックで不思議な世界。アラビアン・ナイトや中世ヨーロッパの雰囲気もあり、かと思えば聖書やシェイクスピアを匂わせる訳文も。気になりすぎてつい翻訳本にも手を出してしまった。それにしても訳者の姉妹の生い立ち自体が何やら浮世離れしていて興味深い。
Posted by ブクログ
源氏物語のアーサー・ウェイリー訳を日本語に翻訳しなおした(『らせん訳』と本人達は呼んでいる)姉妹の書。
年初依頼、光る君へにはまって色々と評伝や解説やら読み漁ったけど、今のところこれが一番面白かった。平安時代から飛躍して、第一次世界大戦期の欧州へ、さらにシェイクスピアやギリシャ神話、聖書へ。世界文学としての源氏物語。
色々な意味で教養をつけたい、と改めて思わせる1冊。
Posted by ブクログ
お二人の訳されたウェイリー版の「源氏物語」を読んでから、こちらの本を読もうと思っていたのだが、そんなことをしていたら何年も先になりそうなので、こちらから読んだ。
エッセイという分類になるのかもしれないが、私にはお勉強の感じであった。もう少しゆっくり読まないと。また翻訳の方を読んでから、と思う。
とても魅力的な、らせん訳源氏物語なのだろうと楽しみなのだが、なかなか手に取ることができない。
Posted by ブクログ
100年前ウェイリーにより英訳された源氏物語を日本語訳する。
そこを起点に古今東西の文学、歴史、宗教、思想などに点を見出し、結び合せ、新たな面を呼び起こす。
知識の渦に身を投じる歓喜。
Posted by ブクログ
てっきりウェイリーの英訳した源氏物語の和訳かと思ったら、英訳したものを戻し訳した、著者である姉妹の解釈や新たな発見、苦労などを記した翻訳日記でした。海外の古典文学も出てくるので、ある程度知識がないと分からない箇所も。光源氏がシャイニングプリンス、紫式部がレディムラサキになるとたちまち着物からドレスにイメージが変わるから不思議。個人的に興味深かったのは、末摘花のロシアン美女説。末摘花がベニバナなのでサフラン姫という表記も魅力的でした。