【感想・ネタバレ】トヨタ 中国の怪物 豊田章男を社長にした男のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

 これは面白いです! 自動車版『大地の子』で、タイトルとしては「中国の近現代史と自動車産業」のほうが正確かと思います(これだと売れないと思いますが…)。

 中国で生まれ育った服部悦雄という元・トヨタ中国事務所総代表のインタビュー録です。「服部悦雄」は、『トヨトミの野望』では「八田高雄」で登場しますが、その『トヨトミの野望』も織り交ぜながら展開します。但し、こちらの本では全て実名。氏の経歴に合わせて、満州国解散から習近平時代までが描かれ、これを読むだけで中国の近現代史がわかります。

 氏は、中国人の本質は「好死不如懶活(きれいに死ぬより、惨めに生きたほうがまし)」と言い切ります。毛沢東の大躍進運動(「雀撲滅運動」は初めて知りました)や文革、天安門事件など、マクロ面のみならず、この「本質」を裏付ける庶民の生きざまも描かれ、自動車事業に関係なくとも読める内容です。

 児玉博氏は、かつて故・西田厚聰氏とのインタビューによる『テヘランから来た男-西田厚聰と東芝崩壊』を上梓していていますが、どちらもストーリー展開が秀逸。今回も一気読みコースでした。

 実は、以前、トヨタが天津に進出する際に、天津汽車(後に第一汽車に買収)と部品合弁会社設立の交渉を担当しました。この本にある通り本当に大変で(一冊の本が書けると思った)、かつての体験を思い出し、ドキドキしながらページをめくりました。それ故とも言えますが、面白さは太鼓判の一冊です。

0
2024年02月12日

「ノンフィクション」ランキング