あらすじ
【内容紹介】
2040年には働き手が1100万人足りなくなる――
テレビ、新聞、ネットで大反響の衝撃の未来予測シミュレーション、待望の書籍化!!
2040年には働き手が1100万人足りなくなる――。
2023年3月にリクルートワークス研究所が発表した未来予測シミュレーションは、テレビ、新聞、ネットで数多く取り上げられ、大きな反響を呼んだ。
これまで「人手不足」は企業の雇用問題として報じられてきたが、これから起ころうとしている「人手不足」は、まったく様相が異なるという。
業種別にシミュレーション結果を見ると、2040年には
・介護サービス職で25.2%
・ドライバー職で24.1%
・建設職で22.0%
の人手が足りなくなる。
そうすると何が起こるのか?
宅配便の遅延が当たり前になり、ドライバー不足でコンビニやスーパーの商品の補充も毎日できなくなり、建設現場の人手不足で地方の生活道路が穴だらけになってしまう。注文したものの配送、ゴミの処理、災害からの復旧、道路の除雪、保育サービス、介護サービス……。
私たちは今、これまで当たり前に享受してきたあらゆる「生活維持サービス」の水準が低下し、消滅する危機に直面しているのである。
これから訪れる人手不足は「生活を維持するために必要な労働力を日本社会は供給できなくなるのではないか」という、生活者の問題としてわれわれの前に現れるのだ。
本書では、詳細なシミュレーションをもとに、今後われわれ日本人が直面する「労働供給制約」という不可避の社会課題を明らかにする。
もちろん、ただ危機を「座して待つ」だけではない。これから確実に直面する働き手不足の問題を解消するための4つの打ち手も提案する。
いずれの打ち手も机上論ではなく、すでに地域や個人、企業が実践しているもので、すでに芽が出ている取り組みである。
世界ではじめて人類社会の新局面に直面する日本において、働き手不足がもたらすのは「危機」だけではない。
じつは労働供給制約は、私たちに新しい働き方をもたらし、日本をまったく新しい豊かな社会に変えるための突破口になるかもしれない。
労働市場の研究者である著者が、「危機の時代」を「希望の時代」にするために筆を執った衝撃の未来予測。
【著者紹介】
[著]古屋 星斗(ふるや・しょうと)
リクルートワークス研究所主任研究員
一橋大学大学院社会科学研究科を修了後、経済産業省入省。産業人材政策、福島復興、成長戦略立案などに携わる。2017年より現職。労働市場や次世代のキャリア形成研究を専門とする。著書に『ゆるい職場―若者の不安の知られざる理由』(中央公論新社)など。
[著]リクルートワークス研究所
1999年1月に設立された、株式会社リクルート内にある「人」と「組織」に関する研究機関。「一人ひとりが生き生きと働ける次世代社会の創造」を使命に掲げ、調査・研究などを実施する。
【目次抜粋】
はじめに
第1章 働き手不足1100万人の衝撃
・生活維持のための労働力がなくなる
・20年で生産年齢人口は1428万人減
・日本の労働力率は先進国でトップクラス
第2章 都道府県別&職種別 2040年の労働需給予測
・ドライバーの不足率は24%【職種別シミュレーション】
・充足率75%以下は31道府県【都道府県別シミュレーション】
・人口67万人の島根県の需給ギャップが小さいワケ
第3章 生活維持サービスの低下と消滅
・人材確保は最優先の経営課題
・エッセンシャルワーカーが足りない
・顕在化する警察官、自衛官のなり手不足
第4章 働き手不足の最前線・地方企業の窮状
・【事例1】「地元の企業同士で若者の取り合いになる」
・【事例2】「人手不足で店を畳まざるをえない」
・【事例3】「閑散期のはずなのに毎日仕事を断っている」
第5章 働き手不足を解消する4つの打ち手
・労働供給制約は日本を豊かな社会に変える
・医療・介護分野は労働投入量が1.4倍に
・今、着手できる4つの解決策
第6章 解決策① 徹底的な機械化・自動化
・省人化は賃金上昇につながる
・AIやロボットに代替不可能な業務とは
・社内の自動化のカギを握る人材の共通点
第7章 解決策② ワーキッシュアクトという選択肢
・“本業以外の活動”が誰かを助けている
・動機は「楽しいから」「得をするから」
・地方のほうがワーキッシュアクトが盛ん
第8章 解決策③ シニアの小さな活動
・シニアの小さな活動が現役世代を助ける
・無償だとどんどん担い手がいなくなる
・高齢期の生活と両立する仕事・活動の3要素
第9章 解決策④ 企業のムダ改革とサポート
・週に6~7時間はムダな仕事をしている
・ムダの抽出と削減を徹底する企業が生き残る
・会社ができる労働供給制約の解決策
第10章 2040年の“新しい”働き方
・解決策に着手すれば“10年の猶予”が生まれる
・未来予測1「消費者と労働者の境目が曖昧になる」
・未来予測2「働き手が神様です」
・未来予測3「労働が楽しくなる」
・2040年の二つの日本
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Posted by ブクログ
単なる人手不足論ではなく、
私たちの生活にはどう影響してくるのか、
そしてその対策までが示されています。
宅配便が届かない、生活道路が穴だらけ
救急車を呼んでも来ない...。
言われてみれば、その通りですが、
人手不足と普段の生活の事を
繋げて意識してはいませんでした。
2024年1月に出版と
比較的新しい情報ながらも
現実ではさらに数年進んだ
状況で進んでいると思われます。
本文より~
・かつては「お客様は神様です」という言葉があったが、
労働供給制約社会においては、「働き手が神様」になる。
お客様と働き手の数が不均衡になるわけだから、
働いている人が大事になるのは当然のことだ。
・突拍子もないことを言うようだが、
労働や仕事は楽しくなると考える。単純な話で、
楽しくないと労働供給が増えないからだ。
企業発で、事業展開に必要な人員を確保するために、
自社の仕事を楽しくしようとするインセンティブが
強くなっていくのは間違いないと考える。
~ここまで。
雇用側の機械化やムダ改善に加えて
労働需要を満たした普段の行動や
無理のない仕事との組み合わせ。
その上に都市計画や
税制設計などで
人口動態の変化に対応していくことが
展望として述べられていました。
少子高齢化の事実に向き合い
どれだけの解決策に
それぞれが取り組めるか
課題が浮き彫りになりました。
Posted by ブクログ
タイトルがショッキングです
。しかしもうすでに業種によっては「人が足りていない」という現実を感じることがままあります。
話にも聞くし報道でも目や耳に留まることは増えていると思います。(本書にあるように特に医療・介護現場、建築や運送関連業態など)このまま何も変えていこうとしなければ2040年には生活するだけで精一杯の毎日を送る人だらけになる…。衝撃すぎます。
本書に提示された、この危機を最小限にするための方策というかアイデアは、たしかに有効そうではあります。でも全部実行することは出来ないんだろうなと読んでいて私は悲観的でした。何とかしなければと思ってはいても、実際にすぐに動く企業や自治体はどれだけあるだろうと思います。
確かに一部地方自治体で、公務員でありながら農業や漁業などの一次産業へ働きに出ることを勧めているところなど見かけるようになり、これは本書でいうワーキッシュアクトそのものだと思います。それ自体はいいことなはず、なのですがやはり問題はあるわけで。
例えば来てもらえるところには感謝され、実質そこの仕事は進むわけですが、その地域の全農家や漁師宅へ人が入れるわけではないから不公平感もあるし、入る側も行く人は結局若者に限られることや、行かない人は目に見えないプレッシャーがあったりするけれど職場ではそれは言いにくいという話も聞きます。
不公平感や負担感がないように、「楽しんで」できれば確かに良いのですが、実際にやってみないとわからないこのような問題というのは出てくるでしょう。(だからといってやはり何もしないわけには行かないのも確かですけれど…)
本書p126 女性の非正規労働者のうち「不本意だが非正規労働者である」割合が7.9%しかいなくて非正規労働者でありたくてなってる女性が大半であるという話が出てきますが、私はこのデータだけでは必ずしも「非正規労働者でありたい女性が多い」といえないのではないかと感じました。
「そうありたい」の中には扶養範囲でしか働けないという家庭の事情があり「状況が許さずそうありたい」というしかないという人がかなり多いのではないかと思うからです。少なくとも私はそうです。今の職種で正規で働けるなら本当はもっと働きたい。しかし採用がないのです。
このようなアンケートでは私は「非正規を望む」と答えますが(実際そう答えたこともあり)それは「事情」からであり「意思」ではないからです。
今の制度の中で扶養を超えて非正規のまま正規並みに収益を得られるくらい働こうとすると、休みもとれないくらいに「みっしりと」働かないと収益は得られないし(それでも正規には追いつかない)、中途半端に働けば「働き損」になるので結局扶養範囲に抑えるしかなくなるのです。(じゃあ正規の仕事を探せばいいじゃないかという意見はあると思いますがそれはまた別の話になります)
今扶養についても税制が大きく変わろうとしていて、扶養範囲で抑えるという働き方もいずれは出来なくなるだろうと思いますが、本書のこの個所については大変引っかかりました。
自分がその立場だからそう思うだけかもしれないですが、これは非正規について真実を認識できてないままのデータなのではと感じました。
p136 オレンジの線がひかれている箇所ですが「これまで10人で行っていた仕事が8人でできるようになれば支払い賃金を従来水準の1.25倍に増やすことは可能だ」というようなことが書かれています。理論的には、ときちんと断わりもつけてます。期待も確かにできます。できますが実際そうなるかな、というのはかなり疑問に思いました。
人件費として浮いた分をいる人員に配分するという事業主も確かにいるでしょうが現状ではそういうことをする事業所は少ないんじゃないかなと思いました。これからそうなるといいねとは思うけど理想が過ぎる…という気が。
と細かいところに結構突っ込みどころを感じ(最終章も)自分は悲観的でした。
でも一番悲観しているところは、そもそも本書に書かれているような現状に、社会の意識がまだそこまで危機を感じてないのでは、と思えてならないことです。