あらすじ
いつ書き始められ、いつ書き終わったのかもわからない。作者の本名も生没年もわからない。それなのに、なぜ源氏物語は千年もの長きにわたって、読者を惹きつけてきたのか? 本文を確定した藤原定家、モデルを突き止めた四辻善成、戦乱の時代に平和を願った宗祇、大衆化に成功した北村季吟、「もののあはれ」を発見した本居宣長……。源氏物語に取り憑かれて、その謎解きに挑んだ九人の男たちの「ものがたり」。
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源氏物語は全ての血の通った人間が登場する。そして、私たちは、自分事のように彼らの気持ちを理解するとができる。古典文学を読む意義を理解したような気がする。思っていることをわかりやすい言葉で伝えてくれる文章でとても読みやすく、革命的だった。男性読者であっても光源氏と関わることで苦しんだ女性たち(六条御息所、藤壺、紫の上なと)の心を手にするように理解できるようになるし、逆も然り光源氏の喜怒哀楽が理解できるのだ。もののあはれなり。
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本書に紹介されている紫式部と源氏物語研究者を並べてみた。
紫式部 1000年頃
藤原定家 1162〜1241
四辻善成 1326〜1402
一条兼良 1402〜81
宗祗 1421〜1502
三条西実隆 1455〜1537
細川幽斎 1624〜1705
本居宣長 1730〜1801
アーサー・ウェイリー
1889〜1966
こうしてみると、源氏物語は創作されて以後、途切れることなく、連綿と研究が続けられている。
本書は、源氏研究の流れを非常に分かりやすく解説している。
紫式部の創作以降、源氏物語は研究され、蓄積され、古今伝授を通じて次世代へと引き継がれていった。
藤原定家が本文を確定した。
四辻善成が漢字と平仮名を併用した語釈を行った。
一条兼良が和の精神を汲み出した。
宗祗は、戦乱の世にあって平和を渇望し、理想の政治家像を源氏物語に見出した。
北村季吟は、本文+傍注+頭注を湖月抄で行い、庶民が源氏物語を読めるようにした。そして、源氏物語から「君臣の交わり」「仁義の道」「風雅の媒ナカダチ」「菩提の縁」
の教訓を読み取り、源氏物語を「高度の人生指南書」「最高の人生教訓書」とした。
それを革命的に打ち破ったのが本居宣長であった。宣長は天才的な源氏解釈を一代にして築き上げた。その真髄は「もののあはれ」である。人生の喜びも悲しみも全てを引き受けて生きる光源氏の姿に「もののあはれ」を読み取った。
著者は言う。すらすら読める現代語訳にだけ甘んじていては、源氏物語を理解したことにはならない。源氏物語にはいまだに難解で議論の分かれる箇所が数多くある。源氏物語を読むには、一語・一文・一場面ごとに立ち止まり、逡巡し、際限なく検討を続ける学問探究が求められると。
いま、NHKラジオ古典講読て、著者の語で、名場面でつづる「源氏物語」が放送されており、私は毎回聴講している。本書で語られた精神が、この放送でも反映されている。
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源氏物語の研究の歴史を追った本です。
歴代の主な研究者とその研究内容を紹介しているのですが、一番印象に残ったのは、研究者としては最初に出てくる藤原定家。
紫式部の時代から200年後に活躍した彼が「源氏物語の本文を確定した」というのは衝撃の事実でしたし、彼が「源氏物語を古典にした」という点も、かなりインパクトがありました。
源氏物語の内容そのものの理解を目的とした本ではないですが、源氏物語が成立した経緯や、その後の研究の経緯を理解するには、すぐれた本だと思います。
Oさんが紹介してくれた(しかも貸してくれた)理由が、よくわかりました。
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源氏物語に魅せられて、その注釈に挑んだ9人の、ものがたり。
時代の、文化の、連鎖反応。
時が流れても源氏物語をめぐって何人もの人が研究を続ける。その影響で、また別の文化も生まれる。
ただの恋愛話ではない、貴族家族友人…源氏物語の魅力を魅せつけられたなと感じる。
そう言うわたしは、源氏物語、まだ読んだことがない。笑
Posted by ブクログ
この著者の前著『教科書の文学を読みなおす』がなかなか面白かったので購入。
源氏物語の受容史において重要な役割を果たした校訂者・解釈者をたどることで源氏物語の面白さを物語るという凝った本で、著者の源氏物語への愛情が至る所に見え隠れして微笑ましい。
それにしても、新潮新書の全体的つまらなさは相変わらずなのに、日本文学を扱うとそれなりに面白いので評価に困る(汗
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源氏物語がどのように受け継がれてきたのか、ということの概略を知ることができる。藤原定家から始まる源氏研究の執念。源氏物語は特別なものであり続け、おそらくこれからもそうだろ。今後どうなっていくかは、天に任せるしかないのだろう。
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藤原定家・四辻善成・一条兼良・宗祇・三条西実隆・細川幽斎・北村季吟・本居宣長・アーサー=ウェイリー
源氏物語そのものではなくて、源氏物語を愛した9人の人間のものがたりです。
・・・というと、なにやら堅苦しい本かと思われますが、決して難しい本ではありません。
それぞれの研究者たちの偉業をさらっと各章にまとめられていて、その文章も柔らかく、とても読みやすいです。
時代を追って書かれているので、千年後の今に伝わる「源氏物語」という物語がどのような遍歴を送ってきたのかが見渡せます。
きっと、この本の軸となっている源氏物語を読んでみたくなるのではないでしょうか。
この本は、目次が素敵です。
なにやら気になって早く読みたいと気持ちが急くのです。
それぞれの章については、とても簡潔でわかりやすいものでした。
ただ、たとえ話が多くひとりよがりな印象を受けたので★★★☆☆。
そして、どうしても物足りなかった!
しかし、源氏物語導入としては充分な内容になっています。