あらすじ
毎日1日分だけの買い物をし、ハッピーアワーで1杯飲んで帰る。
誰とも会わない、喋らない。そんな女将の胸の内。
コロナの3年間のお上の無能に怒り、吉本家の“独特な味“を懐かしみ、『猫屋台』で大盤振る舞い……。“人外魔境”より届いた、「真っ当な食、真っ当な命」をめぐるエッセイ。
味と思い出は、紐付けられる――。
完全予約制の、知る人ぞ知る『猫屋台』の女将・ハルノがその「日乗」を綴り始めたのはコロナが蔓延り始めた2020年の春。女将は怒っていた。緊急事態宣言、アルコール禁止、同調圧力、自粛警察……コロナが悪いんじゃない、お上が無能なんだ――と。怒りの傍ら綴るのは、吉本家の懐かしい味、父と深夜に食べた初めてのピザ、看板猫・シロミの死、自身の脱腸入院、吉本家の怒涛のお正月、コロナの渦中に独りで逝った古い知人……。美味しさとユーモアと、懐かしさ溢れる、食エッセイ。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
いつも通り、すごく緻密な絵から受ける印象とは真逆の、いろいろツッコミどころの多いエッセイ。
ご本人は自覚がなさそうだけど、東京の都心で育ったお嬢様だな~と改めて(毎回思うことを)思う。
・・・と言うと、下町だしお金持ちでもないしとか何とかそういう反論がご本人からきそうだけど、東京の山手線沿線に小さいころから住むってやっぱり特殊よねと思う。(つい最近まで住んでいたからとみにそう思う)
別に山手線だけじゃなくて首都圏で生まれ育つというのは、地方とはあらゆる意味でイージーさが違っていて、ものごとに対する要求水準が高くなりがちじゃないかと思ったりする。どっちが特殊か、というのは意見が分かれそうだけど。
私的にはこの人はひろゆきと同じカテゴリ。「自分大好き普通の人はバカ(または不潔)で嫌い」カテゴリ。(妹さんのばなりんも同じカテゴリ)
ということで、読んでいるといろいろと失笑が禁じ得ないんだけど、でも、でも、でも、猫への愛と猫屋台はすてきーーーー!
特に猫屋台のメニューがおいしそう過ぎて。
ほぼ日にずいぶん前に紹介されていた鶏ささみとめんたいと白菜&山芋のおつまみ、作ってみるとすごくおいしくて、質の良いめんたいを頂いたらよく作ります。
この人の「ご意見」にはだいたい反発心を覚えたが、以下の文章だけはすごく同意した。
「"最後の晩餐" として、〇〇のサーロインステーキとか、〇〇の寿司だとか、〇〇のフカヒレ煮込みとかを挙げる人は、むしろ貧しいと感じるのは、私のひがみだろうか」
私としては、「最後の晩餐に何が食べたいかなんて、その場になってみないと分からない」というのが正直なところだけど、そんなこと言ったらこの質問が急につまらなくなるのでダメよね。
ササミのキエフ、食べることができる人がうらやまし過ぎる。
惜しげもなくレシピも公開してくださっているので、一応写メ残していつでも作り方を参照できるようにしたけど、作れる気がしないなぁ。まずパセリバターがハードル高い。
糸井重里さんがずいぶん前にこのハルノさんの絶品の一皿について書かれているのを読んで以来、ずっと食べてみたいと憧れている猫屋台のメニューなんだけど、ルーツはウクライナ料理とは衝撃でした。ものすごくジャンクなので(カロリーのお化け的な意味で)、郷土料理がベースとは夢にも思わなかった。