あらすじ
家族、映画、事件。赤裸々な告白
「次の生き方を模索するために、過去の自分に会う旅をしました。」(著者のことば)
2020年9月に大麻取締法違反容疑で逮捕されて以降、活動を自粛してきた俳優・伊勢谷友介の語り下ろし.
映画復帰第1作となる『ペナルティループ』が2024年3月に公開されるのを前に、これまで歩んできた人生の様々な場面(シーン)について、率直に語った。
幼少時代を過ごした北海道・函館の記憶、東京芸大入学、沖縄・渡嘉敷島やインドへの旅、複雑な家庭環境、齢の離れた異母兄・山本寛斎氏との交流、映画にかける思い、東日本大震災の際の活動、そして事件について。
自ら語ったさまざまなエピソードから、ひとりの人間の像が刻まれていく――そんな一冊だ。
【著者のことば】
「個の命は種の存続の為にある」ことに気がついてから、地球上で唯一、自らの未来を壊す生物である愚かな我々人類と、その社会の変革のイメージを育み、行動に変えることが僕の人生でした。それが出来なくなった今、次の生き方を模索するために過去の自分に会う旅をしました。他人や社会のために生きるのではなく、自分のための時間の使い方を探しに、過去の自分と向き合う旅です。お付き合いいただければ幸いです。
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Posted by ブクログ
時系列はバラバラ、思いつくまま書いたようにも読める自叙伝?正直、もっと赤裸々なものが書かれてるのかと思ったが、淡々とした文章が並んでいた。大麻取締法違反で逮捕されてもう5年近くなるのか、と時の流れの速さに驚いた。
さらりとだが、留置所の記述もあり、「罪が確定してない人間を留置する施設として、人権無視の扱いはどうなのか」と抱いた疑問には共感した。自分のやってきた社会貢献活動についての記述もあり、今後の活動に期待したいと思った。
Posted by ブクログ
龍馬伝の高杉晋作がカッコよくて好きになりました。
本当に向いてることは、出役じゃなくてプロデュース的なことなんだろうけど、カッコよすぎて世の中が見つけてしまった印象を受けました。
人間力が高くて、推進力もあり、思想が強めなところは高杉晋作や吉田松陰など、当時の長州藩の方そのもので、キャスティングする方の本質を捉える力ってスゴイなと思いました。
直接お会いしたら魅力がとても伝わる人なんだろうなと。
Posted by ブクログ
初めて会ったのは、当時活動していた岡山県の現場にわざわざ来てくれたとき。この本で言えば、ちょうど飯館村のエピソード前後である。芸能人然とせず、気さくな同年代としてフラットな付き合いをさせてもらっている。
彼の人間性について、その来歴を知る機会があまりなかった。俳優という仕事をしていると、映画やドラマの撮影に入ると別人格のようなゾーンに行ってしまい、なかなかコミュニケーションしづらい状況になる。苛烈な印象を与える憑依型俳優としての一面と、日常の彼とのギャップは魅力でもあり、付き合い方が難しい面もあった。
それとともにオイラ自身とも共通する一般社会とは馴染まない部分が、家庭環境や教育、世界を放浪する道程で培われていったことを改めて理解した。ときにあまりにも理想論すぎる話を堂々と述べ、居心地の悪い芸能界という仕事を有名税として自らの理想を実現する材料と捉え、ロジカルに展開する会話は楽しくもあった。
40代後半、求められる役割は変わる年代である。俳優でも父親や敵役といった役柄を演じることが増えた矢先の事件で、恐らくは今後芸能界に復帰するといった流れは遠のいただろうし、キャンセルカルチャーの猛威がかの業界を襲っている。
しかし表現者としては、生涯現役で続けていくべきだろうし彼以上に才能のある人間には出逢ったことがない。「挫折禁止」自ら掲げた十字架は、磔にされた時点から輝き始めるのだろう。