【感想・ネタバレ】自刻像のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年02月19日

初めて会ったのは、当時活動していた岡山県の現場にわざわざ来てくれたとき。この本で言えば、ちょうど飯館村のエピソード前後である。芸能人然とせず、気さくな同年代としてフラットな付き合いをさせてもらっている。

彼の人間性について、その来歴を知る機会があまりなかった。俳優という仕事をしていると、映画やドラ...続きを読むマの撮影に入ると別人格のようなゾーンに行ってしまい、なかなかコミュニケーションしづらい状況になる。苛烈な印象を与える憑依型俳優としての一面と、日常の彼とのギャップは魅力でもあり、付き合い方が難しい面もあった。

それとともにオイラ自身とも共通する一般社会とは馴染まない部分が、家庭環境や教育、世界を放浪する道程で培われていったことを改めて理解した。ときにあまりにも理想論すぎる話を堂々と述べ、居心地の悪い芸能界という仕事を有名税として自らの理想を実現する材料と捉え、ロジカルに展開する会話は楽しくもあった。

40代後半、求められる役割は変わる年代である。俳優でも父親や敵役といった役柄を演じることが増えた矢先の事件で、恐らくは今後芸能界に復帰するといった流れは遠のいただろうし、キャンセルカルチャーの猛威がかの業界を襲っている。

しかし表現者としては、生涯現役で続けていくべきだろうし彼以上に才能のある人間には出逢ったことがない。「挫折禁止」自ら掲げた十字架は、磔にされた時点から輝き始めるのだろう。

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