【感想・ネタバレ】シカゴ・ソウルはどう世界を変えたのか――黒人文化運動と音楽ビジネスの変革史のレビュー

あらすじ

【 推薦!】ピーター・バラカン氏
デトロイトやメンフィスより語られないシカゴのソウル・ミュージックを支えたコミュニティが目に浮かびます。
共同体あってこその音楽シーン、そのことを痛感しました。

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音楽産業とブラック・パワー、そして公民権運動の結びつきを、
膨大な当事者インタビューと資料から解き明かす、決定的ノンフィクション!

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◆カーティス・メイフィールド
◆ジェリー・バトラー
◆ダニー・ハサウェイ
◆アース・ウィンド&ファイアー
◆ミニー・リパートン
◆チャカ・カーン
◆テリー・キャリアー……。

──ソウル界に燦然と輝く星々は、音楽とともに、世界を変革しようとした。

* * *

〈 音楽の変革 × 社会の変革 〉
人種隔離の時代に、シカゴのソウル・ミュージシャンが行った変革とは何だったのか?
自主レーベルの設立、黒人経営企業の立ち上げ、地元コミュニティ、メディアとの協働、独自の流通網の開拓……。

シカゴ・ソウルの生成を中心に、ファンク、ハウス、Hip hopの時代まで駆け抜ける、唯一無二の音楽/社会のドキュメント!

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【目次】
■はじめに

第1章・廊下とラジオ
──コミュニティの変化と新しいメディアが音楽を変えた

第2章・アイム・ア・テリング・ユー
──新興のアーティストと起業家が拓いた新時代

第3章・ウィアー・ア・ウィナー
──ミュージシャン、活動家、教育者たちが音楽業界を築き、発展させた

第4章・サイケデリック・ソウル
──シカゴの一九六〇年代のカウンター・カルチャーが社会運動と音楽の方向を変えた

第5章・ア・ニュー・デイ
──一九六〇年代の闘いの答えとなったアフリカ中心主義と明確な政治的声明

第6章・リズムがすべてではない
──企業の力が一九七〇年代のブラック・ミュージック、商業、政治を動かした

第7章・サウンド・パワー
──ファンク、ディスコと結束、分断、希望

第8章・未来予想
──リイシュー、サンプリング、若いアーティストたちが再考するソウルの歴史

■謝辞
■訳者あとがき
■原注
■ディスコグラフィー
■参考資料

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Posted by ブクログ

本書はシカゴの音楽を単純に紹介するものではなく、シカゴという都市の発展と音楽の関係、公民権運動の流れも一緒に追いながらシカゴの音楽を語っているのがユニークでした。
私はカーティス・メイフィールドの音楽が大好きです。
第一章の頭からカーティス・メイフィールドとインプレッションズのデビュー前の話しから始まり熱くなってしまった。50年代、60年代のアメリカの白人による差別は酷かったとよく聞きます。そんな中、黒人アーティストが音楽ビジネスに参入して世界中にその活躍を示していく姿が描かれています。
また、カーティスが運営していたカートムが、音楽出版から始まっていたのも知りませんでした。まだ自分の作品が少ない頃から音楽ビジネスを勉強していただなんて。その後のカーティスの成功を考えたら頭が下がります。
70年代後半からは音楽の変化に伴い、音楽ビジネスも衰退していっているようでとても寂しく感じました。時代と共に音楽フォーマットも変わり、コレからの未来に音楽の役割がどのようになるのかはわかりませんが、再生を繰り返す音楽の未来に期待しています。

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

ソウルというブラックミュージックの1ジャンルについて、私自身はそこまで詳しくないのだが、その中で最も敬愛するアーティストの一人がカーティス・メイフィールドである。

極めてソフトなその歌声と美しいメロディー、ストリングスをふんだんに使ったアレンジなど、個人的な好みとして昔から彼の作品を愛聴している。本書は彼の出身地であるシカゴで生まれたカーティスらのソウルミュージックの歴史を描いた概説書である。

シカゴ・ソウルとして本書で扱われるアーティストは本書タイトル”Move on Up”という名曲を残したカーティス・メイフィールドと彼がソロ以前に活動していたボーカルグループ、The Impressions、シル・ジョンソン、ダニー・ハサウェイなどである。

本書ではアメリカ南部から北部への黒人の大移動によって都市動態が大きく変化したシカゴという都市の政治・社会・経済などの歴史を追いつつ、丹念に各時代でどのようなアーティストが生まれたのかを追っていく。特に新設されたレコード会社・レーベル、レコーディング・スタジオや優秀なスタジオミュージシャン、ラジオ局との関わりなど、ある種のインフラとして優れた作品が生み出されていくシステムに関する記述は非常に丁寧であり、汎用性あるメカニズムとしてのシステムの様相を知ることができたのは面白かった。

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2024年01月14日

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