あらすじ
「死んだ方がましのくせになぜ生きているのか不思議な底辺が、将来そうなるであろう若いだけの同じ底辺によって苦しめられている」と同じ団地の住民を見下す久野。自身の惨めさを糊塗するために、現状から抜け出せない人々を定点観測するだけに飽き足らず、土井という老人を弄ぶ手段を考え、実行することに生きがいを見出していた。ところがある日土井から相談を持ちかけられて……。表題作を含め、自らの毒に冒されたい人に向け描かれた短編集。
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Posted by ブクログ
すごいものを読んじゃった。
見てはいけない人間の深淵を覗くことができる作品。
誰もが心の奥底に秘めている禁忌を豊富な語彙力でガッツリ表現されています。
覚えたての難しい単語を並べただけの【最近流行りの雰囲気だけ文学っぽいホラー】な作品とは一線を画しています。
一体どんな人が書いたんだろうと興味を抱き検索したら若いギャル(しかも高学歴!)の顔写真付きインタビューが出てきて更にびっくり笑
こんな可愛らしいお姉さんがこんな悪意に満ちた作品を生み出したの!?
人間という底知れない生き物の多面性がますます恐ろしくなりました笑
そして献鹿狸太朗作品をもっと読みたくなりました。
インタビューをそのまま信じれば、著者は家族にも周囲にも恵まれて育ち、誰もが知る有名大学の大学院まで行っているエリートです。
しかも大学院在籍中にデビューしたとか...?
私が1番驚いたのは、著者は小説をほとんど読んだことがないとのこと笑
小説を読まない小説家なんて長い読書歴の中で初めて見ました笑笑
何もかもが規格外すぎて本当にすごいですね。
天才ってこういう人のことを呼ぶのかなぁと思いました。
ジャンルは違いますが、村田沙耶香著「コンビニ人間」が好きな人は本作も好きな気がします。
もし私が芥川賞の審査員なら間違いなく本作に受賞させたと思います笑
性善説を信じてる人は本作を読んではいけません。
でも、この世にはどうしようも無い地獄があるということをリアルで見た経験がある人は絶対にハマります。
「キレイなものしか見たくない」という人は読まないでください。
無駄に絶望するだけなので...
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「死んだ方がましのくせになぜ生きているのか不思議な底辺が、将来そうなるであろう若いだけの同じ底辺によって苦しめられている」と同じ団地の住民を見下す久野。
自身の惨めさを糊塗するために、現状から抜け出せない人々を定点観測するだけに飽き足らず、土井という老人を弄ぶ手段を考え、実行することに生きがいを見出していた。
ところがある日土井から相談を持ちかけられて……。
表題作を含め、自らの毒に冒されたい人に向け描かれた短編集。
Posted by ブクログ
(2024/12/30 1h)
墨汁みたいな2篇でした。
ストーリーは重たいけど、登場人物を扱き下ろすような地の文が軽妙なタッチで、独特の世界観を生んでいる。
Posted by ブクログ
久野はクズだけど自分のこと客観的に見ているだけ私よりマシ。あの人には勝てない、コイツよりマシ、とかいつまで続くのか。共感できる自分が怖い。共感できない人に私はなりたい。
Posted by ブクログ
装丁の大勝利。
見下すことで正気を保ってた明らかに「下」の相手が自分に近くて壊れていく遺書のくだりがすごい。久野を地獄に落としたのが土井の年齢でも絶望の対象でもなく、漢字も書けない自分だったのがいい。タイトルの『地ごく』の理由が回収されて、書けなくて塗りつぶされた地■の気味悪さが際立った。死んでしまった自尊心の最後の砦にキラキラした蠅を集らせたデザイナーがあまりに天才。
露悪的なところはあるけれど、くどくもなく読みやすくて文章もよかった。天獄は地ごくほどのインパクトなし。デビュー作も読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
素晴らしいパワーワードだけで構成される小説集。
収録されている2作とも、自閉している世界から自らの不幸を嘆きつつ外の世界も呪うも、その不幸は体感している世界が狭いからだったと少し会得する迄が描かれている印象。
たくさんの巧みな比喩に万力で心が徐々に締められる感じで、ダメ人間を自称する人には是非とも読んでいただきたいなと強く思いました。
Posted by ブクログ
滅茶苦茶良かった
どちらの地獄も最高に刺さった
どちらも普通では物語にならないような、それでも不幸という不幸を背負った人たちを、ここまで丁寧に文で表現できるのかと驚く
他の作品も楽しみ
Posted by ブクログ
今年初めての大当たり小説を読めたー!
楽しい!
近所の小学生達からボコボコにされる老人を眺めて喜ぶ男。
一人息子が平凡より劣っていると感じ自分を憐れむ母親。
2人とも終盤でずっと悩んでいたもの原因に気づき、気付いたらもう引き返せず、何もかもに絶望したように話が終わる。
タイトルを見た時になんで「ごく」がひらがな?と思ったけど、事実が笑えるくらい悲しい…笑っちゃいけないのに笑っちゃう。
今年はこれを超える小説と出会えるのかな、幸先良すぎた。
Posted by ブクログ
「地ごく」の主人公、久野。他人を見下しては底辺と位置付けし、バカにして暮らしている。それだけでなく、ターゲットを地獄に落とそうと画策するクズさ。読者としては、誰が一番最低かは一目瞭然だが、久野自身は自覚がない様子。なぜ自分の人生はうまくいかないのか。それは自身の責任なのではないか。それに気づけないことが一番の地獄かもしれない。この話を読んで、自覚のない者こそ本当の愚か者だと感じた。だがしかし、自分自身は違うと言えるだろうか?他人を見下してはいないだろうか?本書はそれを読者自身にも問いかけてくる。恐ろしい。
Posted by ブクログ
あたしなんてダメ人間だから
そう思う人は読んでみなよ
並べられたパワーワードに
やられればいい
ダメだ勝てねーって思ったら
とりあえず病名の一つでも出して
あたし◯◯だからわかんない
って言うんでしょ
そんな薄っぺらな不幸の盾じゃ
この本読めないよ
あんた、まだ幸せだよ
Posted by ブクログ
人間の醜さを煮詰めた鍋を喰らう覚悟が必要な作品。
怠惰故に堕落していく、何かに縋り救いを求める様は、自身と重なる部分もあり道を踏み外した未来の姿にも感じた。
そんな未来を生きないよう、この本を頭の片隅に入れ日々を邁進していきたい。
Posted by ブクログ
世の中が「比較=悪」な思考になっているから、
読むだけで気持ち悪さを覚える人もいるかもしれない。
ぜひ、登場人物を批判している自分に気づいて気持ち悪くなってください。
そして、比べることで幸福になれる人間がいることを忘れないでください。
Posted by ブクログ
他人の欠落を見て、親近感や優越感に縋り付く、暗くて希望のない本だった。
前向きに、なんて言葉が届かない人がいるのだと、自分とは違う価値観を持つ人がいることを知った。この感情は、絶望だった。
Posted by ブクログ
献鹿狸太朗とのファーストコンタクト。「何でそんなこと書くの…」のオンパレードなんだけど、綺麗事が全く無くて、社会の「膿」が破れて中身のドロドロが怒涛のように押し寄せてくるこの感じは、逆に清々しくて信用できる。表題作の「ごく」が平仮名な理由にゾクゾクした。
Posted by ブクログ
表題の地ごくと、天獄の2つの話。
ちょっと文章が読みづらかったが、なんだか人間のドロドロした部分とか汚い部分とかが感じられる作品!
・地ごく ★★★
文章読んでて、臭い匂いを思い出した。
ザ底辺と呼ばれるような人たちが住むアパートでの物語。とにかく読めば良いほど臭そうな雰囲気がずっと漂っている。
久野が地獄に気づいた後の展開が良かった。
・天獄 ★★★
こんなママ友会とかありそうだなぁと思いながら読んでた。絶対に入りたくない。
満たされない菜々子が不幸だと思った。