あらすじ
〇冷戦の終結以降、中国はまず地域レベルでアメリカを追い落とすための大戦略(グランド・ストラテジー)を推し進め、今ではグローバルなレベルで展開している――。これが本書の主張だ。
〇中国の覇権戦略は習近平時代に突如、始まったものではない。天安門事件、湾岸戦争、ソ連崩壊という三大イベント後に、中国はアメリカの位置づけを準同盟国から最大の脅威へと変えた。トウ小平時代に構築された対米戦略構想は、阻止戦略から秩序構築戦略、そしてさらに拡張戦略へと次元を高めていき、いまやグローバルな舞台で展開されるようになった。
〇本書は中国共産党の戦略構想の歴史、アメリカを追い落とす戦略が軍事、政治、経済にわたって組み立てられ、実行に移されていったロング・ゲームの実態を明らかにし、さらに、世界規模での秩序構築を目指し覇権を奪取しようとする中国の意図を読み解く。
〇そして、中国との対決戦略論、中国とのグランド・バーゲン(大取引)論のいずれも、アメリカ国内の制約条件、中国側が抱く長期的な計略を軽視しているとして退け、アメリカは中国に対し物量で正面から対抗するよりも、相手の弱みを鋭く突く非対称的な競争戦略を進めるべきだと説く。
〇著者は、有力シンクタンクのブルッキングス研究所で中国戦略研究プロジェクトを立ち上げ、現在、バイデン政権の国家安全保障会議で中国・台湾を担当、アメリカの対中戦略の中枢を担う逸材。本書は圧倒的な密度と網羅性をもつ徹底した公開情報の調査をもとに執筆された。中国の大戦略を歴史的なプロセスをもとに説き明かす決定版。
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Posted by ブクログ
450ページ以上の大著!電車で読むには分厚い、重い。
しかも内容が細かい。
ということで飛ばし読み。
かろうじて理解したのは、、、
中国は再び地球の覇権を持つことを常に意識してきた、
それが鄧小平時代の、
1989年の天安門事件、1991年の冷戦終了、続くアメリカのイラク戦争、
これにより、アメリカは中国をつぶそうとしているし、その力がある!
と認識、戦略を改めた、ということ。
そして経済成長を重ね、確実に世界経済に占めるシェアを高め、世界への影響力を高め、
ある面ではアメリカを超えている現実がある。
ここにきて失速、いつ経済が崩壊するか、という懸念はあるものの、
経済大国になったことは間違いない。
アメリカと覇権を争う資格は十分ある。
ここで思うのだが、、、
日本はとにかくアメリカべったり。
同盟を結んでいるとはいえ、実質は大東亜戦争敗戦から属国状態。
バブルピーク時はアメリカを脅かす経済力を誇ったが、今は見る影もなし。
一方アメリカも、日本躍進時は衰退と思われたが、移民増もあり、DXの力もあり、どっこい生きている。
ただ白人労働者の働き口は少なく、トランプに煽動されている実態。
少なくとも日本が盲目的についていっていい国ではない。
むろん、だからと言って中国に属せよなどというつもりは毛頭ない。
突然会社員を逮捕するような人権無視の国に未来はない。
とはいえあくまで経済あっての政治、逆か?
とにかく中国と付き合わない手はないし、現に付き合っている。
政治がやたら煽るだけ。
アメリカを盲目的に信じることなく、中国と両睨みで行くのがあるべき姿ではなかろうか。
なんたって中国は隣国なのだから、、
斜め読みだが中国の恐ろしさ、したたかさは雰囲気として伝わった。
謝 辞
序 章
第1章「一貫性のある思考と行動の枠組み」 大戦略と覇権国を中心とした秩序
第2章「党がすべてを指導する」 ナショナリズム、レーニン主義、中国共産党
第Ⅰ部 「能力を隠して好機を待つ」(韜光養晦(とうこうようかい))
中国による追い落とし戦略の第一段階 : 阻止(1989 ― 2008年)
第3章「新冷戦が始まった」 三大イベントと新たなアメリカからの脅威
第4章「暗殺者の鎚矛を握る」 軍事面での阻止の実行
第5章「本心を隠して穏やかに接する」 政治面での阻止の実行
第6章「恒久的通常貿易関係」 経済面での阻止の実行
第Ⅱ部 「なすべきことを積極的になす」(積極有所作為)
中国による追い落とし戦略の第二段階 : 構築(2009 ― 2016年)
第7章「パワー・バランスの変化」 金融危機と構築戦略の幕開け
第8章「より攻撃的な手を打て」 軍事面での構築の実行
第9章「地域の枠組みを確立する」 政治面での構築の実行
第10章「我々の開発列車にようこそ」 経済面での構築の実行
第Ⅲ部 「100年に一度の大変動」(百年未有之大変局)
中国による追い落とし戦略の第三段階 : グローバルな拡張(2017年以降)
第11章「世界の中央ステージに向けて」 アメリカの衰退と中国のグローバルな野心
第12章「堂々と立って遠くを望む」 中国のグローバルな拡張の方法と手段
第13章 中国との競争に向けたアメリカの非対称戦略
終 章
補 遺
原 注