あらすじ
人気お菓子研究家の原点!
漫画やドラマなどに出てくるさまざまな食べ物。それはどのように扱われているのか? フード理論を知ればもっと物語が面白くなる!
大きな口を開けて美味しそうに食べる人は腹の底を見せているため善人! フード目線から物語における登場人物の性格や感情、状況を読み解く。更に「賄賂は菓子折りに忍ばせる」「失恋のやけ食いはいつも好物」など、よく似た演出を50のステレオタイプに分析。フード理論を知れば、新しい発見や興味が深まること間違いなし!
単行本 『ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50』 太田出版2012年4月刊
文庫 『物語をおいしく読み解く フード理論とステレオタイプ50』に改題 文春文庫2024年1月刊
※この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
物語を彩る一背景としてしか認識していなかったが、食べ物に着目することから読み取れるものもあるのだと知りとても面白かった。今後映画や本を読むときに「食」についても意識して読み解いていきたいと思う。
作中では、賄賂の菓子折りや失恋のやけ食いなどステレオタイプに着目して考察を深めていたけれど、その起源や食べ物の歴史などから深めていっていたのでなるほどな、と思わせられることが多かった。物の見方や考え方が深まる一冊となった。
Posted by ブクログ
福田里香氏が定義したフード理論。当時タマフルで聴いて興味を持ったが、文庫化に際して読んだ。
本書に書かれている理論のうちのほとんどが、無意識にステレオタイプとして捉えていたものだったが、文章化して説明されることで、なるほどと改めて"腑に落ちた"。
氏の体験に基づく記憶などあり、個人的に「あるある」にならない部分もあったが、新たな見方を発見する部分もあったりして、良い内容でした。
Posted by ブクログ
食事をテーマにしたとっつきやすいテーマだが、深く考えたことはなく、興味を抱いた。
なるほどと思える内容と、とにかく選択肢が多く、小説や漫画のネタになりそう。
Posted by ブクログ
食事は人間が生きていくうえで欠かせない行為であり、これ抜きで生活するのはできない。ゆえに、食事とは、人間の根源的な行為である。本書は、映画、漫画、アニメなど多くの作品における食事のシーンに注目し、そこから登場人物の特徴や心情を汲み取る。著者は、これらのパターンを理論化して、この1冊にまとめた。
著者は「フード理論」と名づけ、それを3つの原則としてシンプル化したのが「フード三原則」である。これをもとに、多くの物語で見られる50の場面を解説する。中でも印象的なのがジブリ作品の食事シーンの解説である。ジブリといえば、食事の描写が繊細で印象的であるが、本書を読むと、なぜここまで食事の場面にこだわるのかが理解できる。
また、50の理論以外にも、食物にまつわる歴史も語る。たとえば、酒とは古来から儀式の場面に用いられたことや、チューインガムのガムは、南米マヤ文明が元となっているなど、料理研究家ならではの雑学も記載されている。
このように、本書を一通り読むことで、今後見る作品の面白さが倍増するのはもちろんのこと、実際に作品を創りたい人が、食事のシーンをどのように工夫すべきか、その指南書としても読み込める。
Posted by ブクログ
開始:2024/1/21
終了:2024/2/7
感想
そういえばそんなシーンもあったなぁ。でもどこで見たかは思い出せない。食べ物で何が表現されているのか。これからはそこにも目を向けよう。
Posted by ブクログ
エンタメ作品ででくる「食事」を元に50の「あるよねーこういうの」をまとめた一冊。あるよねー。わかるわかる。みたいな感じで、おもしろく読めるが、いかんせん「ステレオタイプ」をまとめたのと筆者が人文学系の研究者でなく料理研究家なので、「参考文献出して欲しー!」とちょっとが物足りなくなってしまうところがたまに瑕かなーーーと思った。ただエンタメの読み解きとして「よくある」のでフード三原則だけでも覚えておくと今後便利かも。(そこの分類は見事だなーとは思う)
あと50の項目全部にオノナツメ先生のオシャレすぎる絵があるのは大変テンションがあがります。
Posted by ブクログ
物語に登場するフードメタファーの解説。どれも見たことがある気がして面白かった。個人的には、タバコとガムの用途と役割の違いがもう少し掘り下げられそうで興味深かった。
Posted by ブクログ
長らく手に入らなかった単行本が、文庫化されたので。
目からウロコとまではいかないが、物語の一つの見方として軽く読める。
青酸カリのアーモンド臭とは、果実の巴旦杏の酸味のある臭い(酸だからね)のことで、普段ナッツとして香ばしく炒ってあるアーモンドではないのである。青酸カリで毒殺された人を実際に目の当たりにしたことはないけれど、きっとアーモンド入りのお菓子の匂いはしないはず。
つまり、その程度の作者のお話。
Posted by ブクログ
物語における食事や食べ物を使ったテンプレ表現の紹介と考察。
本書の核をなすフード理論の三原則は、
1. 善人は、フードを美味しそうに食べる
2. 正体不明者は、フードを食べない
3. 悪人は、フードを粗末に扱う
である。
この洞察はかなり的を射ていて面白い。
なお、そこから派生して、物語における食べ物関連で頻出する表現手法を50個紹介されているのだが、これにはやや不満がある。
個人的には、あるテンプレ表現がなぜそのように用いられるのか、あるいはなぜそのような意味を持つのかについて、理由を深く切り込んで分析して欲しかった。理由の分析は、割とサラッと済ませていて、表層的なところで止まってる印象。
食事は人間文化に深く根ざしているので、そういう文化的な背景をもっと掘り下げると、より興味深い考察になったと思う。