あらすじ
平穏な家庭に育ち、26年間大きな恐怖に襲われたことがなかった会社員・友安小輪の生活は、ある日を境に一変した。恋人と同棲するアパートに突然謎の老人が現われ、執拗ないやがらせを始めたのだ。恋人は不自然に萎縮し、交番の警官はまともに取り合おうとしない。一方、都内に住む若夫婦が老人に襲撃され、夫は過剰殺傷の末に死亡、妻が攫われるという事件が起きる。幼い頃に姉を殺害されたことがきっかけで刑事になった“事件マニア”の佐坂湘は、くせ者ながら優秀な警視庁捜査一課の捜査官・北野谷輝巳と組み、妻の行方を追うが……。老人による不可解な犯罪、その先に待つ衝撃の結末とは。戦慄のサイコサスペンス。/解説=古山裕樹
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Posted by ブクログ
注目の櫛木さんの作品。
執着者というタイトルと、帯に書かれた書評に惹かれて読んでみた。
ノンストップかつ怒涛の展開で息つく暇も無く読み終わる、そんな感じでした。
特に最後の100ページくらいは凄かったです。
恐ろしい老人にストーカーされる被害者達。
玄関先で排泄される、郵便受けに齧りかけのパンを入れられる、なぜか行く先々で出会ってしまう…恐ろしすぎて、道を歩くのも怖くなります。
主人公の警察官「佐坂」は、少年時代に高校生の姉がストーカーによって殺されてしまい、そのせいで家族が崩壊してしまった過去があります。
事件を追う中で、自分も”復讐”したいんじゃないか?と何度も葛藤しますが、
かつて姉を殺した犯人がまた再犯しようとしてるところを捕まえた後の、今道とのラストシーンが、姉を失ったトラウマを27年越しに克服できたのではないかと、ジンときました。
読み終わった後は、常に背後を気にするようになること確定です…
Posted by ブクログ
序盤の、女性たちに付きまとう老人の不気味さが半端なく、オカルト的なホラー小説なのかと思うほど。
老人の目的が不明というか、ただの快楽目的っぽく、何を考えてるのかわからないため、いつどこで襲われるか予想がつかない恐怖感も相当強く感じます。
加えて、過去の類似事件や被害者の関係者などの要素が多くて複雑で、序盤はそれらがどのように収束していくのかがとても気になります。これらが徐々に紐解かれ、事件の関係性が明らかになっていく流れは、常に先のページを気にさせてくれる求心力がありました。
そうした半端ない恐怖感・緊迫感と、少しずつ明らかになっていく真相、そして最後の最後まで引っ張る未解決要素(佐坂と永尾の関係)の存在が、分厚くて文字も小さいこの本を爆速で読ませてくれたように思います。
また(櫛木理宇作品では珍しく?)引っかかるところが残らない大団円で、エピローグが爽快だったのも個人的に好ポイントでした。
Posted by ブクログ
推し作家、櫛木理宇さんの作品。
前半はとにかく3件の付きまとい、嫌がらせ被害が恐ろしくて、あれ、これホラーなのかなと慄きながら読む。
そしてちょうどページ数的に半分まで読んだところで登場人物の一覧を見て、まだ名前が出ていない人が9人いることに気付き、驚く。
そこから後半にかけて怒涛の急展開。
(え、ちょっと待って。それっておかしくない?!)
からの
(あ、やっぱりそうだよね)
ときて
(え?あれ?うーん、そう?えー?!あー!だよね!え、そういうこと?!)
と心の中で大騒ぎしてしまう見事な終盤。
真犯人に関しては、頭おかし過ぎて理解出来なかったけれど、ラスト今道さんが真犯人にかけた親の役目の話には涙が出た。
今道さんは「ぬるくゆるやかに流れる黒い川」「氷の致死量」に続く3作目の登場とのこと。
氷の致死量で今道さん素敵だと思ったけど、やっぱり素敵。ぬるくゆるやかにも読みたい。
ラストは爽快。佐坂さん、お姉さんの敵討てたよ。涙が溢れました。よかった。
櫛木理宇さん作品、堪能しました。
Posted by ブクログ
やっと読み終わった!
面白かった〜!
主人公最後姉の敵討ちで殺しちゃうのかなぁと思ったけど幸せになれよ
犯人予想外だったな 寧ろそんな奴いた?くらいの印象
でも読んだ後ならまぁ確かにそんな悪質なジジイだったわ…納得
老人出過ぎ 介護か どれが誰??ってなってた
Posted by ブクログ
ストーカー問題の厄介さは「実害がない以上は周囲として介入の根拠がない」という点で、つきまといやジロジロ眺めるなどの行為の取締りは実効性がないし、被害者視点からすれば「差し迫った害が予感されるのに助けが得られない」ことだと思う。翻って、本作だと汚物で嫌がらせ、侵入等の実害があるので、警察官や周囲の人間の非協力・無理解(+被害者側の詰めの甘さ)が理由のように読めてしまい、ストーカーというテーマの恐怖を味わいたくて手に取った人間としてはもう一押しほしかった。
『黒い家』みたいな、イカれた人間がすぐそこにいる恐怖を押し出したサイコホラーを期待したけど、どちらかというと正真正銘の(?)犯罪者によるストーカーという意味でミステリー的な面白さが主で、サイコホラーという先入観を持ってなければもっと楽しめた気がする。