【感想・ネタバレ】2020年の恋人たちのレビュー

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Posted by ブクログ

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加藤シゲアキさんが解説されているとのことで購入。コロナ禍のお話と聞いていましたが、コロナ禍は最後の方のみでした。複雑な家庭事情にある主人公の葵の恋愛にまつわる気持ちの変化が描かれています。母に対する思い。嫌悪していても影響されていることに気付きます。恋愛要素だけでなく、家族、特に母娘の関係について考えさせられました。

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2024年02月27日

Posted by ブクログ

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良かった。

「自分と他人は別の生き物」
「自分の気持ちを認めてあげていい」
「恋愛はしてもしなくてもいい」
「そのうえで他人とも対等でありたいね」
というテーマが一貫してると感じた。

出てくる男性が多いけど、その全員と向き合って選んで別れて答えを出せたのが良かったと思った。
「海伊くんとくっついてハッピーエンドにしたら、それって結局は男の人に救ってもらわなきゃ!みたいな感じにならん?私の感じすぎ?」って思ってましたがその違和感を作者が回収してくれたのが本当に嬉しかった。葵が作中でやったみたいに、私の感じたモヤモヤだって自分の気持ちとして認めていいんだよって言ってもらえたみたいな。

ナラタージュみたいな情熱的な恋の話も好きだけど、恋をあくまで人生の一部として扱って生きていける主人公もすごく好きだし、力をもらえる。

「恋愛などの価値観も含めて他人と自分とはどうしようもなく違っている」ということを認めるのも、恋愛や異性への依存から離れるのも、どちらもしんどいし大変ではあるけど
でもそれを乗り越えたうえで、乗り越えたからこそ築ける関係性もある。
そしてそれに救われることもある。

恋愛だけで生きているわけじゃない。

葵と松尾くんの、恋人でも家族でもないビジネスパートナーだけど「君はそこにいて役に立ってるよ」って言い合える関係はまさにそれだと思う。
過去に向き合い、依存を手放した葵の手元に残ったものが対等かつ年上じゃない男性との信頼関係……というのは物語のラストに示された救いであり希望という気がする。そしてそれはつまり葵の人生への希望でもあるのだ。

嫌なものは選んで捨ててもいいけど、2020年の葵は「今やりたいことを簡単には手放さない!」って選択ができている。強くてしなやか。
島本理生さんの作品の主人公はいつもそう。みんなそう。傷ついても生きている。えらい。大好き。

赤ワインと白ワイン、赤いセーターと青が似合う
あたりの対比も見事だった。
滲み出る分かり合えなさ。巧み。

加藤シゲアキさんの解説も興味深かった。
島本理生さんはキリスト教や信仰が深く関わる作品も書かれているので、そこと絡めてくれたのめちゃくちゃ嬉しかった。
酒の暗喩とか私だけじゃ一生気づけなかった。
ただ、白は純潔への渇望みたいな記述だけはちょっと「個人的に」いただけないなぁと思ってしまった。
「穢された」って表現は、女性の純潔に価値を見出して抑圧するような古臭い価値観から出るようなもののように感じられて、それって、人間が自分の意思や尊厳をないがしろにされた時の怒りや恐怖を表す言葉としては少し違うものなんじゃないかなと私は思った。穿ち過ぎと言われたらそれまでだが。

でもでもそれはそうと彼の著作も気になるので読んでみたいな!と思う。
芋づる式ハッピー読書!

芹さんとの対話も好き。
大きくなってから新しくできた友人って、互いの過去を共有してないからこそできる会話とか得られる気づきってあるよね。素敵な距離感。

本筋とは関係ないキャラ萌えの話をするとスーツ褒められて嬉しそうな義理の兄が可愛かった。
なんでそこだけ高慢ボンボンツンデレ萌えキャラなんだ。好きになっちゃったよ。

蛇足だけど、私はまだ飲酒できないし、外食もわけあってちょっとなかなか難しいからワインのこととか大人の食事の雰囲気とかもっと分かったら楽しいんだろうな〜と思った。けどこれは本当に個人の感想。

自立するとか簡単にいうけど、そもそも自立ってなんだろう?って今一度問いかけてくれるような、すごく良い作品でした。
依存したくなっちゃうことだってあるけど仕事して恋愛してお店継いで精一杯やってる葵の姿はまさに「自立」って感じだし、すっごくかっこよかった。推せる。
最高!

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2024年01月05日

Posted by ブクログ

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タイトルから2020年のコロナ禍の恋人たちが描かれていくのかと思いきや、2018年春から始まったのが意外だった。
一人で生きていけそうな強さがあるから、色んな人から当たられてしまう、主人公の葵の姿は、痛々しい。
島本理生さんの小説は、セリフが刺さる。
「戻れることなんて、なくないですか?」「精神の越境行為」ラストの7行は、人生の指針になる。
何も言えずに別れてしまう死別に比べれば、恋愛の別れは明るい、だなんて、考えたこともなかった。
保証のない人生の中で、恋愛してもしなくても、自分を手放さずに生きていく、前を向いて生きていこうとする葵に勇気をもらった。

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2023年12月30日

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恋愛はしてもしなくてもいい、振り返っても持ちたいものが無かった、というのが印象に残った。
読み始めた時、葵は恋愛体質な人なのかなと思った、自立してるけど甘えるさじ加減がめちゃ上手い気がしたので。
もちろん人それぞれだけど、恋愛はもういい、と思ったら10年以上恋愛しない人もいる、でも葵は気持ちのシャッター的なものを下ろさない人なんだなと思った。
でも、私の好きなようにしたらいいんだとちょっと思えた。何事にも無意識に一歩引く癖がついてしまったのは仕方ないけど、下がった所からでも見えるのになんでしなかったんだろうなぁって、なんか少しだけ、やわらかい思考になれるような気がした。

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2024年04月27日

Posted by ブクログ

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真ん中あたりまでは、
すごく共感できたし、瀬名さんは魅力的だった。

とにかく登場するメンズとは、
一線越えるか、越えそうかを繰り返し、
依存的な面もあるんだろうが、
途中から共感できなくなってしまった。

島本さんの本は、文章が好きで、
美味しそうだったり、
好きになっちゃいそうな人が出てきたりするだけに、
この展開は少し残念だった。。

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2024年03月12日

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