あらすじ
現在も人気のある日本の伝統的芸能「漫才」には「お笑い論」の書籍は数多く存在するが、「漫才」の、特に東京を地盤とした漫才の歴史に関する書籍は数少ない。この「東京漫才」に焦点を当て、漫才の源流にまで遡り、「東京漫才の元祖は誰か?」、「しゃべくり漫才の流入と定着」、「戦後東京漫才の御三家」、「東京漫才専門寄席」、「MANZAIブームの功罪」、「爆笑問題、ナイツの活躍」等をテーマに、その発生と栄枯盛衰を、通説の誤解を正しつつ記した、画期的な「東京漫才」通史。 【目次】序章 「漫才」以前/第一章 東京に漫才がやってきた/第二章 生まれる東京漫才/第三章 戦前の黄金時代/第四章 戦争と東京漫才/第五章 焼け跡から立ち上がる/第六章 東京漫才の隆盛/第七章 MANZAIブームと東京漫才/終章 新しい東京漫才の形
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Posted by ブクログ
本当にたまたまなのですが、本書を読んでいる最中に浅草で友人と食事する会がありました。その前の用事が渋谷だったので銀座線で始発から終点まで。車内で読み終わらなかったので、どっか喫茶店で読み切ろうと思ったのですが、この本の発するバイブスと浅草の街の空気がシンクロとして、浅草東洋館に衝動的に飛び込みました。昼の部の最後の一時間だけで、しかも漫才は入る直前にロケット団が終わっていて、夜の部の前に出てしまいましたが著者の愛している文化みたいなものの匂いを嗅いだような気持ちになりました。まあ3000円は高かったけど、これも本の連れてきてくれた体験と思います。THE MANZAIでもなく、M-1でもない東京漫才の詳細な記録。チェーン店の濃厚なラーメンになる前のおじいちゃんの店の古くさくシンプルなラーメンの味。満喫しました。吉本や松竹芸能のこってりがパワフルな関西弁から生まれるとしたら東京の漫才は東北や北関東の恥ずかしそうな訛りが味を作っているように思いました。実はYouTubeでねづっちの動画の密やかなファンなのですが、その源流をしっかりと確認したような気持ちになりました。あとがきがさらに熱いです。いろいろ含めて、良書!
Posted by ブクログ
おおまかに、萬歳→万才→漫才→MANZAI、と四段階に分けながら東京漫才の歴史を追っている本書。前三つはなんとなくわかると思うが、著者はMANZAIブーム以前以後で漫才の形が大きく変わったという立場なので、本書では漫才とMANZAIでわけられている。
本書が、なぜ東京に限定しているのかといえば、上方を入れてしまうと膨大な量となるうえに、リサーチもまともに追えないからではないかと思う。実際、東京漫才に限定しても不明瞭な部分は多い。特に戦前は、信用できる資料が質的にも量的にも足りないのだろう。
ただ、それを差し引いても膨大な固有名詞が並ぶ。さまざまなコンビの簡単なプロフィールが延々と続くだけといえばそれまでだが、その作業もなかなか大変だったと思う。それぞれの紹介内容は本当に簡素なものだし、立川談志の書籍に頼りすぎなのではと思う部分も多い。(本当に何度も談志の名前は出てくる)
ここに書かれたほとんどの内容について、どこまで信頼できるものなのか、ぼくに判断できる材料はない。
でも、終盤のここ20〜30年の漫才史についてはなんとなく知っている。そして、著者はここ最近の漫才には(著者が言うところのMANZAI)あまり興味がないのかもしれないが、妙に雑である。時系列もおかしいし、この流れでこの名前を出すのか?ということもある。
そのような適当さを見ていると、本書のメインである過去の漫才史もいささか信頼性が欠けてくるような気がしてくる。どのみち確かめようもないので、信じとくけども。