【感想・ネタバレ】「源氏物語」の時代を生きた女性たちのレビュー

あらすじ

平安中期は「女の時代」だ!

紫式部をはじめとする平安期の女性は、なぜ歴史的な文学作品をのこすことができたのか? 栄華極まり陰謀うごめく貴族社会で、女性たちは何を考え、どのように暮らしていたのか? 歴史の表舞台には立たない女性にも光を当て、彼女たちの結婚・出産・仕事・教養・老後などを通じて、平安時代のリアルを解き明かす。この一冊で、大河ドラマ「光る君へ」の時代背景がよくわかる!

*電子書籍版には一部収録していない資料写真がございます。あらかじめご了承ください。

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Posted by ブクログ

光る君へを見ていて、もっと平安時代のことを知りたい!と思い購入。自分が疎かった平安時代の女性の生涯や生活のあり方を学ぶことができた。女性の立場が平安時代の中でも移り変わっていったことも興味深かった。

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2024年12月14日

Posted by ブクログ

『平安時代の男と女』が、印象強く残っている。
この間読んだ『ジェンダー史10講』で言えば、新しい女性史からジェンダー史学が立ち上がる時代から第一線を走ってきた世代の人か。
「家」を切り口に、その時代の、ある階層の女性の生涯を推定していく。
文学作品ばかりを読んでいるとあまり見えてこない経済的な側面を、著者の本から学んできたと思う。

さて、本書は平安中期の女性のライフイベントを取り上げて解説する。
具体的には
・結婚制度
・住居…誰と住むか、誰の住宅か
・出産と子育て
・女性労働…街中の販女、内の女房と女官、家の女房と下女や女童、正妻
・財産相続
・女性によるアート(文芸、絵画、家具、服飾)
・女性の旅
・女性の終末期、病と死、葬送

この時期は、女性の社会的地位の転換点にあったとはよく聞くことだ。
本書でも、家屋敷や財産の相続のことが扱われている。
婿取婚で、男児は実家から出され、娘が家財を相続するというケースもあれば、一代限り正妻が遺産を相続し、その後実家が回収する「一期処分」という新たな相続のルールも混在する時期だという。
夫に養われる女性は問題はないが、そうでない場合、女性も実家に戻ったり、女房勤めをしたりする。
家屋敷を売りに出すことも、女性だとうまく買い手が見つけられないこともあったとか。

読んでいくと、ぼんやりとイメージしていたものが、くっきりしてくる。
時には誤ったイメージだったこともわかる。
やはり、きちんと知ることは大事だな、と改めて思う。

面白かったのは、この当時の女性が文化に貢献したはたらきの部分。
文芸はいうまでもないことだが、女性がやまと絵の成立にも関わり、また、家具や調度類のデザインに女性が関与したという話は、あまり知らなかった。
この辺りは他の研究者の研究の引用で進んでいたところで、少し記述が少ないのが残念。
まあ、むしろ美術史や生活史の研究者の書いたものを探して読むのがよいのだろう。

葬送の話も興味深い。
貴族、庶民を問わず、お金と親族に恵まれた人は、最後を看取られ、死後も土葬か火葬かという問題も選ぶ余地がある。
ところが、上層貴族の女性でも、年老いて親族が面倒を見てくれなければ、危篤状態になり家から出され、路上で死ぬことになる。
過酷な時代だ。
この辺りは、他の著作から知っていたが、手厚く葬られた人についても、自分は墓の問題は気にしてこなかったので、そのあたりに注意が引かれた。
夫婦は、別墓。
添い遂げた夫婦であってものようだ。
女性の経済的依存が高まっていく時代にあって、ここだけは昔の親族の意識が残っているのか、とちょっと思ったりした。

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2024年06月16日

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