あらすじ
気候変動、森林伐採、過剰な農薬使用……環境悪化により、昆虫の個体数が減少している。生物の多様性が失われた未来は、人間の生活にどれほど悪影響があるのか。また虫たちによる人間への恩恵とは。英国人ジャーナリストが説く、昆虫と人類の理想的な共生社会。
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Posted by ブクログ
虫が嫌い、と言う方がおられるのは理解できます。でも、嫌いだからと言って、殺してしまえまで行ってしまうのはどうでしょう。
私の尊敬している虫博士が、憂い顔で話してくれました。最近のホームセンターの殺虫剤売り場に並ぶ数々の劇薬、忌避剤の多様性にため息が出てしまう、ともおっしゃておられます。
虫を殺すことは、周りまわって(それも驚くほど速く)人類を殺すことになってくる。
それを考える端緒として この一冊を紹介してくれました。
Posted by ブクログ
私は虫が嫌いで、どちらかといえば『昆虫絶滅』してほしい側の人間である。
しかし、自分が嫌いだからといって何も昆虫について知らないのに絶滅を願うのはひどすぎるので手にとってみた。
結果、自分の考えは大きく変わり、「絶滅しないでほしいし、なんならもっと増えてください!」と叫ばずにはいられない。
昆虫には我々人間の食に関わる様々な役割があり、本当に様々な特徴を持った者がいることがわかりやすく、多くの例や引用を用いて説明してくれる。
大好きにはなれずとも、興味を持ち続けて絶滅阻止のお手伝いができればいいなと考えさせられた。
Posted by ブクログ
前から研究者レベルでは言われていたことだが、昆虫の絶滅は危機的な状況にある。
解決に向けて進める方法のヒントに、自分が小説の中で作った昆虫憲法もあると思う。そういう意味で自分の仕事も重要だと感じた。
危機感をもったが、読後の印象は爽やかで、未来に可能性も感じた。
Posted by ブクログ
そういえば子供の頃、家の近所でチョウ、トンボなど虫をよく見た。小学校の自由研究ではクラスの男子の約半数は昆虫採集だった。あれから約50年、大人(老人?)になった今、昆虫をすっかり見なくなってしまった…。
昆虫絶滅の危機を訴える著者。昆虫が姿を消したとき、何が起こるのか、また、その原因は何か。早く手を打たないと人類の危機が訪れると解く。
本書の冒頭の書き出し。
「激変の最初の兆候は不気味な静けさでだった。
世界中の昆虫が姿を消したというのに、人間はすぐには反応せず、最初に恐怖の叫びの声を上げたのは、奇妙なことに鳥だった。ツバメのヒナ1羽が成鳥になるには約20万匹の昆虫を必要とする。それが皆無になったのだ。」
と将来の昆虫絶滅の予想図から始まる。
地球という同じ生活空間に暮らす生き物、それは人間も昆虫も変わりない。人間の果てしない欲望のために昆虫の生息地を破壊してしまったり、農薬使用の増大により害虫以外の昆虫も巻き添えにしたりすることで、実は知らず知らずのうにち人類が滅亡の道を進んでいる。
ミツバチは地球上に2億年近く存在してきた。この間、地球の大陸塊が移動、恐竜が咆哮して滅び、人類が他の霊長類から分岐して、車両、印刷機、iPhoneを生み出してきた。だが、ほんの30年の間に、ミツバチを絶滅の縁まで追い込んだ。果物や野菜には受粉が必要だが、それはミツバチが担っている。
ミツバチと人類の歴史の長さの違いに啞然とするとともに、人類は効率的なシステムを構築したが、それは一瞬にして崩壊するほどの脆弱なものだということに気づかされる。
人間が生きていく上で昆虫が果たしている役割など知らないことが多く、とても勉強になった。人類と昆虫の共存、昆虫の存在価値について深く考えさせる1冊だった。
Posted by ブクログ
昆虫がやばい。
昆虫がやばいということは、生態系がやばい。
生態系がやばいということは、人類の未来がやばい。
実際気にはなっていたが、今住んでいる田舎町より、子供の頃の大都市大阪の方が昆虫は多かった。ブンブンはなんぼでも飛んでたし、ゴマダラカミキリやコカマキリ、ショウリョウバッタやアメンボ、ミノムシもなんでもなくその辺にいた。
今は、見ない。
そういう有名な昆虫だけでなく、名も知らぬような昆虫が実は、あらゆる生態系に複雑に絡んでいる。それが消えていけば、受粉もできないし、死骸の還元も不可能になる。
この本で提示されるのは、世界中で、それもものすごい勢いで昆虫が減っているということ。あるいは、種として絶滅が進んでいる。
98%とかいう数字があちこちで出て来るのは空恐ろしい。
それは、人間が原因であったり、気象変動が原因であったりするのだが。
その上で、例えば、人間の保護活動が、トラやホッキョクグマなどの有名どころに優先するかといえば、そうでもないだろうと。
問題提起はあるが、特段解決策の提示はない。
なんかもう絶望しかないんですが。
外国人の啓蒙?本にありがちな、同じ内容をいろんな事例で、何度も何度も散文的に書いてるので、最初のプロローグだけで十分だった気もする。