【感想・ネタバレ】「おじさん」的思考のレビュー

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Posted by ブクログ

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Webに書き溜めたものを編集した、いつもの内田先生スタイル。憲法9条、教育論、倫理的生き方…等々、「おじさん」的には溜飲下がる切れ味のよいエッセイ。(切れ味のよさに惑わされ、自分で理解できた思っているだけかもしれませんが)。
その中で特に印象に残った言葉は、sauve qui peut 「生き延びることができるものは、生き延びよ」。船が沈没したり、最前線が崩壊したりしたときに、最後に指揮官が兵士たちに告げる言葉で、内田先生が娘さんの旅立ちに送った言葉。集団として生き延びることが困難な局面では、一人ひとりが自分の才覚で生き延びる他ないと。厳しい時代ではありますね。

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2013年12月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

教師のセクハラの話が面白い。

学校とはもともと「エロティックな場」であることを
人間は他者の欲望に欲望する、
というコジェーヴのヘーゲル解釈やソクラテスを引用し解説している。
「隣の芝は青く見える」というやつだな。

「性愛の局面において私が快感を得るのは、
相手が私から快感を得ていると感じるからであり、
相手が私から快感を得るのは、
私が相手から快感を得ていると感じるからである。」
というのと同じように、
教師が持つ「知への欲望」を生徒が「欲望する」ことによって、
学びが賦活されているのである。

そういう前提が教師にないから、
セクハラを個人の欲望や嗜好に回収しようとしまうのである。

BLという現象が生まれた理由も、
こうした男性間の教育的な構造がエロスの構造と似ているからかもしれない。

ファミレスの店長はバイトの女の子にモテる、
という話を聞いたことがあるが、
これもまたこの話に通じているような気がする。

それから、
夏目漱石の話が面白かった。

わたしはてっきり漱石は「こころ」の先生のような、
どうしようもない子供っぽい人物なのだと思っていたけれど、
これを読んで180度見方が変わった。

「こころ」は師弟の話だけれど、
まさに「学ぶ仕方を学ぶ」という教化的な物語だったのだなぁ。
明治初めての「大人」ねえ。
なるへそ。

そういえば、
もう何冊目になるだらうか。
内田先生の本。

なんつうかわたしの中で、
行きつけの店(ないけど)で「いつものアレ」を楽しむ、
「そうそうコレ」感のために読んでいる気がする。

各本毎に、
旬なモノや変わり種を出してくれる感じも、
行きつけの店(ないけど)的である。

たぶん好きな作家ってそういうもんだと思うよ。

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2012年05月02日

Posted by ブクログ

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在日コリアンが日本で戸籍名(日本人的な名前じゃないほうですね)を名乗ることを「誇り高いこと」と称える新聞記事が、「多様性」を尊重しているように見えて、実は骨の髄まで「均質化」されている論理的矛盾をつく小論の他、「教育とエロス」、「大学全入時代に向けて」など、教育業(「業」?)に関わる方々に読んでほしい「知的訓練参考テキスト」です。

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2013年02月10日

Posted by ブクログ

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MBSラジオ「朝からてんコモリ」に季節ごとに登場される内田 樹氏。
いつもとてもいい話が聞ける。
その内田氏の本を本屋さんで見つけたので即購入。
その「「おじさん」的思考」を読みました。
内田氏の生き方、考え方について書かれたとても面白い本でした。
特に第一章の「「おじさん」の正しい思想的態度」では教育やエロスについて、第4章の「「大人」になることー漱石の場合」では人間として大人とは?について、とても興味深く書かれていました。

この本は一つの生き方のテキストとして、手元において何度も読みた本です。
内田氏の他の本と夏目漱石の「虞美人草」、「こころ」も見つけて読みたいと思います。

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2011年09月30日

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