あらすじ
「スマートフォン時代の新しいビジネスモデルのヒントが詰まっている」本書の目的はケータイ、スマートフォンの事業モデル革命の本質を、整理することにある。現在、ケータイの世界の新たな動きとして、スマートフォンの急速な普及が進んでいる。ケータイはインターネットとつながり、モバイルインターネットとなったことで革新を獲得し、進化の階段を登り始めた。そしていま、ケータイはパソコンの機能を取り込み、その結果出てきたのがスマートフォンなのである。このスマートフォンは、ケータイの進化をさらに加速させる可能性を秘めている。画面が大きくなり、パソコンライクに使えるスマートフォンは、フェイスブックやツイッターなどのSNSとの相性が良く、SNSを全世界に拡大させるひとつのエンジンとなっている。そしてSNSは、チェニジア、エジプト、リビアで起きた市民革命の火付け役となったように、社会革命をも起こしうるような力を持つようになった。こうした新たな胎動――それも社会を根底から変革するような大きなうねりが起きつつあるなかで、その一翼を担っている携帯電話にはどんなパワーがあるのか。原理原則に立ち戻ってもう一度考察し、携帯電話の持つパワーを探求したいと考えたのである。その一方で、ケータイ、スマートフォンによる事業モデル革命の本質を整理することで、成熟したといわれる日本経済のなかで、新たな成長機会を求め、日々奮闘されているビジネスパーソンの方々に、何らかのヒントを得ていただけるのではないかという思いもある。(「はじめに」より)
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ケータイ/スマホの持つ事業モデル革命の可能性(=モバイルパワー)を俯瞰する著書。
著者はモバイルの持つ5つの特性から、モバイルパワーを5つに区分。
現在起きているO2O等の流れを、改めて整理できる内容(但し、構成事態の新味薄)。
むしろ、個社の事例紹介には知らないものがあり、勉強になった。
■5つの特性
①本人性
②常時性
③位置の特定性
④ネットワーク性
⑤リアルへの拡張性
■モバイルパワー
①個客の見える化(基本属性+決済・位置情報)
②個客ニーズの顕在化(モバイルを活用した顧客クラスターの形成)
③商品・サービスのマイクロ化(量り売り)
④商品・サービス提供の適時化(WhenとWhereの組み合わせ)
⑤商品・サービス提供チャネルのポータブル化(モバイル決済)
■勉強になった個社事例
①マクドナルド(ケータイクーポン)
マクドナルドでは、ハンバーガーを注文を受けてから3分30秒以内に提供。
接客時間の中では注文の時間がもっとも長いので、この短縮化は利益に直結。
(30秒短縮で売上5%増、1人あたりの接客が1秒短縮で売上は年間8億増)
ケータイクーポン(=顧客がメニューを事前選択)は接客時間の短縮化に貢献。
また、従来のチラシ中心のサイクル(1~2ヶ月)から、経営がスピードアップ。
②クックパッド(対法人の販促支援サービス)
検索ワード×検索者属性=地域絞ったマーケティング(牛スジカレー@関西)
バルサミコ酢のレシピコンテスト、TVCMでクックパッド掲載の自社レシピへ誘導
③東京海上(自動車保険の可能性)
事故情報×運転手属性=ナビへ運転注意のアナウンスを流す
④コンビニ(情報発信の場所としての可能性)
店舗サイズの制約を受けるコンビニにとって、デジタル/ECは便利な商材。
今後、ECがますます便利になれば、店舗で買うのは生モノ(野菜、情報誌等)、
それ以外はモバイル経由のECという形になるかも知れない。
(モバイル経由のEC需要喚起のため、デジタルサイネージを設置、サイトも充実)