あらすじ
「職場がゆるくて、成長実感がないから辞めます」
こんな社員が登場するようになった「ゆるい職場」時代、若手社員の育成はますます困難になりつつあります。
本書では独自調査とヒアリングから、Z世代の価値観の「二層化」、その不安と焦りを浮き彫りにしたうえで、心理的安全性とともに今、職場に求められる「キャリア安全性」の重要性を示唆し、若手を活躍させることのできるマネージャーに必要な9つのポイントを紹介。
人材育成に悩む現場マネージャーにとって、今日から使える実践的な情報を提供します。
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Posted by ブクログ
■Z世代の特徴
総論としては、いつの時代も上の世代から見た若者は「分からない・理解するのが難しい」存在であるという点です。著者はデータを基にZ世代の二極化を指摘していますが、昔ながらの上昇志向を持つ層・中間層・変化を嫌う層は2:6:2の割合で分布しています。
その中で、若手は「キャリア安全性」を強く意識しており、業務の質的負荷を上げることを有効な打ち手として見出しています。
例えば、育成対象者は一年前または半年前の自分と比較したとき、新しい知識・経験が積み上げられていないと感じる場合、「自分はこのままこの会社に在籍し続けた場合、同世代と比較して差がつけられているのではないか?」という不安です。SNSが当たり前に存在する彼ら彼女らは、他人からの評価を他の世代よりも「重視する」結果がデータで示されています。
キャリア安全性(将来のキャリア選択権を持つ)を保つためには、業務の質的負荷を上げる、またはこの会社は相対的(他の会社と比較して)に良いと自身が判断できる・納得できる必要があります。このキャリア安全性に対する施策が “上昇志向を持つ層” のリテンションに強く影響します。
自社と他者を比較するには、外に出る(社外の人と交流する、社外の人と一緒に仕事する)経験が打ち手として考えられます。上司や先輩から社外の勉強会に出席を促す方法もあれば、学生時代の同級生とコミュニケーションを促す方法もあると思います。
また、労働環境の変化は重要なファクターとして存在します。下記法律改正や施行に伴い、残業時間・有給取得率の変化があります。労働時間減少やキャリアの早期化により、昔ながらのOJTで全てを教えるやり方は通用しないのが実情です。
・2015年:若者雇用促進法
・2019年:働き方改革関連法
・2020年:パワハラ防止法
■マネージャーと若手の関わり方
マネージャーと若手の関わり方にいくつかの傾向が見られています。基本、マネージャーは褒めるスタイルを採用していますが、褒めるだけでは当人の知識や経験が伸びることは少ないと報告されています。フィードバックする目的を明確にして伝え、ポジティブな表現でフィードバックする方法が効果的です。
また、マネージャーと部下でコミュニケーションの頻度が双方の育成満足度の向上に寄与しています。一回の時間を長くする(ex: 月次1on1 30分)よりも、1日5分で複数回実施した方が効果の高いデータが示されています。この点は指導する立場にある人は基本姿勢として持つべき点だと思います。
日々の業務に即した技能・スキルのフィードバックから始めて、最終的にキャリアづくりに関するアドバイスまでできれば、一般的に育成力上級のマネージャーであると言えそうです。
若手は昔よりもキャリアを判断する機会が多いかつ早期化しているため、マネージャーは若手に対して、2か月程度で目標を設定し、評価するような施策も有効であると示されています。例えば、「今のルーティーン業務の改善策を週一2時間考える時間にして、2か月後に提案して」などです。半年や1年間は超長期の評価期間に受け止められ、若手はより近い目標設定で成長実感を得たい傾向が強いです。
Posted by ブクログ
変わったのは、若手ではなく、「法律」
→「若者雇用促進法」 : 情報開示の義務化によって、職場環境を改善するために努力するインセンティブが企業に生まれた
→「パワハラ防止法」: ハラスメントへの監視が厳しくなり、居心地が良くなった
若手を育成できるマネージャーのポイント
→年齢層が比較的若い
→若手とのコミュニケーション頻度が一定以上ある
→社員同士の職場を超えた「横断的な繋がりを生み出す」ルールを作れる
→自らも転職経験がある
→若手に対する「呼び方」は無関係
→入社した手の若手に多くの社会的経験を求め、また期待をしている
→フィードバックの形式よりも、指導内容の明確性や内容の充実に注力している(褒めることとフィードバックは別物と心得ている)
自発的に行動できない若手の促し方
→最初の一歩を踏み出す言い訳を与える
→「それはもう〜がやったことあるよ」
→「まだ社内で誰もやったことがないから、気楽にやってみて」
→「自分も分からないので調べて来てくれない?」
→「こういうイベントがあるんだけど、誕生日が3の倍数の人いたら行ってみて」
→評価シートに反映させるので、この半期で勉強していることが有れば教えてね」
→「悩みなく行動している姿勢」ではなく「自身も同じくキャリアに悩み、試行錯誤していること」を若手に開示してしまう
→単なるすごい上司ではなく、職場の外でも活躍できる変な人へ
Posted by ブクログ
読みやすい本でデータ多彩。目から鱗の内容もあり、一見の価値ありです。
下記ネタバレですが、メモ。
・職場がきつくて辞めたいという若手もいるが、同時に「職場がゆるくて辞めたい」という若手も存在している
・キャリア安全性も重視
・時間視座→このまま所属する会社をしても成長できないと感じる
・市場視座→別の会社や部署で通用しなくなるのでは、と感じる
・比較視座→学生時代の友人に比べて差を付けられているように感じる
・有効な打ち手
・部下に自身の知り合いを紹介する
・イベントや社内外の勉強会に部下を誘う、紹介する
・本人の視界の外にある機会を提供する手立て
・社内での複数の部署の兼務
・社内キャリアアドバイザーやキャリアコンサルタントへの相談体制
・社内旅行や社員レクリエーションなどの社員が参加するイベント
・職場を横断する社内勉強会やコミュニティ
・若手だけで行う企画・プロジェクトの実施
・入社したての若者にも多くの社会的経験を求め、期待をしている
・かわいい子には旅をさせよ、早々に社外の体験を与え、自分の職場での仕事、キャリアの長所/短所を認識させる
・本人のやりたいことは尊重しつつ、加えて本人の視界に入っていない機会のきっかけを提供
Posted by ブクログ
具体的なエビデンスや調査に基づいた結果・見解を示されており、「なるほど」と納得させられることが多かったです。
実際の職場の若手メンバーの顔を浮かべながら読んでいましたが、本書に書いてあるようなことを考えているのかなぁ?と自身の行動を振り返りつつ読めました。
・現場がゆるくて辞める若手が増加している=質的負荷が失われつつある。かといって、「ふるい職場」に戻すのではなく、「ゆるい職場」での新しい育て方を見つけることが必要。
・仕事の価値観が変わりつつある若手において、「仕事は我慢が伴うもの」という捉え方は70%強いる状況であり、世代間の差は少ない。生活を充実させるために給与を稼ぎたいと思っている若手も70%弱いる。
・Z世代の人間関係や会社に対する価値観は2極化しており、個々の価値観を理解することが必要。環境以上に行動・経験に世代差がある状況。
★キャリアの不安を覚える一方で、管理者側の育成の仕方は「ながら」や「放置型」になっている傾向が強い。(育成専門組織などが必要か。向き合う時はとことん向き合う)
・キャリアの安全性=職業生活上にアクシデントが発生しても安定的に職業生活を営んでいけるという気持ちがどれくらい高まるか。ゆるい職場では、キャリア安全性が低下傾向にある。
・仕事の質的負荷が高い人ほど管理職のワークエンゲージメントは高い。年齢が近いほど育成成功実感が高い(→取るべきポジション)
・若手だけのPJは良質な質的負荷のもと、上限関係による理不尽な人間関係に煩わしい思いをさせず、超高速で成功・失敗経験を体得させていく。
(イベント系の業務なんかこれでよくね?)例えば、収益・業績的なダメージは少ないが、エンドユーザーの反応が直接見られるPJ等
・ガクチカの経験は尊重する姿勢を保つこと。知ろうとすることが現代の育成の第一歩として重要。
・一定のコミュニケーション頻度を保つ。自らが行動的で職場外の越境経験があることは若手とのコミュニケーションにも有用。(転職歴も武器)
・フィードバックは形式よりも内容を充実させ、ポジティブかつ具体的に行う。(経験として、管理職という立場・視点をフルに活用する。)
★質的負荷が高く、関係負荷(理不尽さなど)を与えない。自律的な環境にすることが若手の成長実感を強める。
・若手の自主性・自律性を生み出すための支援が必要(育て方だけでなく、育「ち」方改革も必要)若手だけで考えさせない、考えをアウトプットしてもらい、共有する。のち、コーチングでフォロー。
・育成者を育成する・支援する仕組みも今の会社に必要。人材力の底上げを図ることで、関係負荷も軽減できる体制ができるかも。
・始める「きっかけ」と実行したことの「見返り」を提供する
・量的負荷と関係負荷によるストレスは若手とのすれ違いを起こす可能性がある。また、こちらの求める質を若手が低いと感じてしまうことでもすれ違いは生じる。(経験豊富な若手ほど質的負荷を高める)
・すれ違いを前提としたコミュニケーションを取る→コミュニケーションを通じて、徐々にずれを調整していく。
・今の若手は、入社前の社会的な体験を充実させている傾向が強い。そうした経験を引き出し、本人の活躍できるシチュエーションを構築することが求められる。
★短距離走的な経験量をとにかく積んでもらう。ルーティン業務と少しずれた業務をやってもらう。ゴールラインも明確に引く。
・褒めること=フィードバックではない。今後のキャリア構築のためのアドバイスや改善のコミュニケーションの場とする。
・キャリア自律のための最初の一歩は自律性に依拠しない言葉が必要。
(最初は「言われたからやりました」でOK)うっとおしく思われても、まずは一歩進めば大成功。自己開示して、成果を伝えるのもいいかも(武勇伝にならないような伝え方が必要。)
・放置型では若手は成長しない。まずは放置しないという姿勢を示すこと=5分間のコミュニケーションを継続して行う。
Posted by ブクログ
新卒に限らないように思えるが、心理的安全性とキャリア安全性は相関しないらしいので、双方の関係性を意識しながらそれぞれを高めていく取組みを進めていかないと、育て方改革から育ち方改革への移行は難しいんでしょうね。
「育成」はいつの時代も難しいけど、これも個々人に合わせていく取組みを考えるほうが成立しやすいのだろうけど、後は負荷とのバランスかぁ。。
新卒におけるキャリア安全性という視点→①時間視座(このままの仕事では成長できないと感じる)②市場視座(別の会社・部署で通用しないのではないかと感じる)③比較視座(学生時代の友人・知人に差をつけられていると感じる)
現代の若手育成問題の本質は「質的負荷の高い仕事を、いかに量的負荷や関係負荷なく与えるのか」という点に集約される
「育て方改革」でなく「育ち方改革」。企業が育てるのではなく若手が育つのをいかに企業が支援するか
かつてはほとんど考えなくてよかった「この仕事をして、将来自分は社会で通用する社会人になれるのか」という根源的な問いに若者はまず取り組まなくてはならない。
若者個人の希望に沿ったキャリアパスを用意する限り、その個人の想像する以上の機会や経験は得られない。