【感想・ネタバレ】月9 呪われた女たちのレビュー

あらすじ

野心、嫉妬、復讐…女達の壮絶な心理バトル!

一度は脚本家として成功を手中にし、自信過剰でどこまでも自己愛の強い弓絵。弓絵の陰に隠れながらも、成功を目前にし胸の中で強烈な野心を燃やす晴子。二人は「親友」ではあるが、人気ドラマ枠の脚本家というポジションをめぐり激しく火花を散らしていた。
そんな二人が、ある事件に巻き込まれた。きっかけは、弓絵が海外土産として晴子に渡した呪いの人形。その日から、二人の運命が変わっていく……。
本書は、テレビ業界を舞台に女同士の壮絶なバトルを描いたサイコサスペンス。弓絵と晴子、二人に取り入る若い脚本家志望の女、さらに弓絵が激しいライバル意識を燃やす「業界の女王」が絡み合い、激しい闘いが繰り広げられる。野心、嫉妬、自己愛、復讐心、闘争心……その生々しい描写には、女性なら誰もがドキッとさせられるはず。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

人間とは複雑で不可解な存在だ。
だけどもしかしたら、女は単純で嫌になるほどわかりやすい存在なのかもしれない…と思ってしまった。
周囲からは友人だと思われていた弓絵と晴子。
いつだって、互いに優越感を抱きながら友人ごっこを続けてきた。
自分は優秀だ、自分は美しい、自分はいつだって悪くない。
弓絵は自分の感情を隠さずに、相手よりも優位に立っていることを垂れ流しながら生きているような女だ。
脚本家として名を成したこともあるけれど、それもいまでは過去の栄光のように色あせてきた。
常に自分よりも格下だと余裕をもって接してきた晴子が、人気ドラマ枠である「月9」の脚本を書くと知って穏やかではいられない。
晴子はけっして表立って弓絵を貶めるようなことは言わない。
哀れな女だと憐れみながら、どこか冷ややかに弓絵を観察しているようなところがある。
なかなか脚本家として芽が出なかったとき、弓絵から笑顔の中に垣間見れる悪意をどれだけ受けてきたことか。
晴子が大根役者だと思っている「月9」の主演アイドルの横槍で、弓絵に決まりかけていた仕事が自分に回ってきたことも何とも思わない。
自分は弓絵のような愚かな女ではない・・・と晴子は思っている。
終盤に晴子が自分と弓絵の関係に思いをめぐらす場面は印象的だった。
結局一番まともに感じたのは晴子。
自己愛ゆえの愚行を繰り返し、その愚かさにも気づかない可哀そうな弓絵。
壊れきっている、救いようのないマリオネットの舞子。
そして傀儡子に徹した長本。

愚かな女は怖ろしい。
引き際を知らない女はもっと怖ろしい。
高みの見物を決め込んで楽しんでいる女はさらに怖ろしい。
あっという間に読み終えてしまったけれど、「あぁ、いるいる!!」と同意してしまうような描写を楽しんだ物語でもあった。

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2017年04月09日

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