【感想・ネタバレ】台湾の歴史のレビュー

あらすじ

経済発展と民主化を達成し、ますます存在感を高めている「台湾」は、どんな歴史を歩み、どこへ向かうのか。2024年1月の総統選挙を控えて、その歴史と現在を知る文庫版。
その歴史は「海のアジア」と「陸のアジア」がせめぎ合う「気圧の谷間」が、台湾という場所を行ったり来たりした歴史だった。その動きから生じる政治・経済の国際的な激動の中で、多様な人々が織りなしてきた「複雑で濃密な歴史」を見つめることなしに、現在の台湾を理解することはできない。
はるか以前から、さまざまな原住民族(先住民族)が生きていた台湾島が、決定的な転機を迎えたのは17世紀のことだった。オランダ東インド会社が初めて「国家」といえる統治機構をこの島に持ち込んだのである。短いオランダ統治の後、明朝の遺臣・鄭成功ら漢族軍人の時代を経て、清朝による統治は200年に及ぶが、1895年、日清戦争に勝利した日本の植民地支配が始まる。そして1945年に始まった中華民国による統治は、当時の民衆に「犬が去って、豚が来た」と言われるものだった。その中で、本省人・外省人の区別を超えて「台湾人」のアイデンティが育まれ、1990年、直接選挙による第1回総統選で「初の台湾人総統」李登輝が登場する。
『台湾――変容し躊躇するアイデンティティ』(2001年、ちくま新書)を、大幅増補して改題し、文庫化。

目次

はじめに――芝山巖の光景
第一章 「海のアジア」と「陸のアジア」を往還する島――東アジア史の「気圧の谷」と台湾
第二章 「海のアジア」への再編入――清末開港と日本の植民地統治
第三章 「中華民国」がやって来た――二・二八事件と中国内戦
第四章 「中華民国」の台湾定着――東西冷戦下の安定と発展
第五章 「変に処して驚かず」――「中華民国」の対外危機と台湾社会の自己主張
第六章 李登輝の登場と「憲政改革」
第七章 台湾ナショナリズムとエスノポリティクス
第八章 中華人民共和国と台湾――結びつく経済、離れる心?
第九章 「中華民国第二共和制」の出発
結び
補説1 総統選挙が刻む台湾の四半世紀――なおも変容し躊躇するアイデンティティ
補説2 「台湾は何処にあるか」と「台湾は何であるか」
学術文庫版あとがき
参考文献
台湾史略年表
索引

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Posted by ブクログ

「台湾というとに日本から気軽にいける海外ということもあり、なんとなく親しみがあるのだが、アジアに対する理解に乏しい日本人の事であるので、台湾の歴史についてはヨーロッパの主要な国よりも良くはしらないと言うのが一般的ではなかろうか。日本の一部であった時期もある国であるのだが。

台湾にとって有史は17世紀オランダ東インド会社の統治からのようである。それ以前から勿論歴史はあったのだが記録されていないということだろう。本書も17世紀以降400年の台湾の歴史を政治的側面を中心に叙述されている。

オランダの統治から明朝の遺臣・鄭成功らの反抗拠点、明王朝の支配。日清戦争の結果として日本の植民地化を経て中華民国の支配下に至る。本書の主題は、大陸からやってきた中華民国政府の元で、以前からの台湾で生まれ育った本省人と後からやってきた外省人が対立しつつ台湾人としてのアイデンティティを形成していく過程を描いていくことであろう。

「四大族群」と呼ばれる台湾のエスニックグループが対立融合していくなかで、総選挙が行われ「初の台湾人総統」李登輝が選ばれる過程がつぶさに描かれ、そのなかでエスニックグループの意識の変化が語られている。
本書は、2001年に発刊されたものに、その後の四半世紀を補説として追記、現代の台湾にいたるまでの政治的背景が判る。

米中対立の中で、台湾は独立するのか、中華人民共和国に飲み込まれていくのか今後の台湾の行く末が気になるところである。」
台湾というとに日本から気軽にいける海外ということもあり、なんとなく親しみがあるのだが、アジアに対する理解に乏しい日本人の事であるので、台湾の歴史についてはヨーロッパの主要な国よりも良くはしらないと言うのが一般的ではなかろうか。日本の一部であった時期もある国であるのだが。

台湾にとって有史は17世紀オランダ東インド会社の統治からのようである。それ以前から勿論歴史はあったのだが記録されていないということだろう。口承、口伝と言ったものはあると思うので民俗学的なアプローチをすれば、もう漠然とした話にはなっても、もう少し歴史を遡れるようにも思うのだが、それは別の話。本書も17世紀以降400年の台湾の歴史を政治的側面を中心に叙述されている。

オランダの統治から明朝の遺臣・鄭成功らの反抗拠点、明王朝の支配。日清戦争の結果として日本の植民地化を経て中華民国の支配下に至る。本書の主題は、中華民国政府の元で以前からの台湾で生まれ育った本省人と後からやってきた外省人が対立しつつ台湾人としてのアイデンティティを形成していく過程を描いていくことであろう。

「四大族群」と呼ばれる台湾のエスニックグループが対立融合していくなかで、総選挙が行われ「初の台湾人総統」李登輝が選ばれる過程がつぶさに描かれ、そのなかでエスニックグループの意識の変化が語られている。

本書は、2001年に発刊されたものに、その後の四半世紀を補説ついて追記され、現代の台湾にいたるまでの政治的背景が判る。

米中対立の中で、台湾は独立するのか、中華人民共和国に飲み込まれていくのか今後の台湾の行く末が気になるところである。

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2023年12月28日

Posted by ブクログ

台湾の近現代史
「一つの中国」とは何か
国ではなくなぜ“地域”なのか
蒋介石、蒋経国、李登輝と続き、いま台湾はどこへ向かっているのか。
その問題の発端から深く関わっている日本にとって、この問題の行く先はとても重要。

歴史というよりは社会問題、特に大陸との関係性に関して多種多様の背景を持つ人々の政治的情勢の推移を、議会や総統選挙などで解説していくが、なかなか手強い読み物。
本文自体は2001年発刊のものだが、この文庫化にあたり2020年と23年の作者論説が「補説」として加えられており、より現実感のある台湾海峡問題を感じる。

沖縄県与那国島から目と鼻の先にある“台湾”
厳しい条件の中、過去の遺恨やイデオロギーからの束縛を徐々に脱出し、政権交代の中で現実的選択を施しながら未来をみつめる台湾の政治家たちと有権者たちに、ちょっと嫉妬するのは私だけ?

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2026年04月24日

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