あらすじ
ゲームをやりすぎて、お母さんに没収されてしまった小6の海斗。塾へ向かう途中、おじいさんが弾く駅のピアノの音色に心を惹かれ……。受験勉強や習い事に忙しい小学生が、ほんとうに夢中になれるものに出会う、成長物語。第31回小川未明文学賞大賞作品。
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Posted by ブクログ
海斗という子は歳以外は似ていた。例えば、塾と空手をやっていることや5歳下の妹がいることなど。
ぼくはピアノを習っているけれど、おじいさんやお姉さん、オーストラリアから旅行に来られた夫婦の方がピアノは絶対上手だと思う。
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塾に空手にスイミング、小学生の海斗はとても忙しい。けれどどれもどこか中途半端な自分に気づいてもいた。そんなある日、海斗は駅でストリートピアノを弾いているおじいさんに出会う。
なんとなく日々を過ごしていた海斗の世界がこの出会いによって大きく変わる。
やりたいことに出会い、真摯に向き合う姿は本当に美しいと思う。そして、海斗にピアノを教えてくれる青柳さんのスタンスがまた素敵で、良き指導者に巡り会えたことが、海斗くんの幸運のひとつでもあったのだろう。
素直に感動できる本だった。
Posted by ブクログ
誰のためにピアノを弾くのか
ピアノに限らず、なんでも、自分のためって堂々と答えられたらいいなぁ。
小学校高学年向けの本だけど、私たち大人こそ読むべきだと思いました。
Posted by ブクログ
5.6年から。塾に習い事に気持ちの入らない海斗が出逢ったのは、駅のストリートピアノをひくおじいさん。ピアノの音に魅了され、おじいさんとの出逢いが海斗の何となくな生き方を変えていく。
言葉がとても優しいリズムで紡がれていて、読んでいて心が安らいでいく。物語も大人も子どもも変わりなく通じる出逢いや音楽の良さ、ピアノ・ピアーノのに含まれるメッセージも心に沁みる。
Posted by ブクログ
いいなと思うものに出会えたら、思う存分やってみる。いいな、キラキラしてるなと思いながら読み終わった。海斗がやってみたいと思えるピアノと青柳さんに会えたこと、自分からやろうと行動したこと、すごく素敵。ピアノ・ピアーノ。ゆっくり、少しずつ。そんな風に進めたらいいなぁ。
Posted by ブクログ
ピアノ・ピアーノとはイタリア語で「あわてず、ゆっくり、少しずつ」を意味する言葉。人生もゆっくりのんびり焦らず、自分の道を考えていけばいいんだと思わせてくれる。子どもだけでなく、大人の心にも響く物語。
Posted by ブクログ
街角ピアノっていいよね
TVで見るのも好き
自分もいつか弾けたらいいなと思う
子どもの頃習っていたけれど人に聞かせるような腕前ではない
簡単でもいいから素敵な曲を一曲レパートリーにしたい
練習をしてみたくなる一冊
Posted by ブクログ
受験勉強や習い事に忙しい小学生が、本当に夢中になれるものに出会う物語、というあらすじに惹かれて読む。子供がピアノに惹かれるって、どうしたらなるの?って、仕事柄気になった。
ピアノ・ピアーノはイタリア語で「あわてず、ゆっくり、少しずつ」といった意味があるのだそう。
文章は、取ってつけたような、何だか硬いものだったが、素直で、言いたいことが直に伝わってくる本だった。
駅に置かれているピアノ。人によって賛否両論あると思う。私は正直あまり好きではない。ここではそれは置いておいて、駅ピアノでピアノの練習ができるっていうのが、まぁ、非常識ではあるけれど、羨ましい環境だなと思った。今は電子ピアノばかりで、なかなか本物のピアノに触れる機会がないし。
登場人物の台詞に、よく聞く使い古された言葉だけれど、シンプルで優しい言葉で書かれているからか、この本で読むとすっと心に届いたものがあった。
◯「自分で考えて意見を持つことをすごく大事にしてるんだ。周りに流されたり、人のせいにして欲しくないんだって。」
◯「自分で考えて自分で決めた方が、後悔しないし、何より一生懸命になれるからね。僕の経験談。」
◯誰のために練習しているのか?
◯「あせらず、分解するんだよ。右手なら右手だけ、それができたら左手だけ。どちらも指がスムーズに動くようになったら、合わせてみる。そっか、問題は小さくして、それを一つずつつぶしていけばいいんだ。」
「なんだ、これってもしかして、ゲームといっしょかも。ボスキャラと戦うときは、急所を一つずつ攻撃してつぶしていくもんな。」そう気づいてからは、こつこつやるのがむしろ楽しいとさえ思えるようになった。
もし本当にこんな風な言葉がけが、子供の心に響いてくれるのならば、そして、練習を楽しいと思って、いや、楽しいとまで思わずとも、少しは練習してくれるようになるのなら、諦めずに声掛けをし続けようと思った。友達と、グループで一緒に取り組む部活などには真剣に取り組むことが出来ても、一人でこつこつと何かに取り組むことが出来る子供が、本当に少なくなって来ていると感じる。
わかりやすい楽しさだけでなくて、そこに内包されている厳しさの中にある楽しさも感じられるようになって欲しいと日々願っている。そんな世界の理想の形を夢見させてくれる本だった。