あらすじ
教育格差は絶対悪なのか?
機会の平等が実現された先にある「本当の地獄」とは?
【内容紹介】
経済的余裕のない家庭の子どもに勉強を教える「無料塾」は、学歴が収入や地位に直結する現代で子どもを救う存在となっている。
一方、無料塾は重大な問いを社会に投げかける。生育環境による教育格差を埋めることは重要だが、受験戦争のさらなる先鋭化に加担することにならないか。また、仮に機会の平等さえ実現したら、そのなかで競争に負けた者は自己責任でいいのか。
さまざまなタイプの無料塾への取材からそれぞれのジレンマを明らかにし、これまでの教育格差の議論で見落とされてきた点をあぶり出す、迫真のルポルタージュ。
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Posted by ブクログ
現場の実例を丁寧に捉えた上で、社会構造としての問題を、無料塾という機能から見える課題や機会から炙り出す。また、組織開発や哲学、教育社会学など多面的な視点で考察しているので、一元的にこれはいい、ダメだとならない視点が学びになった。
・生まれ→学力学歴→収入地位の単線モデルから、より一人一人の強みを活かせる複線のモデルへ
・社会のしくみとして何らかの指標が必要なので、能力や貢献という概念を便宜上仮置きしているが、あくまでもそれは手段であって目的にしてはいけない
・無料塾の子どもたちが得ているものは、学力だけでなくて、世の中にはこれだけ善意が残っているという手触り
Posted by ブクログ
当事者の本に続いて、バランスを取るためにこちらも読んでみた。内容はまっとうだったけど、帯のアオリはやり過ぎかと…(「教育格差は絶対悪なのか? 機会の平等が実現された先にある「本当の地獄」とは?」っていうの) 過度な競争主義や、機会の平等が実現された前提での結果の不平等によって生じる深刻な格差はいいのか、という問題提起は良いと思うけど、無料塾に転嫁させる話か?広くいえば政治・社会の問題(といった時点で無関心になってはいけない)
現実問題、というので目の前の困っている子たちのために頑張る無料塾関係者の姿勢には頭が下がる。
あと、無料塾にもいろんなタイプがあるんだな、と。