あらすじ
「どこで、どうやって生きていくのか、うちは自分で決めたい」12歳の少女・真記は上京を目指すも、80年代後半の狂騒に翻弄され……親世代にも子世代にも読んでほしい、宝石のような20年間を描いた佐川光晴の最新長編小説。
広島は尾道の小学五年生・真記は、1970年生まれ。子供のいない伯父夫婦からかわいがられ、養女になるかもと心配事は絶えない。中学では英語部の朗読劇が大成功をおさめ、英語を一生の仕事にしていこうと決意する。念願の学生生活は、80年代後半のバブル経済のただなかで、順調そうにみえたのだが……。
当時の時代背景や男女の考え方を、時に繊細に、時にユーモラスに描出する。真記と同時代を生きた人にも、そしていま同世代の人にも読んでほしい青春小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
1971年頃広島で育った真紀、英語の勉強を頑張る。金のない親やバブル前後の時代に流されながらも自分の人生は自分で決められるのか?
好みだ。今年ベスト。真紀の内面がいい。ストーリーもいい。出会う人もいい。困難があってもそれもいい。こういう小説をあと百冊は読みたい。
Posted by ブクログ
先を見据え、やるべき事はやる。 目標達成の為には手段を選ばず、やり遂げる。大きな壁にぶち当たっても、めげずに、プランBを遂行する。
こんなタフな生き方を、子供の女の子が教えてくれるなんて。
時代は変わった と、言いたかったけど、時代背景からして、二度びっくり!
Posted by ブクログ
瀬戸内がすぐそばに見える風光明媚な広島・尾道に育った真記の中学から33歳までの20年のこと。
ただ20年と言えど、とても努力し何事にも一生懸命で、両親の特に父の言葉を忘れることなくすべてにおいて真面目である…と思った。
けっして愛情がないわけではない両親。
特に父は「誰にとっても、一度きりの人生じゃ。男も女もない。自分の気がすむように、思いっきりやってみい」と餞別がわりのことばで東京へ行くことを許す。
東京に出てきて、大学も卒業したかったであろうが、実家の倒産で学費がままならぬことで両親を恨むこともせずに退学し、看護学校に進むという道を選ぶ。
この判断と潔さに何も言えないほど…
どれだけ強いんだ…と思わずにはいられない。
この時代がわかるだけに感慨深いものもあった。
Posted by ブクログ
「禍福は糾える縄の如し」という
格言を小説にしたかのような。
尾道で生まれ育った真記が
思春期に家族との関係を考える第一章。
東京に進学し、得意の英語を使った
観光案内のボランティアを通じて
自分の将来や恋を考える第二章。
第二章のラストに訪れた転機から
看護師になってクルージングに同行し
仕事と人生を考える第三章。
そして4章で今までの出来事が
どれも大切な要素だったと思わせる。
それぞれの章で真記に関わってくれる
周囲の人たちがまたいいんだなぁ。
東京のバイト先の大将とか
船医として一緒に働く外科医の女性とか。
ひとりごとになると広島弁が出る
真記のキャラクターが愛しくて
途中辛いこともあるけれど
見届けることができて良かった!
Posted by ブクログ
自分の人生は自分で切り開いて行く強さ
主人公の逞しさに拍手を贈りたい
最後はハッピーエンドで良かった♪
これからの明るい未来は、これまでの不運を何かのせいにせず、まっすぐ努力した主人公が自分で得たものだから、遠慮せず存分に幸福を味わって欲しいと思う
ただ、
主人公は私より7つ上でバブル世代
中華料理店や看護学校にいきなり飛び込んで、難なく受け入られたのは時代のおかげだと思う
私は超氷河期世代で、卒業して働きたくても就職先を見つけるのはめっちゃ大変だったからね