あらすじ
味わい尽くしてやる、この都市のギラつきのすべてを。
コロナ禍の北京で単身赴任中の夫から、一緒に暮らそうと乞われた菖蒲(アヤメ)。愛犬ペイペイを携えしぶしぶ中国に渡るが、「人生エンジョイ勢」を極める菖蒲、タダじゃ絶対に転ばない。過酷な隔離期間も難なくクリアし、現地の高級料理から超絶ローカルフードまで食べまくり、極寒のなか新春お祭り騒ぎ「春節」を堪能する。街のカオスすぎる交通事情の把握や、北京っ子たちの生態調査も欠かさない。これぞ、貪欲駐妻ライフ!
北京を誰よりもフラットに「視察」する菖蒲がたどり着く境地とは……?
著者自身の中国滞在経験とその観察力が炸裂する、一気読み必至の“痛快フィールドワーク小説”!
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Posted by ブクログ
久しぶりに綿矢作品を読んだが、やっぱり好きだと思った。
気持ちを言語化することに慣れた今、改めて感じるのは、彼女の文章のリズムの心地よさだ。
本作では、楽天的で強気な主人公の女性の内心が中心に描かれている。そのせいか、普通なら悩んでぐるぐる行き詰まってしまいそうな出来事も、何でもかんでもピョーン、ピョーンと飛び越えていくような軽やかさがある。文章のまとまりの最後には、必ず一発、インパクトのあるオチが用意されていて、思わず笑いながら手を叩いて感心してしまう。
ただ単に「コミカル」という一言では片づけられない、楽観的でありながら辛口なところがとても好きだ。
特に印象に残ったのは、主人公がコロナに罹ったときの体験を描いた章の一節。
「熱が三十八度まで上がって、足の裏がふわふわ浮いてるようで、頭と関節が軋むように痛む。でもこの生から死への虹色コロナトンネルを飛びながら通り過ぎるのは私は三度目で、慣れて達観して少し楽しむ気持ちと、今度こそ死ぬかもしれないという微かな怯え、ゆだった脳が見せるリズミカルな幻影とですっかりハイになってトリップしてひとりでに笑えているうちに牛乳を吐いた。」
私はずっと「中国に行きたい」と思いながら、まだ一度も行けていない。この作品は、そんな私にとって、日本人の思う中国らしさを文章で追体験できる、ある種の代理満足小説だった。
もっとも、実際に行きたい気持ちが消えるわけではないけれど。
小説というより、架空の人物によるエッセイに近い温度感で書かれているので、スラスラ読めてとにかく面白かった。
Posted by ブクログ
軽やかな文章かつページ数もそれほど多くないのでさくさく読めます。今の日本の重苦しい感じなどを菖蒲というキャラクターを使って批判?風刺?していたり、菖蒲がステータスを大事にしていたところからいや私の心の持ちようは最強だからお金とか関係なかったと開き直ったり、考えさせられるところもありました。
Posted by ブクログ
一日で読み切ってしまった。
夫の駐在についていく形で中国にきた菖蒲。
行動力は凄まじいのにそれを淡々と書いてあるからサラッと素通りしてしまう。
私も現在駐在妻なので菖蒲の行動力が羨ましい。コロナ禍でここまでアクティブになれるなんて。
菖蒲の過去が知りたい。エクアドルに行った時の体験も気になる。なぜここまで魅力的な女性になったのか描かれないところが余計に想像力を掻き立てる。仲が良いと思っていた夫婦仲も子供のことで別々の道を進むことになるとは…
でもなんかそれが菖蒲らしいと最後には思ってしまうほど彼女の魅力にハマってしまった
続編楽しみ!!