あらすじ
饗宴のテーブルは時に、表向きの言葉よりも雄弁に「本当の外交関係」を物語ることがある。ブッシュが食べたフレンチフライ、「海の幸だけ」が出された独仏首脳の会食、天皇主催の晩餐会で飲まれなかった高級ワイン、日韓首脳会談における盧武鉉の驚くべき発言……。真の政治的メッセージは、そうした饗宴の細部に宿るのだ。ワインとメニューから読み解く国際政治の現実。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
著者は外交官として各国の饗宴の場に携わっており、その中で「饗宴」にはどのような意味合いや目的があるのか、その目的を達成するためにどういったことに気を配るのか、その舞台裏を事細かに記載した内容となっている。
普段あまり読まない分野の書籍であるが、このような世界があるのかと勉強になった。
Posted by ブクログ
饗宴外交というけど、首脳会談や訪問など表の舞台の裏でも大変なお金と労力と気がつかわれる世界だと認識(笑)。ある意味見栄の張り合いか。ワインの選び方にもその国の気風が出るのが面白い。
でもまあ旧共産圏ではもてなされたくないな。やっぱ嫌い(笑)。
Posted by ブクログ
作者の「饗宴外交」がとても面白かったため手に取った。
堅苦しいイメージのある外交を、誰にも身近な食を通じた面白いエピソードにして書いてあり「饗宴外交」と同じくとても面白かった。
これだけ技術や文明が発達した現代社会においても、結局物事を動かすには人間の根元的な欲求である食欲に訴えかけるのが効果的な場面もあるのだなと改めて思った。
個人的にはフランスとドイツの関係性が印象的だった。彼等こそソフトパワーとしての饗宴を効果的に活用して外交を動かしているんだな~という感じ。
Posted by ブクログ
ワインと饗宴から外交を読み解く新書である。
筆者お得意の内容であるようだが、やや構成が煩雑で、ある話題の途中で他国の話に移ったり、時代が前後したりするところは読みにくかったかな。同じ「フォーサイト」連載のまとめとしては近刊の「饗宴外交」の方が締まった印象がある。
ただし、内容的に不足があるわけではない。特にオランダについての章は本当に読みごたえがあった。不見識にしてオランダの反日感情を知らず、こんなことがあったのかと本当に驚かされた。
上記の理由から星は一つ下げているが、良書である。読む価値のある新書だろう。
Posted by ブクログ
国と国とのかけひきの場である外交の舞台を、その場所や提供される食事や飲み物などの内容から分析し、それぞれの国がその交渉をどれだけ重視しているか分析して見せた好著。読みやすくて面白く、新聞やテレビの報道だけだと伝わらない、その重さ軽さが分かってくるような気がします。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
饗宴のテーブルは時に、表向きの言葉よりも雄弁に「本当の外交関係」を物語ることがある。
ブッシュが食べたフレンチフライ、「海の幸だけ」が出された独仏首脳の会食、天皇主催の晩餐会で飲まれなかった高級ワイン、日韓首脳会談における盧武鉉の驚くべき発言…。
真の政治的メッセージは、そうした饗宴の細部に宿るのだ。
ワインとメニューから読み解く国際政治の現実。
[ 目次 ]
第1章 ブッシュ大統領が食べた「フレンチフライ」
第2章 飲まれなかったシャトー・マルゴー
第3章 オランダ女王のガッツポーズ
第4章 美食が支える欧州統合
第5章 「今日の夕食は軽めにします!」
第6章 最も相手が難しい国、中国
第7章 ナマコのスープ、ツバメの巣のスープ
第8章 ホワイトハウスの饗宴
第9章 復活を告げるロシア
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
料理と外交、面白いアプローチだと思った。タイトルは「ワインと外交」とあるが、決してワイン本というわけではなく、饗宴でのメニューとそこでのスピーチ内容、外交エピソードがちりばめられていて、興味深い。
特にオランダと日本の外交関係について、本書に書かれている歴史があったとは全く知らなかった。オランダの王室と日本の皇室がいかにして、歴史を乗り越えて関係を築いてきたのかがよくわかった。
ワインや料理を通じて外交の一端を垣間見ることができる稀な書だと思う。
Posted by ブクログ
だいぶ前の本だけれども、饗宴で表現される意図、各国の思惑、事前のプロトコールの駆け引きなど、興味深かった。ただ、時系列が前後したり、話が各国間を行き来するのがちょっと違和感...。それ以外は楽しく読めた。
Posted by ブクログ
本書では饗宴の意味を「料理、それと組み合わせたワインやシャンパンなどの飲物。ホストとゲストのスピーチ。テーブルでの話題。食後の室内楽や独唱会などの演出。儀礼やしきたりといったプロトコール(儀典)……。饗宴とは、このもてなし全体のことを指している」(p.1)と説明している。饗宴とは、各分担者の「協演」を統合したものともいえるかもしれない。各饗宴の事例を紹介し、表された演出と背景にある意図を解説し、一つの本にまとめた意義は大きい。その演出の方針は普遍化・個別化してきたという。これがグローバル化の影響だとすれば、国というレベルでなく、法人や個人同士の饗宴をアレンジし、解釈する際も承知しておくべきことなのかもしれない。必要なのことは、料理、ワイン、文章・会話、音楽、作法等について熟達し、実践できることと理解した。これが「教養」なのだろう。
Posted by ブクログ
ワインが飲み物だけではなく、外交上の隠されたメッセージが込められた秘符であることを具体的に解く。
作者が毎週金曜日に毎日新聞で連載している「金言」については、賛同できかねる意見が多いけど(中国の世論戦の片棒担ぎ)、この本は素晴らしいと思う。
Posted by ブクログ
プロトコール→外交における両者の取り決め事項。
国際親善における、皇室外交の役割。(友好増進と和解・慰霊)
タイ王室との友好の深さ、オランダとのインドネシア占領時の保障における確執。
中国の歓迎宴の基本は『四菜一湯』
饗宴の飲み物のグローバル(世界標準)化
→自国のワインよりも、イタリア・フランスの最高級ワインでもてなせるか?が国威にも通づる。