あらすじ
バビロニアに強制移住された半世紀――彼らはそこで「神」と「聖書」を生み出した
世界の今を解くカギは、すべて歴史の中にある――。誰もが一度は耳にしたことがある「歴史的事件」と、誰もが疑問を抱く一つの「問い」を軸に、各国史の第一人者が過去と現在をつないで未来を見通す新シリーズの第4弾! 世界中で長い期間にわたって迫害されたユダヤ人。なぜ彼らは迫害されたのか? そして彼らはいつから存在し、なぜ世界の各地に散らばって生活していたのか? さらには迫害のなかで、どのようにして自分たちのアイデンティティを保つことができたのか? 紀元前の中東で半世紀以上にわたって拘束された「バビロニア捕囚」をキーワードに、知っているようで実は知らない「ユダヤ人」の成り立ちを見る。
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Posted by ブクログ
ユダヤとは?
最近の世界情勢から気になって読んでみた。モーセやソロモン、ダビデの話はあまりに聖書で親しんでいたので、当然のように歴史と思っていたが、よく考えたら聖書は史料とは違うのだった。同時代史料に触れつつ、ユダヤ人の歴史を解説する本作は、勉強になった。
二度のバビロニア捕囚が、律法に従わぬことを神が罰する、という思想を育てていった。ユダヤ教といえば排他的一神教と思っていたが、最初からそうではなかった。元々の地に残っていた者、何代かを経てバビロニアから戻った者、近隣の民と通じていった者がいて、それぞれの解釈があった。勝手にユダヤ教徒=イスラエルへの帰還を目指す=厳格に律法を守る、と思ってしまいがちだが、離散したところからアイデンティティを律法に託したとしても、その濃度には差があって当然である。
またキリスト教徒がユダヤ人を迫害したのはイエスの殺害を認めたため、という説を知っていたのだが、ここでは触れられていない。よく考えればあれは聖書の記述であり、もしかして同時代史料に欠けるものなのかと気になった。
筆者はイスラエルという地があり、また神仏への信仰が変化している現代では、もはやアイデンティティとしてのユダヤ教に必要性を感じなくなる可能性に触れている。しかし世界情勢がきな臭くなっている今、イスラエルの攻撃性が目立つのは、「自分たちと他」の区別をつけるためのアイデンティティへの執着が強くなっているからではと感じた。