あらすじ
10年の変貌ぶりが手に取るようにわかる
台湾が国際社会で主要なプレーヤーの一角に名を連ねるようになったのは、ここ10年ほどの奮闘の成果があったからである。この間、台湾で何が起こり、事態はどのように変化したのか──それを時系列的に振り返りながら背景を押さえていけば、台湾がなぜアジアで、世界で台頭してきたのかが浮かび上がる。それは台湾だけでなく、中国や日本も含むアジア全体、さらに米国や欧州などをも巻き込むものであり、世界情勢を読み解くカギともなる。
本書が取り上げるのは、台湾が対中融和から対立に舵を切るきっかけとなった「ひまわり学生運動」が発生した2014年を起点とし、2023年初めまでの約10年間。政権運営、対中関係、外交、内政、経済、社会の6つのテーマ別にやさしく解説する。著者はジャーナリストとして、また大学教授として長年にわたって報道・研究に携わってきたベテランの台湾ウォッチャーだ。
新型コロナ感染症対策や半導体メーカーTSMCの動き、ペロシ訪台といったトピックを手がかりに、台湾の政治・経済・社会、ひいてはアジアや世界の動向について理解を深めるための視点と論点を提供する。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
台湾の過去10年くらいの時事について、もともと別雑誌で連載されていた記事をまとめて書籍化されたもの。
ただし、個人的にはとても面白いアプローチがなされていると思ったのでメモ。
雑誌等に連載されたものの書籍化はよくあることだが、それを編集せずにテーマ別にそのまま掲載している。
もちろん、記載は当時のままであるので、結果・結論が未完であることも多いが、面白いのは注釈としてその後の経過が付記されている点。
これにより、当時筆者がどのような経緯で記事を書いていたか、それが結果としてどのようなものであったか、当時の観測はどの程度正しかったと言えるのか、外れた場合はなぜそのようなジャーナリズムに当時なってしまっていたのか、とういのが時系列で追えてとても躍動感が出ると思う。(本書にそこまでの考察は無く、読者の勝手な想像になるが)
これはありそうでなかなか無かったアプローチじゃないかな?と思う。
要望としては、もっと注釈(その後の結果・結論に加えて考察、その当時の自身の記事の振り返り、反省点?など)を充実してもらえると、より読み応えが出る。
あと、各節にいつ掲載された記事だったかもタイトル下に記載いただければと(一応巻末にもあったが、それだと不便だったため)
最近のジャーナリズムは、内容の深さの割に、インプレッションを稼ぐためのセンセーショナルなタイトル付けがされるなど、ある種の消費材のようになっていて、嫌気がさしていたが、もし本書のように、一定期間置いてから「総括」がされれば、洗練されより価値が生まれるだろう、とよい気づきが得られたようい思う。
#内容への書評ではなく恐縮だが、、
Posted by ブクログ
台湾について著者が連載していた記事をまとめた本。政治、外交、経済、軍事などさまざまなテーマを扱っていて、現在台湾が置かれている状況が概観できる。扱う年代が2014年~2023年なので、おもに現今の蔡英文政権について書かれている。
当時の空気感を伝えるため記事はそのまま収録されているが(そのため時どきによって評価も変わる)、適宜注釈が加えられているのでその後の推移がわかりやすい。トピックごとに年代順にまとめられているので、話題が変わるたびに頭のなかで時系列がすこし混乱する。
台湾の立場は中国の意向や米中関係に大きく影響を受けているのがよくわかる。(これは台湾のみならず日本も同様だろう)