あらすじ
須弥山とは、高さ約56万キロメートル、天神らが暮らす想像上の高峰である。5世紀頃インドで書かれた仏教論書『倶舎論』はこの須弥山を中心とする壮大な宇宙を描き出し、仏教が宇宙をどう捉えたかを詳細に解説した。本書は、『倶舎論』を基礎に他説も参照し、仏教宇宙観を簡明に記す。人間より優るが欲望の虜である天神とはいかなる存在か。「蛆虫に骨をうがたれる」といった地獄の責苦、世界を構成する四大と極微、宇宙の消滅と生成のサイクルなど、幅広く解説。後代に現れる極楽浄土の思想をも取り上げて、人生を苦とし、輪廻と解脱の思想を根底とするこのユニークな体系の変遷をたどる。長年読み継がれてきた入門書。
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Posted by ブクログ
新版が出る前の新書で読んだ
普段使っている言葉が何処から来たのか
仏教の用語が私たちの日常にいかに深く浸透しているのかがよくわかる一冊。必読書
Posted by ブクログ
仏教として語られることの中には、シャカが説いたこと以外に、それとどのように関係しているのか分かりづらい事柄が多々ある。須弥山、地獄、極楽、等々、それらを全て「人びとを導くための方便だから」という言葉で片付けるのは簡単だが、この本の著者は、それらが仏教の中で語られるようになった経緯を、インドだけでなくエジプト・ギリシア・イラン等の古代思想も参照しつつ、新書ならではの肩肘張らぬ語り口で探っていく。そこで披瀝される該博な知識や推論に刺激を受けることが多かった。
以下、備忘録。
79頁 バラモン教の「梵我一如」
「相対」に対する「絶対」は真の「絶対」ではない。「絶対」は「(相)対(有あっての無、私あっての世界、等)」が「絶」なこと。
148頁 西方浄土の思想の起源
古代エジプトの冥界(ナイル河の西)か?
この節の著者による推論は本当に面白い。
163頁 死者の行き先として地下を考えるか天上を考えるかは、土葬か火葬かが影響している?
192頁 輪廻は原子レベルの出来事と考えれば科学と矛盾しない。人間がいつの時代も同じ過ちを犯し同じ苦しみを抱える様も輪廻的な繰り返しと言えなくもない。
200頁 仏教的宇宙観は極大と極微の方向に無限に広がっており、「もし彼らの表現からその図式性、独断性、親和性を取り去ったら、それは近代科学で言う太陽系とか、銀河系とか、星雲とか、星雲の誕生とか、消滅とか、宇宙空間の塵状物質からの天体の誕生とか、何万光年、何億光年とかの概念に非常に似たものになる。」